徳島大学の留年率・ストレート合格率・学費【最新データで総点検】【2026年7月更新】
徳島大学に入学したら、6年で歯科医師になれる可能性はどのくらいあるのか。どの学年で留年しやすく、6年間でいくらかかるのか。本記事では、文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」、厚生労働省の歯科医師国家試験結果、河合塾の偏差値データ、そして大学公式サイトの公表データを使って、パンフレットでは見えにくい「入学後の6年間」を総点検します。徳島大学は、昭和51年(1976年)創立の「四国唯一の歯学部」として知られる国立大学です。
先に結論をお伝えすると、徳島大学のストレート合格率(修業年限内合格率)は、直近3年平均62.5%で国公立12校中11位という下位グループの実績です。注目したいのは、確定した令和元年度入学世代を追跡すると、卒業率は82.5%と高めに出ている一方、国家試験まで含めた合格率は67.5%へと15ポイント下がる点です(ただしこれは1つの入学世代の実績です)。さらに、学年ごとの動きを見ると、最もつまずきやすいのは1年次から2年次に上がるタイミング(脱落率10.0%)で、2年次から3年次にかけては全世代で1人も減っていません(ただし3〜4年次・5〜6年次にも一定の減少はあります)。そして退学率は1.1%で、国公立12校の中では最も高いグループ、学費(入学金+授業料)は6年合計で私立平均のおよそ7.5分の1です。この「出口は12校中11位」「卒業から国家試験までの落ち込み」「1年次の壁と、その後の手堅さ」「退学率と学費」という特徴を、データで確認していきましょう。
目次
- 徳島大学の基本情報
- ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
- ストレート合格率の10年推移|3年平均62.5%は国公立12校中11位
- コホート追跡|入学40人のゆくえ(卒業率82.5%→国試合格率67.5%で−15pt)
- どの学年でつまずくか|脱落は1年次に集中(10.0%)
- 留年率は6.2〜18.7%で推移|退学率1.1%は国公立12校で最も高いグループ
- 学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ
- 偏差値は指標で評価が割れる(方式別55.0×学部学科60.0)とストレート合格率12校中11位
- まとめ|3つのポイント
徳島大学の基本情報
まず、大学の基本プロフィールを押さえておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県徳島市蔵本町3丁目18番地の15 |
| アクセス | JR徳島線「蔵本駅」下車、徒歩約5分(徳島駅からJRで約12分) |
| 入学者数 | 実績として40人で推移(令和元〜7年度・文部科学省提出資料より) |
| 河合塾偏差値(2027年度) | 方式別55.0(前期日程)/学部学科ランク60.0/共通テスト得点率 前期72%・後期78% ※2026年7月確認時点の予想値 |
| 学費(入学金+授業料の6年合計) | 349.68万円(国立標準額・県内外の区別なし)※2026年度掲載額・諸費用別途 |
| 附属病院 | 徳島大学病院(蔵本地区) |
徳島大学の歯学部は、昭和51年(1976年)に創立された歴史ある国立歯学部です。大学公式サイト(50周年記念事業ページ)では「四国唯一の歯学部」と紹介されており、四国エリアで歯科医師を目指す受験生にとって中心的な存在です。大学院としては「大学院口腔科学教育部(口腔科学研究科)」を設置しています。
ここで、本記事を読むうえで大切な注意点を1つお伝えします。徳島大学の歯学部には、歯学科のほかに口腔保健学科の2学科が置かれています。本記事で扱うストレート合格率・進級・卒業・国家試験合格などの数値は、すべて歯学科(歯科医師を養成する6年制課程)のみを対象としており、口腔保健学科の数字は含まれていません。歯科衛生士・歯科技工士等を養成する口腔保健学科とは進路も修業年限も異なるため、混同しないようご注意ください。
なお、募集人員の選抜方式別の内訳(一般選抜・学校推薦型選抜等)は公式ページの一般公開情報では確認できませんでしたが、文部科学省に提出されている入学者数(1年次の学生数)は令和元年度から令和7年度まですべての年度で40人と安定しています。本記事では、この40人という数字をもとにコホート(入学世代)を追跡していきます。
徳島大学の退学率は、他の国公立大学と比べるとやや高めに出ています(詳しくは後述します)。学費の心配が少ない国立大学ではありますが、入学後の学習・生活面のサポートについては、ご家庭でも気にかけてあげると安心です。
出典:徳島大学 公式サイト(所在地・沿革・アクセス・学部構成・附属病院)/河合塾(偏差値)/文部科学省提出資料(入学者数)
ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
本題に入る前に、当ブログが最重要指標としている「ストレート合格率」を説明します。すでにご存じの方は次のセクションへ進んでください。
大学の広告やパンフレットでよく使われるのは新卒合格率です。これは歯科医師国家試験の新卒受験者数を分母とした合格率で、卒業試験や進級判定で受験者が選別されたあとの数字です。つまり、入学前の人が本当に知りたい「入学してから歯科医師になれる確率」は、新卒合格率からは見えません。
そこで当ブログが主軸にしているのがストレート合格率(正式名称:修業年限内合格率)です。
- 分母: 入学者数
- 分子: 6年間(修業年限内)で国家試験に合格した人数
入学者を分母にするため、留年や退学も含めた6年間の現実がそのまま反映されます。
※ 本記事のコホート追跡・ストレート合格率・学年別脱落率の数値は、大学が文部科学省の様式に沿って公表しているデータに基づき、編入学を除く入学者ベースです(大学公表資料の注記に準拠)。
ストレート合格率の10年推移|3年平均62.5%は国公立12校中11位
それでは、徳島大学のストレート合格率を、第109回から第118回までの10年分で確認します。

| 受験回 | 徳島大学 | 国公立12校平均 |
|---|---|---|
| 第109回 | 60.0% | 67.4% |
| 第110回 | 57.5% | 69.6% |
| 第111回 | 77.5% | 72.1% |
| 第112回 | 70.0% | 70.9% |
| 第113回 | 70.0% | 69.9% |
| 第114回 | 60.0% | 71.5% |
| 第115回 | 62.5% | 65.7% |
| 第116回 | 52.5% | 71.3% |
| 第117回 | 67.5% | 75.0% |
| 第118回 | 67.5% | 75.6% |
※国公立12校平均は、当ブログが文部科学省のデータをもとに独自に算出した数値です。東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生した大学で(「改称」ではありません)、この集計では統合前の東京医科歯科大学の実績を東京科学大学の実績として通算しています。
このデータから読み取れるのは、徳島大学のストレート合格率が多くの回で国公立12校平均を下回っていることです。10年のうち平均を上回ったのは第111回(77.5%・平均72.1%)と第113回(70.0%・平均69.9%)の2回のみで、残る8つの回(第109・110・112・114・115・116・117・118回)はすべて国公立12校平均を下回りました。実数値では52.5%(第116回が最低)〜77.5%(第111回が最高)の間で推移しています。とくに第116回は52.5%で、国公立12校平均(71.3%)との差がマイナス18.8ポイントに開いており、この10年で最も落ち込んだ回です。国公立12校平均が第116〜118回にかけて上昇基調(71.3→75.0→75.6%)にある一方、徳島大学は同期間52.5→67.5→67.5%と平均を下回ったまま推移しており、平均との差は第118回時点でマイナス8.1ポイントです。
なお、参考までに私立15大学平均(第109〜118回で36%台〜43%台)と比べると、徳島大学は最も落ち込んだ第116回(52.5% vs 私立平均40.74%)を含め、いずれの回も上回っています。ただし、これは国公立と私立という設置形態の違いによるもので、大学の教育の質の優劣を示すものではありません。国公立は選抜性が高く定員も少ないため、私立平均との単純比較には注意が必要です。
※私立15大学平均は、ストレート合格率が突出して高い東京歯科大学・昭和医科大学(旧・昭和大学)の上位2校を除いた、当ブログ独自集計の平均値です。
※ ここでのストレート合格率(修業年限内合格率)は、文部科学省の修学状況データに基づくもので、確認できる最新回は第118回です。厚生労働省が公表する国家試験の結果自体は第119回(2026年3月発表)まで出ていますが、ストレート(修業年限内)の集計は第118回までが最新である点にご注意ください。
直近3年平均は62.5%=国公立12校中11位
単年の数字はぶれるため、当ブログでは直近3年の平均で評価します。第116〜118回の各回のストレート合格率を平均すると62.5%で、国公立12校中11位の下位グループです。
※ 本記事の3年平均は、各回の合格率(%)を単純平均したものです(12校すべて同じ方法でそろえています)。徳島大学は3年とも入学者数が40人でそろっているため、入学者数と合格者数をそれぞれ合算して求める方法(加重平均)でも62.5%となり、どちらの計算でも同じ数字になります。
| 順位 | 大学 | 3年平均(第116〜118回) |
|---|---|---|
| 1位 | 北海道大学 | 84.1% |
| 2位 | 岡山大学 | 82.7% |
| 3位 | 鹿児島大学 | 81.8% |
| 4位 | 新潟大学 | 80.0% |
| 5位 | 東京科学大学 | 76.5% |
| 6位 | 長崎大学 | 76.0% |
| 7位 | 九州歯科大学 | 73.7% |
| 8位 | 広島大学 | 72.3% |
| 9位 | 大阪大学 | 71.1% |
| 10位 | 東北大学 | 70.0% |
| 11位 | 徳島大学 | 62.5% |
| 12位 | 九州大学 | 57.0% |
出口の実績としては、国公立12校の中で下位グループにあたります。ひとつ上の10位(東北大学70.0%)とは7.5ポイント、ひとつ下の12位(九州大学57.0%)とは5.5ポイントの差があり、3年平均で見るかぎり、徳島大学の11位は前後の大学とも一定の差がある位置づけです。ただし、単年では第116回に52.5%まで落ち込む回もあるなど、年ごとの振れは小さくありません。
国公立12校のストレート合格率10年推移をまとめて比較したい方は、国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめをご覧ください。第118回単年の詳しい順位は、第118回 国公立歯学部ストレート合格率ランキングで確認できます。
出典:文部科学省(ストレート合格率)
コホート追跡|入学40人のゆくえ(卒業率82.5%→国試合格率67.5%で−15pt)
次に、実際に入学した学生がどの学年で減っていくのかを、入学年度別(コホート)に追跡します。対象は、卒業・国家試験までの結果が確定している令和元年度入学世代(第118回国試受験世代・入学者40人)です。あわせて、令和2年度入学世代についても、大学が公表した令和7年5月1日時点の途中経過を点線で示します。

| 入学世代 | 入学 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | 5年次 | 6年次 | ストレート卒業 | 国試合格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和元年度(第118回) | 40人 | 35人 | 35人 | 35人 | 35人 | 34人 | 33人(82.5%) | 27人(67.5%) |
| 令和2年度(令和7年5月1日時点) | 40人 | 37人 | 37人 | 37人 | 37人 | 34人 | 未公表 | 未公表 |
※各学年の人数は、入学者のうち留年・休学・退学をせずにその学年までストレートで進級した人数です(%は各世代の入学者数40人が分母)。人数が減っている分だけ、その学年で留年するなどして予定どおり進級できなかった学生がいることを意味します。令和2年度入学世代は、今回参照した大学公表資料(令和7年5月1日現在)では6年次34人までが掲載されており、現在も6年次に在籍中です。この世代のストレート卒業・合格の集計はまだ公表されていないため、最終的な実績は現時点では確定していません。
令和元年度入学世代のストレート卒業率は82.5%
令和元年度入学世代の動きを見ていきます。40人でスタートし、2年次で35人へと5人減っています。ここが本世代で最大の落ち込みです。ところがその後は、2年次35人、3年次35人、4年次35人、5年次35人と3年間まったく減らずにフラットに推移し、6年次で34人になりました。
そしてストレートで卒業できたのは33人。入学者40人に対してストレート卒業率は82.5%です。5人に4人以上が6年間で卒業までたどり着いている計算になります。1年次に関門はあるものの、そこを越えた学生は、比較的安定して卒業まで進んでいることが分かります。
卒業から国家試験までで−15ポイント
一方で、卒業したあとの国家試験では数字が動きます。ストレート卒業した33人のうち、第118回国家試験に合格したのは27人でした。入学者40人を分母にしたストレート合格率は67.5%です。
ここで注目したいのが、卒業率82.5%に対し、国家試験まで含めた合格率は67.5%と、15ポイント下がっていることです。卒業した33人のうち27人が合格したので、卒業から国家試験合格までの段階での不合格率は18.18%(33人中6人)にあたります。この18.18%という数字は、入学から卒業までの進級各段階の脱落率(次のセクションで見るとおり、最も大きい1年次から2年次でも10.0%です)よりも大きく、この令和元年度入学世代に限って見ると、進級のどの段階よりも「卒業してから国家試験に合格するまで」で相対的に大きく人数が減っていることになります。
ただし、この数字の受け止め方には重要な留保があります。卒業・国家試験合格の実績が確定しているのは、現時点では令和元年度入学世代という1つの世代だけです。進級段階の脱落率は複数の入学世代をまとめて集計できますが、卒業から国家試験の数字は1世代分の実績にすぎません。今後の令和2年度以降の世代で同じ傾向が続くかどうかは、現時点ではデータがなく、断定できません。なぜこの段階で数字が動いたのか、その原因についても公表データからは分かりません。あくまで確定した1世代の結果の傾向として受け止めてください。
混同しやすい数字の整理
ここで、混同しやすい数字を整理しておきます。厚生労働省が公表する第118回の徳島大学の新卒合格率は80.0%ですが、これは「その年度の新卒受験者40人」を分母にした数字です。この新卒受験者40人は、令和6年度の卒業者総数(41人)とほぼ一致しますが、完全に同じ数ではありません(差1人)。また、新卒で合格した32人と、令和元年度入学世代のうち標準修業年限内で卒業した33人も一致しません。前者はその年度に新卒で受験して合格した人数、後者は令和元年度に入学して6年で卒業した人数であり、母集団が異なるためです。これらの差の理由は公表データからは分かりません。
また、大学が公表した令和6年度の卒業留年に関する資料によると、6年次に在籍していた学生42人のうち41人が卒業し、卒業留年率は2%(大学公表値)でした。ここで注意したいのは、先ほどの令和元年度入学世代の「6年次進級者34人」と、この「6年次在籍総数42人」は別の集団だということです。42人は、令和元年度入学世代の34人に、それより前の入学世代で留年を経験し6年次に在籍している学生などを加えた、令和6年度時点の6年次在籍者全体です。この2つの「6年次」の数字を同一視して、差の8人を「留年した学生数」と読むことはできません。
最も大切なのは、新卒合格率80.0%(分母40・その年度の新卒受験者)と、ストレート合格率67.5%(分母40・令和元年度入学者)は、たまたま分母の数字がどちらも40ですが、対象がまったく異なる別の指標だということです。前者はその年度に新卒で受験した人の合格割合、後者は令和元年度に入学した40人が6年間で歯科医師になれた割合です。並べて比べる際は、この違いを押さえておいてください。
※ なお、歯科医師国家試験の結果は年度によって変動します。厚生労働省が公表する直近の第119回(2026年3月発表)では、徳島大学の新卒合格率は75.0%(前年の第118回は80.0%)、総数でも62.9%(前年64.9%)と下がりました。いつの世代も同じ結果になるとは限りません。あくまで確定データが揃った世代の実績として捉えてください(第119回は新卒・総数の数値で、ストレート=修業年限内の集計はまだ第118回までが最新です)。
出典:文部科学省の調査様式に基づき大学が公表した修学状況データ(令和7年5月1日基準)/厚生労働省(新卒・総数合格率)
どの学年でつまずくか|脱落は1年次に集中(10.0%)
「どの学年でつまずきやすいか」は、大学選びでいちばん知りたいところでしょう。ここで注意が必要です。よく使われる学年別の留年率(その年度の在籍者のうち、留年・休学を経験した学生の割合)では、実は「どの学年でつまずくか」は正確にはわかりません。留年・休学を経験した学生は上の学年に積み上がっていくため、高学年ほど数字が大きく出やすいからです。
そこで本記事では、入学した世代(コホート)ごとに、各学年で何%の学生が予定どおり上の学年へ進級できず脱落したかを計算しました。令和元年度から令和6年度までの入学世代について、大学が公表している入学年度別の進級データ(令和7年5月1日現在)を用い、各学年遷移の脱落率をプール集計したものが次の図と表です。

| 学年(遷移) | 1年次(入学→2年) | 2年次(2→3年) | 3年次(3→4年) | 4年次(4→5年) | 5年次(5→6年) |
|---|---|---|---|---|---|
| 脱落率 | 10.0% | 0.0% | 5.52% | 0.0% | 5.56% |
| 集計世代数 | 6世代 | 5世代 | 4世代 | 3世代 | 2世代 |
結果ははっきりしています。徳島大学で最も脱落率が高いのは1年次から2年次に上がるときの10.0%です。これに対して2年次から3年次は0.0%、つまり令和元年度から令和5年度までの5つの入学世代すべてで、2年次に在籍した学生が1人も減らずに3年次へ進級しています。3年次から4年次は5.52%、4年次から5年次は0.0%、5年次から6年次は5.56%と、おおむね低い水準で推移します。つまり徳島大学は、1年次から2年次に上がる時期に最大の関門があり、そこを越えれば進級は相対的に安定する、という構造です。ただし、1年次を越えたあともまったく減らないわけではなく、3年次から4年次(5.52%)と5年次から6年次(5.56%)にも一定の減少が見られる点は押さえておいてください。
これは、当ブログで以前取り上げた私立のテンプレ校(低学年に脱落が集中する型)とも、九州歯科大学(高学年ほど脱落が上がっていく型)とも、東北大学(2年次から3年次に脱落が集中する型)とも異なる形です。本記事ではこれを便宜的に「1年次の壁」型と呼ぶことにします。
ここで、グラフの中に2つある「0.0%」の意味の違いを補足しておきます。2年次から3年次への0.0%は、令和元年度から令和5年度までの5つの入学世代すべてで確認された数字で、「2年次まで進んだ学生は、そのまま3年次へ上がっている」という安定した傾向として読み取れます。一方、4年次から5年次への0.0%は、集計に使えた入学世代が3世代とやや少ないため、2年次から3年次ほど強い意味を持たせるには注意が必要です。同じ0.0%でも、根拠となる世代数が異なる点は押さえておいてください。
参考までに、令和元年度から令和6年度までの各入学世代の生存曲線を重ねて描いたのが次の図です。確認できる6つの入学世代すべてで、1年次から2年次に進む段階に人数の減少が見られ、合算して比較するとこの段階の減少率が最も高くなっています。ただし、令和3年度・令和4年度入学世代では3年次から4年次に、令和元年度・令和2年度入学世代では5年次から6年次にも減少が見られます。1年次が最大の関門ではあるものの、その後まったく減らないわけではありません。

- 今回のデータで最もつまずきやすいのは1年次から2年次に上がるタイミング。ここを越えると進級は相対的に安定しますが、3〜4年次や5〜6年次にも一定の減少は見られます。
- 逆に言えば、入学直後の1年次の学習でしっかり土台を固めることが、その後の6年間を左右するとも言えます。
なお、なぜ1年次で脱落が集中するのか、その理由までは公表データからはわかりません。基礎系科目や進級判定基準などが考えられますが、データから断定はできません。数字はあくまで結果の傾向として受け止めてください。
出典:文部科学省の調査様式に基づき大学が公表した修学状況データ(令和7年5月1日現在・編入学を除く)
留年率は6.2〜18.7%で推移|退学率1.1%は国公立12校で最も高いグループ
次に、留年率と退学率を確認します。
留年率(在籍者ベース)は6.2〜18.7%の範囲
まず留年率です。ここでいう留年率は、文部科学省の集計で、その年度に在籍する学生のうち、在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合を指します(その年度に留年した学生だけを数えたものではありません)。徳島大学全体の留年率は、平成26年度以降で最小6.2%(平成29年度)〜最大18.7%(平成30年度)の範囲で推移し、令和7年度は11.1%でした。
平成26年度の17.2%から平成29年度の6.2%にかけて一度下がり、平成30年度に18.7%まで大きく再上昇したのち、令和6年度に7.4%まで再び下がり、令和7年度は11.1%とやや上がっています。一貫して上昇・下降しているわけではなく、年度によって上下しています。こうした変動の背景については、進級や卒業の判定が慎重になっている年度がある可能性も考えられますが、断定はできません。
令和7年度の学年別の留年率は、1年次14.0%、2年次2.6%、3年次13.6%、4年次8.6%、5年次12.2%、6年次14.6%でした。最も高いのは6年次の14.6%で、次いで1年次が14.0%です。前のセクションで見た「1年次から2年次への脱落率10.0%が最大」という傾向と、1年次の留年率が高いことは整合的です。逆に最も低いのは2年次の2.6%で、これも「2年次から3年次への脱落率が0.0%」という傾向と整合しています。ただし留年率は在籍者ベースの単年の指標、脱落率は複数世代を追跡した累積の指標であり、定義が異なる点にはご注意ください。
退学率1.1%は国公立12校で最も高いグループ
次に、退学率を見てみます。令和4〜6年度の3か年平均で、徳島大学の退学率は1.1%です。
| 区分 | 退学率(令和4〜6年度3か年平均) |
|---|---|
| 徳島大学 | 1.1% |
| 国公立12校 単純平均 | 約0.6% |
| 私立17校 単純平均 | 4.4% |
この1.1%という数字は、国公立12校の平均(約0.6%)を上回り、長崎大学(1.1%)と並んで国公立12校の中では最も高いグループにあたります。全国29の歯学部(国公立12校+私立17校)の中で見ても、退学率の低い順に数えて11〜13位あたりのタイという位置づけです。一方で、私立17校平均の4.4%と比べると、大幅に低い水準である点も事実です。
前のセクションで見たとおり、徳島大学はストレート合格率も国公立12校中11位(下位グループ)でした。退学率が国公立の中では高めのグループにあること、ストレート合格率が12校中11位であることは、いずれも公表データから読み取れる事実です。ただし、なぜ退学率がやや高めなのか、その原因は公表データからは分かりません。これらは統計上の割合であって、個々の学生の事情はさまざまです。数字を過度に一般化せず、事実として押さえておいてください。なお、私立との退学率の差は設置形態(国公立/私立)の違いによる面もあり、大学の教育の質の優劣を単純に示すものではありません。
出典:文部科学省(留年率・退学率)
学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ
ここからはお金の話です。徳島大学は国立大学のため、学費は大きな魅力のひとつです。
学費の内訳(2026年度)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 282,000円 |
| 年間授業料 | 535,800円 × 6年 |
| 入学金+授業料の6年合計 | 3,496,800円 |
徳島大学の入学金+授業料の6年合計349.68万円は、文部科学省が定める国立大学の標準額とまったく同じ水準です(年間授業料535,800円は国立標準額と同額)。国立大学のため、県内者・県外者の区別はなく、一律です。なお、この金額は入学金と授業料のみの合計で、このほかに学生保険や実習器具、教科書・参考書、学外実習の交通費などの諸費用が別途かかります。
これを私立と比べると、その差は歴然としています。私立17校の6年総額の単純平均は約2,611万円。徳島大学はその約7.5分の1にあたります。私立で最も安い明海大学・朝日大学(1,793万円)と比べても約5.1分の1です。学費を負担するご家庭にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。なお、この学費差は国公立と私立という設置形態の違いによるものであり、教育内容や指導の質を示すものではありません。
※ 本セクションの学費は、2026年7月時点で大学公式サイト等に掲載されている2026年度の金額に基づきます(2027年度の学費は本記事執筆時点で未公表のため、2026年度額を使用しています)。最新情報は必ず大学公式サイト・募集要項でご確認ください。
留年1年の経済的リアリティ(当ブログの独自試算)
当ブログでは、留年1年の経済的損失を1,500万円と試算しています。
- 学費 500万円(※実際の各大学の学費額ではなく、全大学共通の固定値です)
- 生活費 200万円
- 機会損失 800万円(キャリア終盤の1年分の年収が消える考え方)
この試算はあくまで当ブログ独自のモデル計算です。ただし、この500万円は全大学共通の固定値モデルであり、徳島大学の実際の年間授業料は535,800円(国立大学標準額と同額)と、モデル値よりはるかに低い水準です。実額に置き換えると、留年1年あたりの損失は、生活費200万円+機会損失800万円を中心とした1,000万円程度が現実的な下限になります。ただし、生活費200万円・機会損失800万円は一定の前提を置いた概算であり、住まいや就職の時期、将来の収入などによって実際には大きな個人差があります。1,500万円という数字は、徳島大学の実際の追加負担額ではなく、複数の前提を置いた参考シナリオとしてご覧ください。
ここで、先ほどのコホートのデータを思い出してください。確定コホート(令和元年度入学世代)のストレート卒業率は82.5%。5人に4人以上はストレートで卒業できる計算ですが、卒業後の国家試験の結果次第では、生活費や将来の収入機会の面で大きな経済的影響が生じる可能性があります。学費を負担する保護者の方にとっては、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。学費の安さという大きなメリットがある一方で、留年や国家試験でつまずいた場合の生活費や機会損失は設置形態に関係なく生じる、という両面を押さえておきましょう。
出典:徳島大学 公式サイト(学費)/私立17校の学費は各大学公式サイト
偏差値は指標で評価が割れる(方式別55.0×学部学科60.0)とストレート合格率12校中11位
最後に、国公立12校の中での立ち位置を「入口(偏差値)×出口(ストレート合格率)」で整理します。
その前に、徳島大学の偏差値について1つ大切な注意点があります。徳島大学は、河合塾のどの偏差値指標を見るかによって評価が大きく変わる大学です。2027年度入試向けの河合塾の数値を見ると、次のようになっています(いずれも2026年7月確認時点の予想値)。
- 方式別偏差値(前期日程):55.0(国公立12校の中では最も低いグループ。新潟・長崎・九州歯科と並ぶ)
- 学部学科偏差値:60.0(複数の入試方式をまとめ直したランク・国公立12校の中では最も高いグループ)
- 共通テスト得点率:前期日程72%(12校の中では中位)/後期日程78%
このように、同じ徳島大学でも「方式別偏差値では下位グループ、学部学科偏差値では上位グループ」と評価が割れます。単純に「偏差値が低い」「高い」とひとくくりにできない大学なので、どの指標を見ているかを必ず確認する必要があります。以下の散布図では、当ブログの他の分析記事と系列をそろえるため、方式別偏差値を横軸に使っています。

まず入口と出口の事実を並べてみます。徳島大学の方式別偏差値55.0は国公立12校の中で下位グループ、出口のストレート合格率3年平均62.5%は12校中11位でした。方式別偏差値が55.0でそろう4校(新潟・長崎・九州歯科・徳島)の中で見ると、徳島大学のストレート合格率62.5%は最も低い数字です。ただし、これを「偏差値が低いから合格率も低い」といった因果関係で解釈するのは適切ではありません。
ここで大切なのが、国公立12校全体を見ると、偏差値とストレート合格率の間にはほとんど相関がないことです。国公立12校で偏差値(方式別)とストレート合格率3年平均の相関係数を計算すると、r≒−0.01とほぼゼロでした。参考までに、当ブログが以前私立16校(BF校を除く)で同じ計算をしたときはr≒0.73で、こちらは「偏差値が高い大学ほど出口も高め」という緩やかな右肩上がりの傾向が見られました(ただし例外もあります)。国公立ではその緩やかな傾向すら当てはまらないのです。
つまり、今回の国公立12校とこの指標の組み合わせでは、偏差値とストレート合格率の間に直線的な関係はほとんど確認できませんでした。だからこそ国公立では、大学ごとにストレート合格率を個別に確認することが大切です。
なお、この結果は参考程度に受け止めるべきものです。国公立12校というサンプルは小さく(n=12)、方式別偏差値も55・57.5・60の3水準に集中しているため、横軸の分解能が低いという限界があります。そもそも相関がほぼゼロである以上、回帰線そのものに偏差値から合格率を説明する力はほとんどなく、今回の結果を国公立歯学部全般に一般化することはできません。
いずれにせよ、偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。国公立ではこの2つが連動しないからこそ、大学選びでは必ず両方を確認してください。当ブログの歯学部偏差値ランキングの分析記事では、国公立12校の方式別偏差値・学部学科偏差値・共通テスト得点率・ストレート合格率を同じ表で比較していますので、あわせてご覧ください。
出典:河合塾(偏差値・共通テスト得点率)/文部科学省(ストレート合格率)
まとめ|3つのポイント
本記事のポイントを3つにまとめます。
- 出口の実績: ストレート合格率は直近3年平均62.5%で国公立12校中11位の下位グループ。ただし、確定した令和元年度入学世代はストレート卒業率82.5%で、5人に4人以上が6年間で卒業までたどり着いている
- 構造: 令和元年度入学世代では、卒業から国家試験合格までの段階の不合格率が18.18%と、進級のどの段階よりも大きい(ただし1世代分の実績)。学年別の脱落は1年次に集中(10.0%)し、2年次から3年次は全世代で0.0%。1年次が最大の関門だが、3〜4年次・5〜6年次にも5%台の減少があり、越えたあとも完全な横ばいではない
- お金: 入学金+授業料の6年合計349.68万円(国立標準額)は私立平均の約7.5分の1という大きなメリット。ただし留年すれば、学費が安い国立でも生活費や将来の収入機会の損失が生じる(当ブログの留年1年1,500万円モデルは私立想定の参考試算・実額ベースではおよそ1,000万円程度が目安)
確定コホートのストレート卒業率は82.5%。5人に4人以上はストレートで卒業できる計算ですが、卒業後の国家試験の結果次第では、学費の安い国立でも、生活費や将来の収入機会の面で大きな経済的影響が生じる可能性があります。
なお、本記事で示した数字はあくまで統計的な評価です。合格や進級を最終的に決めるのは一人ひとりの学習習慣であって、徳島大学の在学生や志願者の方を貶める意図はまったくありません。卒業から国家試験合格までの段階で数字が動く年度もありますが、これは令和元年度入学世代という1つの世代の実績にすぎず、今後の世代にそのまま当てはまるとは限りません。むしろ徳島大学は、2年次から3年次にかけての進級がきわめて安定している大学でもあります。1年次の学習習慣を大切にすれば、その後の6年間を着実に歩んでいける環境が整っていると言えるでしょう。
徳島大学だけでなく、全国29歯学部の留年率・卒業率・ストレート合格率を横断的に比較したい方は、「歯学部 留年率・卒業率ランキング【全29大学・最新データ】」もあわせてご確認ください。
データ出典: 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」/厚生労働省 歯科医師国家試験結果/河合塾(偏差値)/徳島大学 公式サイト

