国公立大学の修学状況
PR

東北大学の留年率・ストレート合格率・学費【最新データで総点検】【2026年7月更新】

kameman
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

東北大学に入学したら、6年で歯科医師になれる可能性はどのくらいあるのか。どの学年で留年しやすく、6年間でいくらかかるのか。本記事では、文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」、厚生労働省の歯科医師国家試験結果、河合塾の偏差値データ、そして大学公式サイトの公表データを使って、パンフレットでは見えにくい「入学後の6年間」を総点検します。

先に結論をお伝えすると、東北大学のストレート合格率(修業年限内合格率)は、直近3年平均70.0%で国公立12校中10位という下位グループの実績です。興味深いのは、入口の河合塾偏差値は60.0で国公立12校の中でも最高水準タイという点。つまり、入口は上位グループですが、出口のストレート合格率は12校中10位という、対照的な構図になっています。さらに、入学した学生を世代ごとに追跡すると、つまずきやすいのは2年次から3年次に上がるタイミングで、そこを越えると卒業までの道のりは比較的安定しています。そして退学率は0.5%で、国公立12校の中では中位ですが、私立と比べればかなり低い水準学費(入学金+授業料)は6年合計で私立平均のおよそ7.5分の1です。この「出口は12校中10位」「入口は最高水準タイ」「2年次の壁」「辞めにくさと学費の安さ」という特徴を、データで確認していきましょう。

目次

  1. 東北大学の基本情報
  2. ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
  3. ストレート合格率の10年推移|3年平均70.0%は国公立12校中10位
  4. コホート追跡|入学53人のゆくえ(R元コホートはストレート卒業率74%)
  5. どの学年でつまずくか|脱落は2→3年次に集中(14.5%)
  6. 留年率は九州歯科より高水準|退学率0.5%は国公立で中位・私立より低い
  7. 学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ
  8. 偏差値60(国公立最高水準タイ)とストレート合格率12校中10位|連動しない入口と出口
  9. まとめ|3つのポイント

東北大学の基本情報

まず、大学の基本プロフィールを押さえておきます。

項目内容
所在地宮城県仙台市青葉区星陵町4番1号
アクセス地下鉄南北線「北四番丁駅」北口2番出口より徒歩約15分(仙台駅からはタクシーで約15分)
入学者数年度により53〜55人(令和元〜7年度・文部科学省提出資料より)
河合塾偏差値(2027年度)方式別60.0/学部学科ランク60.0(共通テスト得点率73%)※2026年7月確認時点の予想値
学費(入学金+授業料の6年合計)349.68万円(国立標準額・県内外の区別なし)※2026年度掲載額・諸費用別途
附属病院東北大学病院(大学と同一地区)

東北大学の歯学部は、1965年(昭和40年)4月に入学定員40名で設置された歴史ある国立歯学部です。学部段階は歯学部歯学科のみで、大学院として歯学研究科(修士課程・博士課程)を設置しています。歯学科の入学定員は53人で、内訳は一般入試(前期日程)37人、AO入試Ⅱ期6人、AO入試Ⅲ期10人です(このほか私費外国人留学生入試が若干名)。

ここで、東北大学の注意点を1つ。文部科学省に提出されている入学者数(1年次の学生数)を見ると、年度によって53人から55人の間で変動しています(令和元〜3年度・令和6〜7年度は53人、令和4年度は55人、令和5年度は54人)。入学定員53人をわずかに超えて受け入れている年度があるためです。本記事では、この後のコホート追跡やストレート合格率でも複数の年度・世代の数字を扱うため、「入学者◯人」と述べるときは、どの年度の入学世代かをそのつど明記して混同を避けています。

なお、東北大学は国立大学のため、九州歯科大学(公立)のような「県内者/県外者」による入学金の区別はありません。学費の心配が少ない国立大学ではありますが、後述するとおり留年率は他の国公立と比べるとやや高めに出ています。合格後の学習ペースについては、ご家庭でも気にかけてあげると安心です。

出典:東北大学 公式サイト(所在地・沿革・アクセス・附属病院・募集人員)/河合塾(偏差値)/文部科学省提出資料(入学者数)

ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)

本題に入る前に、当ブログが最重要指標としている「ストレート合格率」を説明します。すでにご存じの方は次のセクションへ進んでください。

大学の広告やパンフレットでよく使われるのは新卒合格率です。これは歯科医師国家試験の新卒受験者数を分母とした合格率で、卒業試験や進級判定で受験者が選別されたあとの数字です。つまり、入学前の人が本当に知りたい「入学してから歯科医師になれる確率」は、新卒合格率からは見えません。

そこで当ブログが主軸にしているのがストレート合格率(正式名称:修業年限内合格率)です。

  • 分母: 入学者数
  • 分子: 6年間(修業年限内)で国家試験に合格した人数

入学者を分母にするため、留年や退学も含めた6年間の現実がそのまま反映されます。

※ 本記事のコホート追跡・ストレート合格率・学年別脱落率の数値は、大学が文部科学省の様式に沿って公表しているデータに基づき、編入学を除く入学者ベースです(大学公表資料の注記に準拠)。

ストレート合格率の10年推移|3年平均70.0%は国公立12校中10位

それでは、東北大学のストレート合格率を、第109回から第118回までの10年分で確認します。

図:ストレート合格率の10年推移(東北大学 vs 国公立12校平均・第109〜118回)。出典:文部科学省のデータをもとに当ブログ作成
受験回東北大学国公立12校平均
第109回76.7%67.4%
第110回72.5%69.6%
第111回71.7%72.1%
第112回64.8%70.9%
第113回69.8%69.9%
第114回69.8%71.5%
第115回62.0%65.7%
第116回66.7%71.3%
第117回75.5%75.0%
第118回67.9%75.6%

※国公立12校平均は、当ブログが文部科学省のデータをもとに独自に算出した数値です。東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生した大学で(「改称」ではありません)、この集計では統合前の東京医科歯科大学の実績を東京科学大学の実績として通算しています。

このデータから読み取れるのは、東北大学のストレート合格率が近年、国公立12校平均を下回る回が目立つことです。第109回は76.7%と平均(67.4%)を大きく上回っていましたが、第112回(64.8%・平均70.9%)、第115回(62.0%・平均65.7%)、そして第118回(67.9%・平均75.6%)は平均を下回りました。とくに第118回は、国公立12校平均との差がマイナス7.7ポイントに開いています。実数値では62.0%(第115回が最低)〜76.7%(第109回が最高)の間で推移しています。

なお、参考までに私立15大学平均(第109〜118回で36%台〜43%台)と比べると、東北大学はいずれの回も上回っています。ただし、これは国公立と私立という設置形態の違いによるもので、大学の教育の質の優劣を示すものではありません。国公立は選抜性が高く定員も少ないため、私立平均との単純比較には注意が必要です。

※私立15大学平均は、ストレート合格率が突出して高い東京歯科大学・昭和医科大学(旧・昭和大学)の上位2校を除いた、当ブログ独自集計の平均値です。

※ ここでのストレート合格率(修業年限内合格率)は、文部科学省の修学状況データに基づくもので、確認できる最新回は第118回です。厚生労働省が公表する国家試験の結果自体は第119回(2026年3月発表)まで出ていますが、ストレート(修業年限内)の集計は第118回までが最新である点にご注意ください。

直近3年平均は70.0%=国公立12校中10位

単年の数字はぶれるため、当ブログでは直近3年の平均で評価します。第116〜118回の各回のストレート合格率を平均すると70.0%で、国公立12校中10位の下位グループです。

※ 本記事の3年平均は、各回の合格率(%)を単純平均したものです(12校すべて同じ方法でそろえています)。なお、3年分の入学者数と合格者数をそれぞれ合算して求める方法(加重平均)では69.9%となり、いずれの計算でも国公立12校中10位という位置づけは変わりません。

順位大学3年平均(第116〜118回)
1位北海道大学84.1%
2位岡山大学82.7%
3位鹿児島大学81.8%
4位新潟大学80.0%
5位東京科学大学76.5%
6位長崎大学76.0%
7位九州歯科大学73.7%
8位広島大学72.3%
9位大阪大学71.1%
10位東北大学70.0%
11位徳島大学62.5%
12位九州大学57.0%

出口の実績としては、国公立12校の中で下位グループにあたります。ただし、8位(広島大学72.3%)・9位(大阪大学71.1%)・10位(東北大学70.0%)は2ポイント強の僅差で並んでおり、この中位から下位にかけては団子状態です。単年の振れ次第で順位が入れ替わりやすい位置にある点は押さえておきましょう。

国公立12校のストレート合格率10年推移をまとめて比較したい方は、国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめをご覧ください。第118回単年の詳しい順位は、第118回 国公立歯学部ストレート合格率ランキングで確認できます。

出典:文部科学省(ストレート合格率)

コホート追跡|入学53人のゆくえ(R元コホートはストレート卒業率74%)

次に、実際に入学した学生がどの学年で減っていくのかを、入学年度別(コホート)に追跡します。対象は、卒業・国家試験までの結果が確定している令和元年度入学世代(第118回国試受験世代・入学者53人)です。あわせて、令和2年度入学世代についても、大学が公表した令和7年5月1日時点の途中経過を点線で示します。

図:入学者のゆくえ(令和元年度・令和2年度入学世代のコホート生存曲線)。令和2年度は令和7年5月1日時点の公表分(6年次まで)を表示(ストレート卒業・合格は未公表)。出典:文部科学省の調査様式に基づく大学公表データをもとに当ブログ作成

入学世代入学2年次3年次4年次5年次6年次ストレート卒業国試合格
令和元年度(第118回)53人50人40人40人40人39人39人(74%)36人(67.9%)
令和2年度(令和7年5月1日時点)53人48人42人36人36人36人未公表未公表

※各学年の人数は、入学者のうち留年・休学・退学をせずにその学年までストレートで進級した人数です(%は各世代の入学者数が分母)。人数が減っている分だけ、その学年で留年するなどして予定どおり進級できなかった学生がいることを意味します。令和2年度入学世代は、今回参照した大学公表資料(令和7年5月1日現在)では6年次36人までが掲載されており、現在も6年次に在籍中です。この世代のストレート卒業・合格の集計はまだ公表されていないため、最終的な実績は現時点では確定していません。

令和元年度入学世代のストレート卒業率は74%

令和元年度入学世代の動きを見ていきます。53人でスタートし、2年次50人(3人減)、そして3年次で40人へと10人減っています。ここが本世代で最大の落ち込みです。ところがその後は、3年次40人、4年次40人、5年次40人と3年間まったく減らずにフラットに推移し、6年次で39人になりました。

そしてストレートで卒業できたのは39人。入学者53人に対してストレート卒業率は74%です。おおむね4人に3人が6年間で卒業までたどり着いている計算になります。ここで注目したいのは、この令和元年度入学世代では、6年次に進級した39人が全員、標準修業年限内(6年)で卒業している(6年次から卒業までの脱落がゼロ)ことです。前半に関門はあるものの、そこを越えて6年次まで到達したこの世代の学生は、結果として全員が卒業までたどり着きました。

卒業した39人のうち36人が国家試験に合格

一方で、卒業したあとの国家試験では少し数字が動きます。ストレート卒業した39人のうち、第118回国家試験に合格したのは36人でした。入学者53人を分母にしたストレート合格率は67.9%です。

ここで、混同しやすい2つの数字を整理しておきます。厚生労働省が公表する第118回の東北大学の新卒合格率は87.2%ですが、これは「その年度の新卒受験者47人」を分母にした数字です。この47人は、令和6年度に6年次に在籍していた学生全員(卒業留年率0%のため、6年次在籍者全員が同年度に卒業して新卒受験)にあたります。

注意したいのは、この47人には留年を経験した学生も含まれることです。47人のうち、令和元年度入学で標準どおり6年間で卒業したのは39人。残りの8人は、それより前の入学世代で留年を経験し、この年度に卒業した学生です。新卒受験47人のうち合格したのは41人、そのうち標準修業年限内で卒業した学生の合格は36人でした。つまり、差の5人は延長修業年限で卒業した8人のうちの合格者です。

このように、新卒合格率87.2%(分母47・その年度の新卒受験者)とストレート合格率67.9%(分母53・令和元年度入学者)は、分母も対象も異なる別の指標です。並べて比べる際は、この違いを押さえておいてください。

※ なお、歯科医師国家試験の結果は年度によって変動します。厚生労働省が公表する直近の第119回(2026年3月発表)では、東北大学の新卒合格率は85.1%(前年の第118回は87.2%)、総数でも65.2%(前年71.4%)と下がりました。いつの世代も同じ結果になるとは限りません。あくまで確定データが揃った世代の実績として捉えてください(第119回は新卒・総数の数値で、ストレート=修業年限内の集計はまだ第118回までが最新です)。

出典:文部科学省の調査様式に基づき大学が公表した修学状況データ(令和7年5月1日基準)/厚生労働省(新卒・総数合格率)

どの学年でつまずくか|脱落は2→3年次に集中(14.5%)

「どの学年でつまずきやすいか」は、大学選びでいちばん知りたいところでしょう。ここで注意が必要です。よく使われる学年別の留年率(その年度の在籍者のうち、留年・休学を経験した学生の割合)では、実は「どの学年でつまずくか」は正確にはわかりません。留年・休学を経験した学生は上の学年に積み上がっていくため、高学年ほど数字が大きく出やすいからです。

そこで本記事では、入学した世代(コホート)ごとに、各学年で何%の学生が予定どおり上の学年へ進級できず脱落したかを計算しました。令和元年度から令和6年度までの入学世代について、大学が公表している入学年度別の進級データ(令和7年5月1日現在)を用い、各学年遷移の脱落率をプール集計したものが次の図と表です。

図:学年別の脱落率(入学複数世代のプール集計)。4→5年次・6年次→卒業は集計対象コホート数が少ない点に注意。出典:文部科学省の調査様式に基づく大学公表データをもとに当ブログ作成
学年(遷移)1年次(入学→2年)2年次(2→3年)3年次(3→4年)4年次(4→5年)5年次(5→6年)
脱落率4.7%14.5%6.2%0.0%1.3%

結果ははっきりしています。東北大学で最も脱落率が高いのは2年次から3年次に上がるときの14.5%です。1年次から2年次は4.7%、3年次から4年次は6.2%と、2→3年次以外はいずれも一桁台にとどまり、4年次から5年次は0.0%、5年次から6年次は1.3%とほぼフラットに推移します。つまり東北大学は、2年次から3年次に上がる時期に最大の関門があり、そこを越えれば卒業までの道のりは比較的安定している、という構造です。

これは、当ブログで以前取り上げた私立のテンプレ校(低学年に脱落が集中する型)とも、九州歯科大学(高学年ほど脱落が上がっていく型)とも異なる形で、本記事ではこれを便宜的に「2年次の壁」型と呼ぶことにします。

なお、4年次から5年次(0.0%)と、6年次からストレート卒業(0.0%)の数字がゼロになっていますが、これらは集計に使えた入学世代の数が他の遷移より少ない点に注意が必要です。とくに6年次からストレート卒業への脱落率0.0%は、卒業まで到達した令和元年度世代のみ(1世代分)のデータです。前のセクションで見たとおり、この39人は全員が標準修業年限内に卒業しており堅実な結果ではありますが、統計的な安定性は複数世代を集計した2→3年次などの遷移より低い点は押さえておいてください。

参考までに、令和元年度から令和6年度までの各入学世代の生存曲線を重ねて描いたのが次の図です。多くの世代で、2年次から3年次に上がるタイミングでの落ち込みが目立ちます(ただし、落ち込みの大きさには世代によって差があります)。

図:入学世代別(令和元〜令和6年度)の生存曲線の重ね描き。各世代の実入学者数で正規化。到達している学年までを表示。出典:文部科学省の調査様式に基づく大学公表データをもとに当ブログ作成
  • 今回のデータでつまずきやすいのは2年次から3年次に上がるタイミング。ここを越えた世代では、その後の進級は比較的安定していました(ただし高学年まで追える世代はまだ限られます)。
  • 逆に言えば、2年次までの学習でしっかり土台を固めることが、その後の6年間を左右するとも言えます。

なお、なぜ2→3年次で脱落が集中するのか、その理由までは公表データからはわかりません。基礎系科目や進級判定基準などが考えられますが、データから断定はできません。数字はあくまで結果の傾向として受け止めてください。

出典:文部科学省の調査様式に基づき大学が公表した修学状況データ(令和7年5月1日現在・編入学を除く)

留年率は九州歯科より高水準|退学率0.5%は国公立で中位・私立より低い

次に、留年率と退学率を確認します。この2つは、東北大学では対照的な数字になっています。

留年率(在籍者ベース)は13.8〜18.0%の範囲

まず、その年度の在籍学生のうち、留年・休学を経験した学生の割合(在籍者ベースの留年率・文部科学省の集計)を見ます。東北大学全体の留年率は、平成26年度以降で最小13.8%(令和2年度)〜最大18.0%(令和6年度)の範囲で推移し、令和7年度は17.1%でした。

平成26年度の13.9%から平成29年度の17.7%にかけて上昇し、令和2年度に13.8%まで一度下がったのち、令和6年度に18.0%まで再び上がっています。一貫して上昇し続けているわけではありません。近年やや高めに出ている点については、進級や卒業の判定が慎重になっている可能性も考えられますが、断定はできません。

この東北大学の留年率(13.8〜18.0%)は、当ブログが以前取り上げた九州歯科大学(8.5〜12.8%)と比べると、一貫して高めの水準で推移しています。

令和7年度の学年別の留年率は、1年次1.9%、2年次24.2%、3年次20.8%、4年次11.8%、5年次21.4%、6年次23.4%でした。最も高いのは2年次の24.2%で、6年次も23.4%と高い水準です。前のセクションで見た「2年次から3年次への脱落率14.5%が最大」という傾向と、2年次の留年率が高いことは整合的です。ただし留年率は在籍者ベースの単年の指標、脱落率は複数世代を追跡した累積の指標であり、定義が異なる点にはご注意ください。

退学率0.5%は国公立で中位・私立より低い

一方で、退学率を見てみます。令和4〜6年度の3か年平均で、東北大学の退学率は0.5%です。国公立12校の平均が約0.6%なので、国公立の中ではちょうど中位くらいの水準ですが、私立17校平均の4.4%と比べると、私立よりはかなり低い数字です。

区分退学率(令和4〜6年度3か年平均)
東北大学0.5%
国公立12校 単純平均約0.6%
私立17校 単純平均4.4%

国公立の中では平均並み(中位)ですが、私立17校平均の4.4%と比べると大幅に低い水準です。直近3年度の実績で見るかぎり、私立と比べれば、いったん入学した学生が退学する割合は少ない大学だといえます。また、退学が少ないことから、前のセクションで見た進級者数の減少の多くは、退学ではなく留年・休学による可能性が高いと考えられます(ただし、減少の個別の内訳までは公表されていません)。

つまり東北大学は、留年・休学を経験する学生の割合は相対的に高めに出る一方で、私立と比べれば退学は少ないという構造です。関門でつまずいても、退学せずに時間をかけて卒業まで学び続ける学生が多い、と読み取ることもできます。なお、私立との退学率の差は設置形態(国公立/私立)の違いによる面もあり、大学の教育の質の優劣を単純に示すものではありません。

出典:文部科学省(留年率・退学率)

学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ

ここからはお金の話です。東北大学は国立大学のため、学費は大きな魅力のひとつです。

学費の内訳(2026年度)

項目金額
入学金282,000円
年間授業料535,800円 × 6年
入学金+授業料の6年合計3,496,800円

東北大学の入学金+授業料の6年合計349.68万円は、文部科学省が定める国立大学の標準額とまったく同じ水準です(年間授業料535,800円は国立標準額と同額)。国立大学のため、九州歯科大学のような県内者・県外者の区別はなく、一律です。なお、この金額は入学金と授業料のみの合計で、このほかに学生保険や実習器具、教科書・参考書、学外実習の交通費などの諸費用が別途かかります

これを私立と比べると、その差は歴然としています。私立17校の6年総額の単純平均は約2,611万円。東北大学はその約7.5分の1にあたります。私立で最も安い明海大学・朝日大学(1,793万円)と比べても約5.1分の1です。学費を負担するご家庭にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。なお、この学費差は国公立と私立という設置形態の違いによるものであり、教育内容や指導の質を示すものではありません。

最新情報は必ず大学公式サイト・募集要項でご確認ください。

留年1年の経済的リアリティ(当ブログの独自試算)

当ブログでは、留年1年の経済的損失を1,500万円と試算しています。

  • 学費 500万円(※実際の各大学の学費額ではなく、全大学共通の固定値です)
  • 生活費 200万円
  • 機会損失 800万円(キャリア終盤の1年分の年収が消える考え方)

この試算はあくまで当ブログ独自のモデル計算です。ただし、この500万円は全大学共通の固定値モデルであり、東北大学の実際の年間授業料は535,800円(国立大学標準額と同額)と、モデル値よりはるかに低い水準です。実額に置き換えると、留年1年あたりの損失は、実際の授業料約54万円に生活費や機会損失を加えたおよそ1,000万円程度が目安になります。ただし、生活費200万円・機会損失800万円は一定の前提を置いた概算であり、住まいや就職の時期、将来の収入などによって実際には大きな個人差があります。1,500万円という数字は、東北大学の実際の追加負担額ではなく、複数の前提を置いた参考シナリオとしてご覧ください。

ここで、先ほどのコホートのデータを思い出してください。確定コホート(令和元年度入学世代)のストレート卒業率は74%。約4人に3人はストレートで卒業できる計算ですが、外れてしまった場合の経済的な影響は、学費の安い国立でも決して小さくありません。とくに生活費や将来の収入機会の損失は、国立か私立かに関係なく生じます。学費を負担する保護者の方にとっては、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。学費の安さという大きなメリットがある一方で、留年した場合の生活費や機会損失は設置形態に関係なく生じる、という両面を押さえておきましょう。

出典:東北大学 公式サイト(学費)/私立17校の学費は各大学公式サイト

偏差値60(国公立最高水準タイ)とストレート合格率12校中10位|連動しない入口と出口

最後に、国公立12校の中での立ち位置を「入口(偏差値)×出口(ストレート合格率)」で整理します。

東北大学の河合塾 方式別偏差値は60.0(2027年度)、共通テスト得点率は73%です(いずれも2026年7月確認時点の予想値)。方式別偏差値60.0は、大阪大学・東京科学大学と並び、国公立12校の中で最高値です(ただし共通テスト得点率は、大阪大学・東京科学大学が75%であるのに対し、東北大学は73%とやや低めです)。入口は上位グループです。一方、出口のストレート合格率3年平均は70.0%で12校中10位の下位グループでした。つまり東北大学は、入口の偏差値は国公立最高水準ですが、出口は12校中10位という、対照的な位置にあります。

ここで大切なのが、国公立12校全体を見ると、偏差値とストレート合格率の間にはほとんど相関がないことです。国公立12校で偏差値(方式別)とストレート合格率3年平均の相関係数を計算すると、r≒−0.01とほぼゼロでした。参考までに、当ブログが以前私立16校(BF校を除く)で同じ計算をしたときはr≒0.73で、こちらは「偏差値が高い大学ほど出口も高め」という緩やかな右肩上がりの傾向が見られました(ただし例外もあります)。国公立ではその緩やかな傾向すら当てはまらないのです。

図:河合塾 方式別偏差値(2027)× ストレート合格率3年平均の散布図(国公立12校)。偏差値とストレート合格率の相関はほぼゼロ。出典:河合塾・文部科学省をもとに当ブログ作成

つまり、今回の国公立12校とこの指標の組み合わせでは、偏差値とストレート合格率の間に直線的な関係はほとんど確認できませんでした。だからこそ国公立では、大学ごとにストレート合格率を個別に確認することが大切です

なお、偏差値60.0が並ぶ3校(大阪大学・東京科学大学・東北大学)の中で見ると、東北大学のストレート合格率3年平均70.0%は最も低い数字ではあります。ただし、これを「偏差値が高いのに合格率が低い」といった因果関係で解釈するのは適切ではありません。

なぜなら、この結果は参考程度に受け止めるべきものだからです。国公立12校というサンプルは小さく(n=12)、偏差値も方式別で55・57.5・60の3水準に集中しているため、横軸の分解能が低いという限界があります。そもそも相関がほぼゼロである以上、回帰線そのものに偏差値から合格率を説明する力はほとんどなく、今回の結果を国公立歯学部全般に一般化することはできません。

いずれにせよ、偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。国公立ではこの2つが連動しないからこそ、大学選びでは必ず両方を確認してください。当ブログの歯学部偏差値ランキングの分析記事では、国公立12校の偏差値・共通テスト得点率・ストレート合格率を同じ表で比較していますので、あわせてご覧ください。

出典:河合塾(偏差値・共通テスト得点率)/文部科学省(ストレート合格率)

まとめ|3つのポイント

本記事のポイントを3つにまとめます。

  1. 出口の実績: ストレート合格率は直近3年平均70.0%で国公立12校中10位の下位グループ。ただし、確定した令和元年度入学世代はストレート卒業率74%で、6年次まで到達した39人は全員が標準修業年限内に卒業している
  2. 構造: 退学率0.5%(令和4〜6年度平均)は国公立では中位だが私立より低く、留年・休学を経験する割合は高めでも退学は少ない構造。複数世代を平均すると、ストレート進級から外れる割合は2年次から3年次への移行時に最も高い
  3. お金: 入学金+授業料の6年合計349.68万円(国立標準額)は私立平均の約7.5分の1という大きなメリット。ただし留年すれば、学費が安い国立でも生活費や将来の収入機会の損失が生じる(当ブログの留年1年1,500万円モデルは私立想定の参考試算・実額ベースではおよそ1,000万円程度が目安)

確定コホートのストレート卒業率は74%。約4人に3人はストレートで卒業できる計算ですが、外れてしまった場合には、学費の安い国立でも、生活費や将来の収入機会の面で大きな経済的影響が生じます。

なお、本記事で示した数字はあくまで統計的な評価です。合格や進級を最終的に決めるのは一人ひとりの学習習慣であって、東北大学の在学生や志願者の方を貶める意図はまったくありません。入口の偏差値が高いからといって、出口の実績が自動的に保証されるわけではありません。ただ、公表されているデータでは、2年次から3年次への移行時に最も大きく減り、そのあとのストレート進級は比較的安定していました(高学年まで追える世代はまだ限られます)。2年次までの学習習慣を大切にすることが、ストレート合格への近道といえそうです。

東北大学だけでなく、全国29歯学部の留年率・卒業率・ストレート合格率を横断的に比較したい方は、「歯学部 留年率・卒業率ランキング【全29大学・最新データ】」もあわせてご確認ください。

データ出典: 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」/厚生労働省 歯科医師国家試験結果/河合塾(偏差値)/東北大学 公式サイト

スポンサーリンク
ABOUT ME
シカラボ(shika-lab)
シカラボ(shika-lab)
公式データで歯学部を分析
歯学部受験情報館を運営しているシカラボです。 教育機関で10年以上、歯学部に関するデータを扱ってきました。 入学者ベースのストレート合格率・留年率・退学率など、見落とされやすい指標を、 厚生労働省・文部科学省・各大学公式サイトの一次資料から継続的に分析しています。
記事URLをコピーしました