長崎大学の留年率・ストレート合格率・学費【最新データで総点検】【2026年8月更新】

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長崎大学に入学したら、6年で歯科医師になれる可能性はどのくらいあるのか。どの学年で留年しやすく、6年間でいくらかかるのか。本記事では、文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」、厚生労働省の歯科医師国家試験結果、河合塾の偏差値データ、そして大学公式サイトの公表データを使って、パンフレットでは見えにくい「入学後の6年間」を総点検します。

先に結論をお伝えすると、長崎大学の確定している世代(平成30年度入学=第117回国試世代)は、入学から3年次まで50人全員が進級しています。ここには一切の脱落がありません。一方、そこから標準の6年で卒業できたのは41人。つまり最後の3年間で9人(18.0%)が、予定どおりには進めなかったことになります。この「3年次まで50人・卒業41人」という両端の数字は、当ブログが確認した範囲では、公表資料の版が変わっても動いていません。

ただし、この9人が具体的にどの学年で減ったのかは、大学が公表した資料の版によって数値が異なります。この点は視聴者の方からご指摘をいただいた論点で、本文(セクション4)で正直にご説明します。

出口の実績は堅調です。直近のストレート合格率(修業年限内合格率)は78.0%を2回連続で記録し、これは10年間で最も高い水準3年平均76.0%は国公立12校中6位の中位グループで、単年で見ても7位・4位・6位と大きく振れません。入口の側を見ると、河合塾の方式別偏差値55.0でそろう国公立4校(新潟・長崎・九州歯科・徳島)の中では、長崎大学の出口実績は僅差の2位です(新潟80.0% > 長崎76.0% > 九州歯科73.7% > 徳島62.5%)。

一方で、退学率1.1%は国公立12校の中で最も高いグループにあたります。この記事では、「最後の3年間で何が起きたか」「公表資料の版による見え方の違い」「明確な壁がない漸増型の進級」「退学率と学費」という特徴をデータで確認し、最後に受験生・保護者の方への前向きな提言でまとめます。


目次

  1. 長崎大学の基本情報
  2. ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
  3. ストレート合格率の10年推移|3年平均76.0%は国公立12校中6位
  4. コホート追跡|入学50人のゆくえ(最後の3年間で9人が離脱)
  5. どの学年でつまずくか|漸増型で明確な壁はない
  6. 留年率は13.8〜17.9%で推移|退学率1.1%は国公立12校で最高グループ
  7. 学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ
  8. 偏差値は指標で評価が割れる(方式別55.0×学部学科57.5)——同ランク4校で僅差の2位
  9. まとめ|3つのポイント

長崎大学の基本情報

まず、大学の基本プロフィールを押さえておきます。

項目内容
所在地〒852-8588 長崎市坂本1-7-1
入学者数実績として50人で推移(平成30〜令和6年度・大学公表資料より)
河合塾偏差値(2027年度)方式別55.0/学部学科ランク57.5/共通テスト得点率70% ※2026年7月確認時点の予想値
学費(入学金+授業料の6年合計)349.68万円(国立標準額・県内外の区別なし)※2026年度掲載額・諸費用別途
大学院大学院医歯薬学総合研究科(医学部・薬学部と統合した組織)

長崎大学の大学院は歯学部単独ではなく、医学部・薬学部と統合した「大学院医歯薬学総合研究科」という組織になっています。

本記事で扱うストレート合格率・進級・卒業・国家試験合格などの数値は、すべて歯学科(歯科医師を養成する6年制課程)のみを対象としています。また、募集人員の選抜方式別の内訳(一般選抜・学校推薦型選抜等)は今回参照した公開情報では確認できませんでしたが、大学が公表している入学者数(1年次の学生数)は平成30年度から令和6年度まですべての年度で50人と安定しています。本記事では、この50人という数字をもとにコホート(入学世代)を追跡していきます。

なお、九州には九州大学・九州歯科大学・福岡歯科大学・長崎大学・鹿児島大学の5つの歯学部・歯科大学があります。そのため本記事では「九州唯一」といった位置づけの表現は使いません。

長崎大学が公表している進級・卒業の詳細データは、令和6年5月1日時点が最新です。この時点で確定している世代は、入学後3年間は全員が順調に進級した一方、そこから卒業までの3年間で状況が変わっていることが分かっています。数字の背景にある「どの段階でどう変わるか」を知っておくと、大学生活を見通すうえでの安心材料になります。

出典:長崎大学 公式サイト(所在地・大学院)/河合塾(偏差値)/大学公表資料(入学者数)


ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)

本題に入る前に、当ブログが最重要指標としている「ストレート合格率」を説明します。すでにご存じの方は次のセクションへ進んでください。

大学の広告やパンフレットでよく使われるのは新卒合格率です。これは歯科医師国家試験の新卒受験者数を分母とした合格率で、卒業試験や進級判定で受験者が選別されたあとの数字です。つまり、入学前の人が本当に知りたい「入学してから歯科医師になれる確率」は、新卒合格率からは見えません。

そこで当ブログが主軸にしているのがストレート合格率(正式名称:修業年限内合格率)です。

  • 分母: 入学者数
  • 分子: 6年間(修業年限内)で国家試験に合格した人数

入学者を分母にするため、留年や退学も含めた6年間の現実がそのまま反映されます。

※ 本記事のコホート追跡・ストレート合格率・学年別脱落率の数値は、大学が文部科学省の様式に沿って公表しているデータに基づき、編入学を除く入学者ベースです(大学公表資料の注記に準拠)。


ストレート合格率の10年推移|3年平均76.0%は国公立12校中6位

それでは、長崎大学のストレート合格率を、第109回から第118回までの10年分で確認します。

ストレート合格率の10年推移(長崎大学 vs 国公立12校平均・第109〜118回)。第113回・第114回はともに64.0%で並ぶ底、第117回・第118回はともに78.0%で10年間の最高値。出典:文部科学省のデータをもとに当ブログ作成

図の実線が長崎大学、破線が国公立12校平均です。序盤は破線を大きく下回っていた実線が、後半では破線の上に出ているのが見て取れます。数値で確認していきましょう。

受験回長崎大学国公立12校平均差(長崎−平均)
第109回52.0%67.4%−15.4pt
第110回56.0%69.6%−13.6pt
第111回72.0%72.1%−0.1pt
第112回68.0%70.9%−2.9pt
第113回64.0%69.9%−5.9pt
第114回64.0%71.5%−7.5pt
第115回68.0%65.7%+2.3pt
第116回72.0%71.3%+0.7pt
第117回78.0%75.0%+3.0pt
第118回78.0%75.6%+2.5pt

※表の「差(長崎−平均)」は、丸める前の平均値から算出しています。そのため第118回では、表に示した平均値(小数第1位)との単純な引き算と0.1ポイントずれて見えます(平均が75.55%と四捨五入の境界にあたるためです)。

※国公立12校平均は、当ブログが文部科学省のデータをもとに独自に算出した数値です。東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生した大学で(「改称」ではありません)、この集計では統合前の東京医科歯科大学の実績を東京科学大学の実績として通算しています。

このデータから読み取れることは3つあります。

1つ目は、第117回・第118回の78.0%が10年間で最も高い水準であり、それを2回連続で記録していることです。10年間の実数値は最小52.0%(第109回)〜最大78.0%(第117回・第118回)で、その差は26.0ポイントあります。

2つ目は、第113回・第114回(ともに64.0%)が谷になっていることです。第111回に72.0%まで上がったあと、第112回で68.0%、第113回で64.0%と下がり、第114回も64.0%で横ばい。この2つの回が同じ数字で並んでいるため、「第113回を底に」と1つの回だけを指すのは正確ではありません。そこから第115回68.0%→第116回72.0%→第117回78.0%→第118回78.0%と回復しています。

3つ目は、この10年は「一貫して上昇」ではないということです。前年からの増減を並べると、+4.0pt → +16.0pt → −4.0pt → −4.0pt → 0pt → +4.0pt → +4.0pt → +6.0pt → 0pt となり、上昇・下落・横ばいが混ざっています。

国公立12校平均との差にも注目してください。第109回・第110回は平均を15.4ポイント・13.6ポイント下回っていましたが、第115回以降は4回連続で平均を上回っています(+0.7pt〜+3.0pt)。10年をかけて「平均を大きく下回る状態」から「安定して平均をやや上回る状態」へと位置が変わってきた、という読み取り方ができます。ただし、なぜそうなったのかは公表データからは分かりません。

なお、参考までに私立15大学平均(第109〜118回で36%台〜43%台)と比べると、長崎大学は最も落ち込んだ第109回(52.0%)を含め、いずれの回も上回っています。ただし、これは国公立と私立という設置形態の違いによるもので、大学の教育の質の優劣を示すものではありません。国公立は選抜性が高く定員も少ないため、私立平均との単純比較には注意が必要です。

※私立15大学平均は、ストレート合格率が突出して高い東京歯科大学・昭和医科大学(旧・昭和大学)の上位2校を除いた、当ブログ独自集計の平均値です。

※ ここでのストレート合格率は、文部科学省の修学状況データに基づくもので、確認できる最新回は第118回です。厚生労働省が公表する国家試験の結果自体は第119回(2026年3月発表)まで出ていますが、ストレート(修業年限内)の集計は第118回までが最新である点にご注意ください。

直近3年平均は76.0%=国公立12校中6位

単年の数字はぶれるため、当ブログでは直近3年の平均で評価します。第116〜118回の各回のストレート合格率を平均すると76.0%で、国公立12校中6位です。

※ 本記事の3年平均は、各回の合格率(%)を単純平均したものです(12校すべて同じ方法でそろえています)。長崎大学は3年とも入学者数が50人でそろっているため、入学者数と合格者数をそれぞれ合算して求める方法(加重平均)でも76.0%となり、どちらの計算でも同じ数字になります。

順位大学3年平均(第116〜118回)
1位北海道大学84.1%
2位岡山大学82.7%
3位鹿児島大学81.8%
4位新潟大学80.0%
5位東京科学大学76.5%
6位長崎大学76.0%
7位九州歯科大学73.7%
8位広島大学72.3%
9位大阪大学71.1%
10位東北大学70.0%
11位徳島大学62.5%
12位九州大学57.0%

出口の実績としては、12校のちょうど真ん中あたり、上位グループの一歩手前という位置です。5位の東京科学大学(76.5%)とは0.5ポイント差、4位の新潟大学(80.0%)とは4.0ポイント差で、上位グループとの距離はそれほど大きくありません。

ここで、長崎大学の特徴をもう1つお伝えします。単年で見ても、長崎大学の順位はあまり動きません。 第116回は7位(72.0%)、第117回は4位(78.0%)、第118回は6位(78.0%)で、3年平均の6位という順位の近くに収まっています。当ブログが以前扱った新潟大学は同じ3年間で1位相当と11位相当を行き来し、鹿児島大学も1位と8位相当の間で動いていました。単年の数字だけで評価が大きく変わってしまう大学がある中で、長崎大学は比較的安定して中位に位置しているタイプだといえます。ただし、単年順位(7位・4位・6位)と3年平均順位(6位)は別の数字ですので、混同しないようご注意ください。

国公立12校のストレート合格率10年推移をまとめて比較したい方は、国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめをご覧ください。第118回単年の詳しい順位は、第118回 国公立歯学部ストレート合格率ランキングで確認できます。

出典:文部科学省(ストレート合格率)


コホート追跡|入学50人のゆくえ(最後の3年間で9人が離脱)

次に、実際に入学した学生がどの学年で減っていくのかを、入学年度別(コホート)に追跡します。ただし、その前に大切な前提が1つあります。

まず「データの時点」を整理する

当ブログがこれまで扱った東北大学・徳島大学は、修学状況の公表データが令和7年5月1日現在で、令和元年度入学世代(第118回国試世代)まで卒業・国家試験の結果が確定していました。一方、長崎大学の進級・卒業の詳細データは令和6年5月1日現在が最新です。 そのため、卒業・国家試験の結果まで確定している最新の世代は**平成30年度入学(第117回国試世代)**で、東北大学・徳島大学より1世代ぶんさかのぼることになります。

これは大学が情報を出していないという話ではありません。長崎大学は令和6年5月1日時点までの入学年度別の進級マトリクスを詳細に公開しており、公表の内容自体はむしろ手厚い部類です。ポイントは、進級・卒業の詳細データには基準日があり、次の更新までは新しい世代の結果が反映されないという仕組みの側にあるということです。

本記事で使うデータの「時点」の違い。大学が公表する進級・卒業の詳細データは第117回(平成30年度入学の卒業)で凍結している一方、文部科学省が毎年発表するストレート合格率は第118回まで確認できる。出典:長崎大学 公表の修学状況データ・文部科学省をもとに当ブログ作成
データの種類確認できる最新の時点出典
進級マトリクス・コホート生存曲線(本セクション)平成30年度入学(第117回)まで確定・令和6年5月1日現在長崎大学 公式サイト
ストレート合格率の推移・3年平均(セクション3)第118回まで(最新)文部科学省

同じ「長崎大学の国家試験まわりの数字」でも、コホート追跡は1世代前の確定データ、ストレート合格率の推移はより新しいデータであることを、頭の片隅に置きながら読み進めてください。なお、厚生労働省が公表する新卒・総数の合格率はさらに新しく、第119回(2026年3月発表)まで確認できます。

確定コホート(平成30年度入学50人)のゆくえ

それでは、卒業・国家試験まで結果が確定している平成30年度入学世代(第117回国試世代・入学者50人)を追跡します。あわせて、令和元年度入学世代の途中経過(令和6年5月1日時点)を点線で示します。

入学者のゆくえ(平成30年度・令和元年度入学世代のコホート生存曲線)。平成30年度は卒業・国家試験まで確定、令和元年度は令和6年5月1日時点の公表分(6年次到達まで)を表示。3年次までは50人全員、そこから卒業までに9人が減っている。出典:長崎大学 公表の修学状況データをもとに当ブログ作成

実線が確定している平成30年度入学世代、破線が令和元年度入学世代です。実線は3年次まで完全に水平で、そこから最後に大きく下がっています。人数で追ってみましょう。

学年の段階人数入学者50人に対する割合
入学(1年次)50人100%
2年次50人100%
3年次50人100%
4年次50人100%
5年次49人98.0%
6年次48人96.0%
ストレート卒業41人82.0%
国家試験合格39人78.0%

50人でスタートし、1年次から3年次までは1人も減らず、50人全員がそのまま進級しています。入学から3年間、留年・休学・退学のいずれもなく全員が進級したということです。

一方、標準の6年で卒業できたのは41人でした。3年次の50人から見ると9人(18.0%)が、最後の3年間で予定どおりには進めなかったことになります。そして、ストレート卒業した41人のうち第117回国家試験に合格したのは39人。入学者50人を分母にしたストレート合格率は**78.0%**です。

この9人が「どの学年で」減ったのかは、公表資料の版によって異なります

ここで、本記事を読むうえで大切な点をお伝えします。この9人が具体的にどの学年で減ったのかについては、大学が公表した資料の版(基準日)によって数値が異なります。 2026年7月、当ブログの視聴者の方から、長崎大学の修学状況データは公表するたびに数値が少し変わる、というご指摘をいただきました。ご指摘によると、同じ平成30年度入学の学生について、次のように記載されていたとのことです。

公表資料の基準日1〜3年次4年次5年次6年次
令和6年5月1日現在(本記事が採用)50人50人49人48人
令和5年5月1日現在(視聴者ご指摘・当ブログ未確認)50人49人49人41人
令和4年5月1日現在(視聴者ご指摘・当ブログ未確認)50人49人44人(当時未到達)
平成30年度入学世代の進級人数を、3つの公表版(令和6年・令和5年・令和4年の各5月1日現在)で比較したもの。3年次までは全版で一致。令和5年・令和4年5月1日現在の数値は視聴者ご指摘に基づく参考値で、当ブログでは一次資料を確認できていません。出典:長崎大学 公表の修学状況データ(令和6年5月1日現在は当ブログが一次確認済み)

当ブログでは、令和6年5月1日現在の資料についてはPDFとインターネット上のアーカイブの両方で内容を確認し、一致することを確かめています。ですが、それより前の基準日のPDFは今回入手できませんでした(アーカイブサービスを探しましたが、該当する保存が見つかりませんでした)。したがって、上の表と図の令和5年5月1日現在・令和4年5月1日現在の数値は視聴者の方からのご指摘に基づくものであり、当ブログが独自に一次資料で確認したものではありません。また、どちらの版が正しいかは、公表されている資料からは判断できないため、本記事では大学が公表している最新の版(令和6年5月1日現在)を採用しています。ここで大切なのは、本記事の主軸となる数字は、どの版を見ても変わらないということです。1年次から3年次までの50人・50人・50人は3つの版すべてで一致しており、標準修業年限内の卒業者41人・国家試験合格者39人は、大学の進級人数の集計とは別に文部科学省が毎年公表しているデータ(第117回のストレート合格率78.0%=39人/50人)とも一致します。つまり「3年次までは50人全員、そこから卒業まで9人(18.0%)減」という事実そのものは、どの版を採っても動きません。

なお、最新の公表版だけで見ると、6年次進級(48人)から卒業(41人)にかけての減少幅は14.58%です。ただし、この内訳は上記のとおり版によって変わりうるため、本記事では「卒業の壁」といった断定的な表現は使いません。

一方、**ストレート卒業した41人のうち、第117回国家試験の合格に至らなかった割合は4.9%**でした。当ブログが以前扱った徳島大学(同じ割合が18.18%)・鹿児島大学(同20.83%)で見られた「卒業から国家試験までの落ち込み」は、長崎大学では確認できません。ただしこれは平成30年度入学世代という1つの世代の実績であり、今後の世代にそのまま当てはまるとは限りません。

令和元年度入学世代は6年次到達までが公表分

令和元年度入学世代(第118回国試世代・入学者50人)以降の途中経過も見ておきます。

入学世代入学2年次3年次4年次5年次6年次
平成30年度(第117回・確定)50人50人50人50人49人48人
令和元年度50人47人45人43人43人39人
令和2年度50人50人48人47人40人
令和3年度50人47人45人40人
令和4年度50人47人44人
令和5年度50人49人
令和6年度50人

※各学年の人数は、入学者のうち留年・休学・退学をせずにその学年までストレートで進級した人数です(令和6年5月1日現在)。人数が減っている分だけ、その学年で留年するなどして予定どおり進級できなかった学生がいることを意味します。「-」はその学年にまだ到達していないため公表がない箇所です。

令和元年度入学世代は、1年次から4年次にかけて50人→47人→45人→43人と少しずつ減り、6年次到達は39人でした。令和2年度入学世代は4年次から5年次で47人→40人と7人減っています。序盤で1人も減らなかった平成30年度入学世代と並べると、世代によって歩みが違うことが分かります。その理由は公表データからは分かりません。

令和元年度以降の世代について、大学公表資料ではストレート卒業・国家試験合格の集計は公表されていません(データなし)。そのため、これらの世代の卒業率について本記事では予測をしません。なお、セクション3で見たとおり、文部科学省の年次集計では令和元年度入学世代にあたる第118回のストレート合格率が78.0%と判明していますが、これは大学の進級人数の集計とは別の統計であり、両者を直接つないで読むことはできません。

混同しやすい数字の整理

ここで、混同しやすい数字を整理しておきます。

まず、大学が公表した令和5年度の卒業留年に関する資料によると、**6年次に在籍していた学生は51人、そのうち卒業したのは44人で、卒業留年率は13.7%**でした。ここで注意したいのは、先ほどの平成30年度入学世代の「6年次進級者48人」と、この「6年次在籍総数51人」は別の集団だということです。51人は、平成30年度入学世代の48人に、それより前の入学世代で留年を経験して6年次に在籍している学生などを加えた、令和5年度時点の6年次在籍者全体です(この集計は編入学を含みます)。この2つの「6年次」の数字を同一視して、差の3人を「留年した学生数」と読むことはできません。

※ 大学の公式資料では、この卒業留年率が整数に丸めて「14%」と表記されています。本記事では(51人−44人)÷51人=13.7%という精密値を採用しています。0.3ポイントの差は大学側の整数丸めによるもので、データの不一致ではありません。

次に、厚生労働省が公表する第117回の長崎大学の**新卒合格率は93.18%**ですが、これは「その年度の新卒受験者44人」を分母にした数字です。この新卒受験者44人は、大学公表資料の卒業者総数44人と一致します(6年次在籍総数51人ではありません。この点は大学によって対応関係が異なるため注意が必要です)。44人の新卒受験者のうち、標準の6年で卒業したのは41人で、残る3人は延長した修業年限で令和5年度に卒業した学生とみられます。新卒で合格した41人と、コホート追跡で見た標準修業年限内の国家試験合格者39人の差2人は、この延長修業年限で卒業した学生のうちの合格者と考えられますが、正確な内訳は公表データからは分かりません。

最も大切なのは、新卒合格率93.18%(分母44・その年度の新卒受験者)と、ストレート合格率78.0%(分母50・平成30年度入学者)は、対象がまったく異なる別の指標だということです。長崎大学の第117回ではこの2つに15.18ポイントもの開きがあります。前者はその年度に新卒で受験した人の合格割合、後者は平成30年度に入学した50人が6年間で歯科医師になれた割合です。並べて比べる際は、この違いを必ず押さえておいてください。

※ なお、歯科医師国家試験の結果は年度によって変動します。厚生労働省が公表する直近の第119回(2026年3月発表)では、長崎大学の新卒合格率は89.13%(前年の第118回は93.62%)、総数合格率は82.69%(前年89.83%)でした。既卒の受験者6人のうち合格が2人だったことが総数を押し下げています。既卒の合格率を3年分並べると、第117回は60.0%(20人中12人)、第118回は75.0%(12人中9人)、第119回は33.3%(6人中2人)で、年度による振れが大きく、既卒の受験者数自体も20人から6人へと減っています。いつの世代も同じ結果になるとは限りません。原因については公表データからは分かりません(第119回は新卒・総数の数値で、ストレート=修業年限内の集計はまだ第118回までが最新です)。

出典:長崎大学 公表の修学状況データ(令和6年5月1日基準)/文部科学省(ストレート合格率)/厚生労働省(新卒・総数合格率)


どの学年でつまずくか|漸増型で明確な壁はない

「どの学年でつまずきやすいか」は、大学選びでいちばん知りたいところでしょう。ここで注意が必要です。よく使われる学年別の留年率(その年度の在籍者のうち、留年・休学を経験した学生の割合)では、実は「どの学年でつまずくか」は正確にはわかりません。留年・休学を経験した学生は上の学年に積み上がっていくため、高学年ほど数字が大きく出やすいからです。

そこで本記事では、入学した世代(コホート)ごとに、各学年で何%の学生が予定どおり上の学年へ進級できず脱落したかを計算しました。平成30年度から令和5年度までの入学世代について、大学が公表している入学年度別の進級データ(令和6年5月1日現在)を用い、各学年遷移の脱落率をまとめて集計したものが次の図と表です。

学年別の脱落率(入学複数世代のプール集計)。長崎大学は突出した学年の壁がなく、3.33%から5.71%へと緩やかに上昇する「漸増型」。出典:長崎大学 公表の修学状況データをもとに当ブログ作成
学年(遷移)1年次(入学→2年)2年次(2→3年)3年次(3→4年)4年次(4→5年)5年次(5→6年)
脱落率3.33%3.73%4.26%5.71%5.43%
集計世代数6世代5世代4世代3世代2世代

結果を見ると、長崎大学には「ここが壁」と言えるような突出した学年がありません。最も低い1年次から2年次が3.33%(5つの進級段階の中で最も小さい数字)、最も高い4年次から5年次が5.71%で、その差はわずか2.38ポイントです。学年が上がるにつれて3.33%→3.73%→4.26%→5.71%と緩やかに上がり、5年次から6年次は5.43%とわずかに戻ります(きれいな一本調子の上昇ではありません)。

これは、当ブログがこれまで扱ってきた国公立校とは異なる形です。九州歯科大学は高学年側の複数段階に脱落が集中し、東北大学は2年次から3年次に14.5%、新潟大学も同じ段階に8.81%が集中していました。徳島大学・鹿児島大学は1年次から2年次が約10%と最大でした。長崎大学にはそうした集中がなく、どの学年もおおむね3%台から5%台に収まっています。 本記事ではこれを便宜的に「漸増型」と呼ぶことにします。なぜこのような形になるのか、その理由は公表データからは分かりません。

参考までに、平成30年度から令和6年度までの各入学世代の生存曲線を重ねて描いたのが次の図です。入学者数が全世代で50人と一律のため、正規化はシンプルです。

入学世代別(平成30〜令和6年度)の生存曲線の重ね描き。各世代の入学者数50人で正規化。到達している学年までを表示。平成30年度入学世代は序盤が完全にフラットで、世代ごとの違いが大きい。出典:長崎大学 公表の修学状況データをもとに当ブログ作成

このグラフを見ると、世代ごとの違いが大きいことが分かります。平成30年度入学世代は3年次まで50人のまま1人も減っていない一方、令和元年度入学世代は2年次で47人、3年次で45人と早い段階から減り、令和2年度入学世代は4年次から5年次で47人から40人へと7人減っています。世代によって歩みが違うのはデータから確認できる事実ですが、その原因は公表データからは分かりません。

  • 複数の世代をならして見ると、どの学年にも突出した関門は見当たらず、脱落率は3.33%から5.71%の範囲に収まっています。ただしこれは複数世代をならした平均値であり、世代別に見ると、先ほど見たように特定の学年で大きく減った世代もあります。
  • 逆に言えば、どの学年でも同じくらいの割合で予定どおり進めない学生が出るということでもあります。「1年次さえ乗り切れば安心」という構造ではないため、6年間を通して学習のペースを保つことが大切です。

出典:長崎大学 公表の修学状況データ(令和6年5月1日現在・編入学を除く・歯学科のみ)


留年率は13.8〜17.9%で推移|退学率1.1%は国公立12校で最高グループ

次に、留年率と退学率を確認します。

留年率(在籍者ベース)は13.8〜17.9%の範囲

まず留年率です。ここでいう留年率は、文部科学省の集計で、その年度に在籍する学生のうち、在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合を指します(その年度に留年した学生だけを数えたものではありません)。長崎大学全体の留年率は、平成26年度以降で**最小13.8%(令和3年度・令和5年度)〜最大17.9%(平成27年度)**の範囲で推移しています。

年度全体の留年率
平成26年度16.7%
平成27年度17.9%
平成28年度17.0%
平成29年度15.2%
平成30年度14.7%
令和元年度14.2%
令和2年度14.9%
令和3年度13.8%
令和4年度15.3%
令和5年度13.8%
令和6年度15.1%
令和7年度14.7%

この12年分のデータで注目したいのは、長崎大学の留年率には一方向のトレンドが見られないことです。前年からの増減を数えると、上がった年は11回中4回にとどまり、上昇・下落が入り混じっています。当ブログが以前扱った新潟大学(令和元年度から令和7年度まで6年連続で上昇)や鹿児島大学のような、はっきりした連続上昇の傾向はここにはありません。また、直近の令和7年度(14.7%)は、平成27年度(17.9%)・平成28年度(17.0%)・平成26年度(16.7%)より低く、「直近が過去最高」という構図でもありません。全体としては、13%台後半から17%台の間で横ばいに変動している、というのが実態です。

令和7年度の学年別の留年率は、1年次2.0%、2年次11.1%、3年次16.4%、4年次16.3%、5年次22.4%、6年次20.0%でした。最も高いのは5年次の22.4%で、次いで6年次の20.0%、最も低いのは1年次の2.0%です。ただし、この学年別の留年率は「在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合」という累積の指標です。留年した学生は上の学年に積み上がるため、高学年ほど数字が大きく出るのは構造上あたりまえで、どの学年でつまずくかを示すものではありません。前のセクションで見た学年別の脱落率(入学世代ごとに各学年の遷移を追ったもの)とは定義が異なるため、この留年率を脱落率の裏付けとして読むことはできません。

退学率1.1%は国公立12校で最高グループ

次に、退学率を見てみます。令和4〜6年度の3か年平均で、長崎大学の退学率は**1.1%**です。

区分退学率(令和4〜6年度3か年平均)
長崎大学1.1%
国公立12校 単純平均約0.6%
私立17校 単純平均4.4%

この1.1%という数字は、国公立12校の平均(約0.6%)を上回り、徳島大学(1.1%)と並んで国公立12校の中では最も高いグループにあたります(12校を退学率の低い順に数えて11位のタイという位置です)。全国29の歯学部(国公立12校+私立17校)の中で見ると、長崎大学・徳島大学に私立の昭和医科大学(1.1%)を加えた3校が同率で並びます。

一方で、私立17校平均の4.4%と比べると大幅に低い水準である点も事実です。なお、私立との退学率の差は設置形態(国公立/私立)の違いによる面もあり、大学の教育の質の優劣を単純に示すものではありません。

ここまで見てきたとおり、長崎大学はストレート合格率3年平均が国公立12校中6位の中位である一方、退学率については国公立の中で最も高いグループに位置しています。これは、退学率が良好だった東北大学(0.5%)とも、中位だった新潟大学(0.9%)とも異なる組み合わせです。ただし、なぜ退学率がこの水準なのか、その原因は公表データからは分かりません。これらは統計上の割合であって、個々の学生の事情はさまざまです。数字を過度に一般化せず、事実として押さえておいてください。

出典:文部科学省(留年率・退学率)


学費は入学金+授業料の6年合計で約350万円(国立標準額)と留年1年の経済的リアリティ

ここからはお金の話です。長崎大学は国立大学のため、学費は大きな魅力のひとつです。

学費の内訳(2026年度)

項目金額
入学金282,000円
年間授業料535,800円 × 6年
入学金+授業料の6年合計3,496,800円

長崎大学の入学金+授業料の6年合計349.68万円は、文部科学省が定める国立大学の標準額とまったく同じ水準です(年間授業料535,800円は国立標準額と同額)。国立大学のため、県内者・県外者の区別はなく、一律です。なお、この金額は入学金と授業料のみの合計で、このほかに学生保険や実習器具、教科書・参考書、学外実習の交通費などの諸費用が別途かかります

これを私立と比べると、その差は歴然としています。私立17校の6年総額の単純平均は約2,611万円。長崎大学はその約7.5分の1にあたります。私立で最も高い東京歯科大学(3,190万円)と比べると約9.1分の1、私立で最も安い明海大学・朝日大学(ともに1,793万円)と比べても約5.1分の1です。学費を負担するご家庭にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。なお、この学費差は国公立と私立という設置形態の違いによるものであり、教育内容や指導の質を示すものではありません。

※ 本セクションの学費は、2026年7月時点で大学公式サイト等に掲載されている2026年度の金額に基づきます(2027年度の学費は本記事執筆時点で未公表のため、2026年度額を使用しています)。最新情報は必ず大学公式サイト・募集要項でご確認ください。

留年1年の経済的リアリティ(当ブログの独自試算)

当ブログでは、留年1年の経済的損失を1,500万円と試算しています。

  • 学費 500万円(※実際の各大学の学費額ではなく、全大学共通の固定値です)
  • 生活費 200万円
  • 機会損失 800万円(キャリア終盤の1年分の年収が消える考え方)

この試算はあくまで当ブログ独自のモデル計算です。ただし、この500万円は全大学共通の固定値モデルであり、長崎大学の実際の年間授業料は535,800円(国立大学標準額と同額)と、モデル値よりはるかに低い水準です。留年1年で新たに発生する費用(入学金は再度発生しないため年間授業料のみ)に置き換えると、留年1年あたりの損失は約1,000万円(535,800円+生活費200万円+機会損失800万円)が現実的な下限になります。ただし、生活費200万円・機会損失800万円は一定の前提を置いた概算であり、住まいや就職の時期、将来の収入などによって実際には大きな個人差があります。1,500万円という数字は、長崎大学の実際の追加負担額ではなく、複数の前提を置いた参考シナリオとしてご覧ください。

ここで、先ほどのコホートのデータを思い出してください。確定コホート(平成30年度入学世代)のストレート卒業率は82.0%。5人に4人程度がストレートで卒業できる計算です。ただし、3年次までは全員が進級しており、卒業までの最後の3年間で状況が変わることがある、という点は覚えておいて損はありません。学費を負担する保護者の方にとっては、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。学費の安さという大きなメリットがある一方で、留年や国家試験でつまずいた場合の生活費や機会損失は設置形態に関係なく生じる、という両面を押さえておきましょう。

出典:長崎大学 公式サイト(学費)/私立17校の学費は各大学公式サイト


偏差値は指標で評価が割れる(方式別55.0×学部学科57.5)——同ランク4校で僅差の2位

最後に、国公立12校の中での立ち位置を「入口(偏差値)×出口(ストレート合格率)」で整理します。

その前に、長崎大学の偏差値について1つ大切な注意点があります。長崎大学は、河合塾のどの偏差値指標を見るかによって評価が変わる大学です。2027年度入試向けの河合塾の数値を見ると、次のようになっています(いずれも2026年7月確認時点の予想値)。

  • 方式別偏差値:55.0(国公立12校の中では最も低いグループ。新潟・徳島・九州歯科と並ぶ)
  • 学部学科偏差値:57.5(複数の入試方式をまとめ直したランク・国公立12校の学部学科偏差値は57.5と60.0の2水準しかなく、57.5は低い方の水準にあたる6校のひとつ)
  • 共通テスト得点率:70%(長崎大学と九州歯科大学の2校のみが12校中最も低く、他の10校はいずれも72%以上)

このように、同じ長崎大学でも、方式別偏差値(55.0)と学部学科偏差値(57.5)とで評価が2.5ポイント分割れます。方式別偏差値では12校中最も低いグループ、学部学科偏差値では2つある水準のうち低い方の水準、という位置づけです。単純に「偏差値が低い」とひとくくりにできない大学なので、どの指標を見ているかを必ず確認する必要があります。なお、この方式別55.0×学部学科57.5という組み合わせは九州歯科大学とまったく同じで、長崎大学だけの特徴ではありません。

以下の散布図では、当ブログの他の分析記事と系列をそろえるため、方式別偏差値を横軸に使っています

河合塾 方式別偏差値(2027)× ストレート合格率3年平均の散布図(国公立12校)。横軸は方式別偏差値。偏差値とストレート合格率の相関はほぼゼロ。出典:河合塾・文部科学省をもとに当ブログ作成

まず入口と出口の事実を並べてみます。長崎大学の方式別偏差値55.0は国公立12校の中で最も低いグループ、出口のストレート合格率3年平均76.0%は12校中6位の中位です。ただし、これを「偏差値がこうだから合格率もこうなる」といった因果関係で解釈するのは適切ではありません。

同じ方式別偏差値55.0の4校で、出口は17.5ポイント開く

ここで、本記事でぜひお伝えしたい事実があります。方式別偏差値が55.0でそろう国公立4校を、出口のストレート合格率3年平均で並べてみると次のようになります。

順位大学方式別偏差値ストレート合格率3年平均
1位新潟大学55.080.0%
2位長崎大学55.076.0%
3位九州歯科大学55.073.7%
4位徳島大学55.062.5%

入口の偏差値がまったく同じ4校でも、出口の実績は最大17.5ポイント開きます。 その中で長崎大学は2位ですが、1位の新潟大学(80.0%)との差はわずか4.0ポイントで、いわば僅差の2位です。一方、最も低い徳島大学(62.5%)とは13.5ポイントの差があります。これは統計モデルによる推計ではなく、公表値をそのまま並べた事実です。同じ偏差値グループの上位・下位の大学について詳しく知りたい方は、同じ偏差値グループでトップの新潟大学の記事同じ偏差値グループの徳島大学の記事もあわせてご覧ください。

国公立では偏差値と出口がほとんど連動しない

4校の比較を12校全体に広げると、さらにはっきりします。国公立12校で偏差値(方式別)とストレート合格率3年平均の相関係数を計算すると、r≒−0.01とほぼゼロでした。参考までに、当ブログが以前私立16校(BF校を除く)で同じ計算をしたときはr≒0.73で、こちらは「偏差値が高い大学ほど出口も高め」という緩やかな右肩上がりの傾向が見られました(ただし例外もあります)。国公立ではその緩やかな傾向すら当てはまらないのです。

つまり、今回の国公立12校とこの指標の組み合わせでは、偏差値とストレート合格率の間に直線的な関係はほとんど確認できませんでした。だからこそ国公立では、大学ごとにストレート合格率を個別に確認することが大切です

なお、この結果は参考程度に受け止めるべきものです。国公立12校というサンプルは小さく(n=12)、方式別偏差値も55・57.5・60の3水準、学部学科偏差値も57.5・60の2水準に集中しているため、横軸の分解能が低いという限界があります。そもそも相関がほぼゼロである以上、回帰線そのものに偏差値から合格率を説明する力はほとんどなく、今回の結果を国公立歯学部全般に一般化することはできません。

いずれにせよ、偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。国公立ではこの2つが連動しないからこそ、大学選びでは必ず両方を確認してください。当ブログの歯学部偏差値ランキングの分析記事では、国公立12校の方式別偏差値・学部学科偏差値・共通テスト得点率・ストレート合格率を同じ表で比較していますので、あわせてご覧ください。

出典:河合塾(偏差値・共通テスト得点率)/文部科学省(ストレート合格率)


まとめ|3つのポイント

本記事のポイントを3つにまとめます。

  1. 構造: 確定している平成30年度入学世代は、1年次から3年次まで50人全員が進級。一方、そこから標準の6年で卒業できたのは41人で、最後の3年間で9人(18.0%)が予定どおりには進めなかった。この両端の数字は、当ブログが確認した範囲では版によって変わらないが、その9人がどの学年で減ったのかは、大学の公表資料の版によって見え方が異なる。進級の各段階(1〜6年次)の脱落率は3.33%〜5.71%と緩やかで、突出した学年の壁は見られない「漸増型」
  2. 出口の実績: ストレート合格率は直近3年平均76.0%で国公立12校中6位の中位。単年で見ても7位・4位・6位と大きくは振れない。第117回・第118回は78.0%で、10年間の最高値を2回連続で記録。同じ方式別偏差値55.0の4校(新潟・長崎・九州歯科・徳島)の中では僅差の2位。卒業から国家試験にかけて合格に至らなかった割合は4.9%と低い
  3. お金: 入学金+授業料の6年合計349.68万円(国立標準額)は私立平均の約7.5分の1という大きなメリット。ただし留年すれば、学費が安い国立でも生活費や将来の収入機会の損失が生じる(当ブログの留年1年1,500万円モデルは私立想定の参考試算・国立の実額ベースではおよそ1,000万円が下限の目安)

長崎大学の平成30年度入学世代は、3年次までは全員が進級し、そこから最後の3年間で9人(18.0%)が標準修業年限内での卒業には至りませんでした。一方、直近のストレート合格率は78.0%を2回連続で記録するなど、実力そのものは高い水準にあります。大学選びの際は、1つの年度・1つの数字だけでなく、複数の情報源を照らし合わせることが、経済的なリスクを正しく見積もるうえでも大切になります。学費を負担するご家庭にとっても、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。

なお、本記事で示した数字はあくまで統計的な評価です。合格や進級を最終的に決めるのは一人ひとりの学習習慣であって、長崎大学の在学生や志願者の方を貶める意図はまったくありません。進級の各段階(1〜6年次)の脱落率は3.33%から5.71%と緩やかで、これまでご紹介してきた大学のような突出した学年の壁は見られません。また、卒業から国家試験にかけて合格に至らなかった割合もわずか4.9%と低く、直近のストレート合格率は78.0%を2回連続で記録しています。大学が公表する資料は年度によって内容が更新されることがあり、1つの数字や1つの年度の資料だけで判断せず、複数の情報源・複数年度の資料を照らし合わせることが、正確な実力を見極めるうえで大切です。

そして長崎大学については、入学から3年次までの3年間、50人全員が進級した世代が実際にあります。低学年のうちから学習習慣をしっかり身につけ、その習慣を高学年まで切らさずに続けられれば、着実に進級を重ね、ストレートで歯科医師を目指せる環境が整っていると言えるでしょう。

他の歯学部のデータと比較したい方は、全国29歯学部の修学状況まとめ(親記事)をご覧ください。国公立12校のストレート合格率の推移は国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめで確認できます。

データ出典: 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」/厚生労働省 歯科医師国家試験結果/河合塾(偏差値)/長崎大学 公式サイト

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歯学部受験情報館を運営しているシカラボです。 教育機関で10年以上、歯学部に関するデータを扱ってきました。 入学者ベースのストレート合格率・留年率・退学率など、見落とされやすい指標を、 厚生労働省・文部科学省・各大学公式サイトの一次資料から継続的に分析しています。
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