岡山大学の留年率・ストレート合格率・学費【最新データで総点検】【2026年9月更新】
岡山大学に入学したら、6年間で歯科医師になれる可能性はどのくらいあるのか。留年率はどのくらいで、6年間でいくらかかるのか。本記事では、文部科学省の歯学部修学状況の調査、厚生労働省の歯科医師国家試験の結果、河合塾の偏差値データ、そして岡山大学の公式サイトが公表しているデータを使って、パンフレットでは見えにくい「入学後の6年間」を総点検します。
先に、この記事を読むうえで大切な前提を1つお伝えします。岡山大学は、入学した学生が学年ごとにどう進級していったかを示す表を、歯学部単位では公表していません。 そのため、当ブログが他校で行ってきた「入学者を1年ごとに追いかけるコホート追跡」や「学年別の脱落率」の分析は行えません。一方で、6年間で何人が卒業したかを示す標準修業年限内の卒業率は、大学が歯学部歯学科単位で公表しています(詳しくは次のセクションで説明します)。
そのうえで、文部科学省が全国集計として公表しているストレート合格率(修業年限内合格率)を見ると、岡山大学の直近3年平均は82.67%で、国公立12校の中で2位です。 さらに10年分の単年順位を並べると、岡山大学は10回すべてで12校中6位以内に入っており、これは国公立12校で唯一です。学費を負担するご家庭にとっては、入学した年によって当たり外れが出にくい、という点はひとつの安心材料になるでしょう。
ただし、これは「常に1位だった」という意味ではありません。単独で1位を取ったのは10回のうち3回で、その3回という回数自体は12校の中で最も多い、というのが正確な事実です。この点も含めて、10年分のデータで確認していきます。
目次
- 岡山大学はなぜ「コホート追跡」ができないのか
- 岡山大学の基本情報(国立・2年次編入・偏差値・学費)
- ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
- ストレート合格率の10年推移|3年平均82.67%は国公立12校中2位
- 10年間で6位以内を10回すべて維持|単独1位の回数は12校最多
- 新卒合格率とストレート合格率のギャップ
- 留年率と退学率|退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
- 学費と留年1年の経済的リアリティ
- 偏差値×ストレート合格率|指標割れで変わる「1位」と「2位」
- まとめ|3つのポイント
岡山大学はなぜ「コホート追跡」ができないのか
最初に、本記事の作り方をご説明します。
当ブログの修学状況シリーズでは通常、大学が公表している「入学年度別の進級人数」「標準修業年限内の卒業者数」「6年次の卒業留年率」という3種類の表を使って、入学した学生が1年ごとにどう推移したかを追跡しています。岡山大学については、このうち「入学年度別の進級人数」と「6年次の卒業留年率」が、歯学部単位では公表されていません。
一方、3種類のうち「標準修業年限内の卒業率」については、岡山大学が歯学部歯学科単位で公表しています。 大学が公表している「学部卒業者状況」(基準日2025年5月1日)によると、2019年度に入学した53人(当初の入学者48人+2年次編入学・学士入学など5人)のうち、6年間で卒業したのは44人で、卒業率は83.0%。退学は1人(退学率1.9%)、留年により在籍している学生が8人と公表されています。
※ この「卒業者44人」は、岡山大学が公表する分母53人の数字です。本記事の中心となる文部科学省のストレート合格率は分母48人(編入学を除く)で計算されており、別系列の数字になります。
ただし、この卒業率が分かっても、学年ごとにどこで留年が起きたかまでは分かりません。 そのため、当ブログが他校で描いている生存曲線(入学者が1年ごとに何人へ減っていくかを示す折れ線)は引けません。本記事では次の項目を扱わず、いずれも推論では埋めません。
| 扱えない項目 | 理由 |
|---|---|
| 入学年度別のコホート追跡・生存曲線 | 学年ごとの進級人数を示す表が歯学部単位で公表されていない |
| 学年別の脱落率(どの学年でつまずくか) | 同上 |
| 6年次の卒業留年率・卒業の壁 | 卒業留年率という指標での公表がない(留年により在籍している人数が8人と公表されているのみで、学年の内訳は不明) |
| 卒業した学生のうち何人が国家試験に合格したか | 公表されていない。文部科学省のストレート合格率は分母48人の別系列であり、分母53人の卒業者数とは接続できない |
この「どこまで公表されているか」については、当ブログが以前まとめた歯学部29大学の情報公開姿勢をまとめた記事でも扱っています。ここで大切なのは、公表の範囲と教育の質はまったく別の話だということです。 本記事は情報の性質の違いを整理しているだけで、大学の教育内容を評価するものではありません。大学がどのような考えで公表範囲を決めているかも、公表資料からは分かりません。
そのうえで、文部科学省・厚生労働省・河合塾が全国集計として公表しているデータを使えば、ストレート合格率・留年率・退学率・偏差値・学費は他校とまったく同じ精度で比較できます。 そして、その全国集計で見た岡山大学の出口の実績は、10年間ずっと国公立12校の6位以内から外れたことがありません。ここからは、確認できるデータだけで実力を見ていきます。
出典:岡山大学 公式サイト「教育情報」学部卒業者状況(基準日2025年5月1日)/文部科学省
岡山大学の基本情報(国立・2年次編入・偏差値・学費)
まず、大学の基本プロフィールを押さえておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒700-8558 岡山市北区鹿田町二丁目5番1号(鹿田キャンパス) |
| 設置区分 | 国立 |
| 学科構成 | 歯学科の1学科のみ |
| 入学定員 | 48人(2027年度の募集人員は一般選抜前期日程32人+学校推薦型選抜Ⅱ12人+国際バカロレア選抜4人) |
| 入学者数 | 第110〜118回は9回連続で48人/第109回のみ55人(ストレート合格率の分母ベース) |
| 河合塾偏差値(2027年度) | 方式別57.5/学部学科ランク60.0/共通テスト得点率73%(前期)※2026年8月確認時点の予想値 |
| 学費(入学金+授業料の6年合計) | 349.68万円(国立標準額)※2026年度掲載額・諸費用別途・2027年度は改定予告あり |
| 大学院 | 大学院医歯薬学総合研究科 |
| 附属病院 | 岡山大学病院(医科と統合された大学病院) |
| 沿革 | 1979年10月に歯学部を設置、1980年4月に第一期生を受け入れ(当時の入学定員80人)。以後、60人(1988年)→55人(2000年)→48人(2011年) と段階的に縮小 |
本記事で扱う数値は、すべて歯学科(歯科医師を養成する6年制課程)のみを対象としています。
なお、入学者数が第110回から第118回まで9回連続で48人と一定である点は、この10年の推移を読むうえでの前提になります。ただし同じように9回連続で入学者数が一定なのは国公立12校のうち6校あり、岡山大学だけの特徴ではありません。
2年次編入学があるため、在籍者数は定員より多い
岡山大学歯学部には、第2年次編入学(学士入学)という制度があります。2002年に3年次編入として始まり、2016年4月から編入年次が2年次に変わりました。募集人員は歯学科5人で、編入学者は5年以上在学して所定の科目を履修します。
このため、各学年の実際の在籍者数は、入学定員の48人より常に多くなります。 令和7年5月1日現在は1年次から6年次まで47人から57人で、合計319人です。
ここが、本記事を読むうえでもうひとつ大切なポイントです。文部科学省が集計するストレート合格率の分母は「入学者数48人」(編入学を除く)である一方、岡山大学が公表する卒業率の分母は「53人」(当初の入学者48人+編入学・学士入学など5人)です。同じ世代を扱っていても分母の定義が違うため、2つの数字を足したり引いたりすることはできません。なお、編入学者が有利か不利かは、公表データからは分かりません。
出典:岡山大学 公式サイト(所在地・大学院・附属病院・沿革・学部学生数・入学者選抜要項)/岡山大学 歯学部 第2年次編入学 学生募集要項/文部科学省(入学者数)/河合塾(偏差値)
ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
本題に入る前に、当ブログが最重要指標としている「ストレート合格率」を説明します。すでにご存じの方は次のセクションへ進んでください。
大学の広告やパンフレットでよく使われるのは新卒合格率です。これは歯科医師国家試験の新卒受験者数を分母とした合格率で、卒業試験や進級判定で受験者が選別されたあとの数字です。つまり、入学前の人が本当に知りたい「入学してから歯科医師になれる確率」は、新卒合格率からは見えません。
そこで当ブログが主軸にしているのがストレート合格率(正式名称:修業年限内合格率)です。
- 分母: 入学者数
- 分子: 6年間(修業年限内)で国家試験に合格した人数
入学者を分母にするため、留年や退学も含めた6年間の現実がそのまま反映されます。
※ 本記事のストレート合格率は、文部科学省の様式に沿って集計されたデータに基づき、編入学を除く入学者ベースです。
ストレート合格率の10年推移|3年平均82.67%は国公立12校中2位
それでは、岡山大学のストレート合格率を、第109回から第118回までの10年分で確認します。

図で見ると、実線(岡山大学)が破線(12校平均)の上側で上下しているのが分かります。各データ点の下の順位を見ると、10回すべてが6位以内に収まっていることも読み取れます。数値で確認しましょう。
| 受験回 | 岡山大学 | 国公立12校平均 | 差(岡山−平均) |
|---|---|---|---|
| 第109回 | 69.1% | 67.4% | +1.7pt |
| 第110回 | 79.2% | 69.6% | +9.6pt |
| 第111回 | 81.3% | 72.1% | +9.2pt |
| 第112回 | 75.0% | 70.9% | +4.1pt |
| 第113回 | 68.8% | 69.9% | −1.2pt |
| 第114回 | 77.1% | 71.5% | +5.6pt |
| 第115回 | 85.4% | 65.7% | +19.7pt |
| 第116回 | 75.0% | 71.3% | +3.7pt |
| 第117回 | 91.7% | 75.0% | +16.6pt |
| 第118回 | 81.3% | 75.6% | +5.7pt |
※表の「差」は、各校の入学者数・合格者数から求めた丸める前の値をもとに算出しています。そのため、表に示した小数第1位の数字どうしを単純に引き算した値と、わずかにずれる場合があります。
※国公立12校平均は、当ブログが文部科学省のデータをもとに独自に算出した数値です。東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生した大学で(「改称」ではありません)、この集計では統合前の東京医科歯科大学の実績を東京科学大学の実績として通算しています。
このデータから読み取れることは3つあります。
1つ目は、10年間の実数値の幅です。最小は第113回の68.8%、最大は第117回の91.7%で、その差は22.9ポイント。左端の第109回(69.1%)が最も低いように見えますが、実際の最小値は第113回の68.8%です。
2つ目は、12校平均を下回った回が10回中1回しかないことです。平均割れは第113回(−1.2pt)だけで、残る9回はすべて平均以上。とくに第115回の+19.7ポイントは10年間で最大の差で、次いで第117回の+16.6ポイントが続きます。
3つ目は、単調な右肩上がりではないということです。直近3回に絞ると、第116回75.0%から第117回91.7%へ16.7ポイント上昇し、第118回は81.3%へ10.4ポイント下落しています。上昇と下落を繰り返しながら、平均より上の帯にとどまり続けている、というのが実態です。ただし、なぜこうなったのかは公表データからは分かりません。
なお、参考までに私立15大学平均(第109〜118回で36%台〜43%台)と比べると、岡山大学は最も低かった第113回(68.8%)を含め、10回すべてで上回っています。ただし、これは国公立と私立という設置形態の違いによるもので、大学の教育の質の優劣を示すものではありません。
※私立15大学平均は、ストレート合格率が突出して高い東京歯科大学・昭和医科大学(旧・昭和大学)の上位2校を除いた、当ブログ独自集計の平均値です。
※ ここでのストレート合格率は、文部科学省の修学状況データに基づくもので、確認できる最新回は第118回です。厚生労働省が公表する国家試験の結果自体は第119回(2026年3月発表)まで出ていますが、ストレート(修業年限内)の集計は第118回までが最新である点にご注意ください。
国公立12校のストレート合格率10年推移をまとめて比較したい方は、国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめをご覧ください。
出典:文部科学省(ストレート合格率)
10年間で6位以内を10回すべて維持|単独1位の回数は12校最多
単年の数字はぶれるため、当ブログでは直近3年の平均で評価します。岡山大学の第116〜118回の平均は82.67%で、国公立12校中2位(単独)です。

図を見ると、上位3校(北海道・岡山・鹿児島)は2.33ポイントの範囲に収まっている一方、下位との差は大きく開いていることが分かります。
| 順位 | 大学 | 3年平均(第116〜118回) |
|---|---|---|
| 1位 | 北海道大学 | 84.10% |
| 2位 | 岡山大学 | 82.67% |
| 3位 | 鹿児島大学 | 81.77% |
| 4位 | 新潟大学 | 80.00% |
| 5位 | 東京科学大学 | 76.50% |
| 6位 | 長崎大学 | 76.00% |
| 7位 | 九州歯科大学 | 73.67% |
| 8位 | 広島大学 | 72.33% |
| 9位 | 大阪大学 | 71.07% |
| 10位 | 東北大学 | 70.03% |
| 11位 | 徳島大学 | 62.50% |
| 12位 | 九州大学 | 56.97% |
1位の北海道大学とは1.43ポイント、3位の鹿児島大学とは0.90ポイントの差です。単独2位ですが、上位3校は僅差の争いだと押さえておいてください。
※ 本記事の3年平均は、各回の合格率(%)を単純平均したものです(12校すべて同じ方法でそろえています)。岡山大学は3年とも入学者数が48人でそろっているため、入学者数と合格者数を合算して求める加重平均でも82.64%とほぼ同じ数字になります。
単年順位を10回並べると、一度も7位以下がない
ここからが、岡山大学のいちばんの特徴です。10年分の単年順位を並べると、次のようになります。
| 受験回 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12校中の順位 | 6位 | 1位 | 1位 | 2位 | 6位 | 5位 | 1位 | 6位 | 2位 | 3位 |
最も下でも6位。10回すべてで12校中6位以内に入っているのは、国公立12校の中で岡山大学だけです。 2番目に安定しているのは九州歯科大学で9回/10回、次いで新潟大学が9回/10回、北海道大学が8回/10回と続きます。12校中6位は上位半分の下限であり、下位に落ちた回は10年間で一度もありません。
順位の振れ幅で見ても、岡山大学のレンジは1位から6位まで(幅5)で、12校の中で最も狭いグループです。同じ幅5の広島大学は5位から10位のレンジで、こちらは中位から下位の帯での安定です。つまり岡山大学は「上位の帯で安定している」という点で、12校の中で唯一の存在になります。
さらに、同じ回で他の11校を上回った(同値のタイなしで単独1位を取った)回数は3回(第110回・第111回・第115回)で、これは国公立12校で最多です。新潟大学・鹿児島大学が各2回、北海道大学・東京科学大学・九州歯科大学が各1回、残る6校は0回でした。3年平均では2位ですが、単年でトップを取った回数では12校で最も多い、という捻れがあります。
ここで、誤解を避けるために大切な点をお伝えします。岡山大学は「常に1位だった」わけではありません。 単独1位は10回のうち3回で、残る7回は2位から6位です。また、3年平均82.67%という結果は、直近3回(6位→2位→3位)の平均であって、10年をならした数字ではありません。単年順位と3年平均順位は別の数字ですので、混同しないようご注意ください。
第118回単年の詳しい順位は、第118回 国公立歯学部ストレート合格率ランキングで確認できます。また、3年平均で1位の北海道大学は、単年順位が1位から10位タイまで大きく振れるタイプで、岡山大学とはちょうど対をなす構図になっています。あわせて読みたい方は3年平均1位の北海道大学の記事もご覧ください。
出典:文部科学省(ストレート合格率)
新卒合格率とストレート合格率のギャップ
次に、厚生労働省が公表している歯科医師国家試験の合格率を、第115回から第119回まで確認します。こちらは第119回(2026年3月発表)まで判明しています。
| 受験回 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 総数合格率 |
|---|---|---|---|
| 第115回 | 90.2%(51人中46人) | 41.7%(12人中5人) | 81.0% |
| 第116回 | 70.4%(54人中38人) | 69.2%(13人中9人) | 70.1% |
| 第117回 | 96.0%(50人中48人) | 44.4%(18人中8人) | 82.4% |
| 第118回 | 95.7%(47人中45人) | 54.5%(11人中6人) | 87.9% |
| 第119回 | 92.2%(51人中47人) | 42.9%(7人中3人) | 86.2% |
ここで注意したいのが、新卒合格率とストレート合格率は分母の対象が異なる別の指標だということです。新卒合格率の分母は、卒業試験や進級判定を通過した「その年の新卒受験者」。ストレート合格率の分母は、留年・退学も含めた「入学者数」です。
生の数値から差を計算すると、次のようになります。
| 受験回 | 新卒合格率 | ストレート合格率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 第115回 | 90.2% | 85.4% | +4.8pt |
| 第116回 | 70.4% | 75.0% | −4.6pt |
| 第117回 | 96.0% | 91.7% | +4.3pt |
| 第118回 | 95.7% | 81.3% | +14.5pt |
注目してほしいのは第116回です。新卒合格率70.4%がストレート合格率75.0%を下回り、通常とは逆の関係になっています。 新卒受験者の集団と、ストレート合格率の分母である入学年度ベースの集団は対象が異なるため、この逆転自体は矛盾ではありません。
なお、記事の冒頭で触れた大学公表の卒業率は、編入学を含む53人を分母とする別系列の数字です。文部科学省のストレート合格率(分母48人)とは分母が異なるため、2つを接続することはできません。 卒業した学生のうち何人が国家試験に合格したかは公表されておらず、データがありません。
既卒合格率は41.7%から69.2%の間で動いています。受験者が7人から18人と少人数のため年度による振れが大きく、単調な傾向としては読み取れません。
出典:厚生労働省(新卒・既卒・総数の合格率)/文部科学省(ストレート合格率)
留年率と退学率|退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
次に、留年率と退学率を確認します。
留年率は6.0〜10.7%の範囲で推移
ここでいう留年率は、文部科学省の集計で、その年度に在籍する学生のうち、在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合を指します(その年度に留年した学生だけを数えたものではありません)。岡山大学全体の留年率は、平成26年度以降で最小6.0%(令和3年度)〜最大10.7%(令和7年度)の範囲で推移しています。
| 年度 | 全体の留年率 |
|---|---|
| 平成26年度 | 8.6% |
| 平成27年度 | 9.3% |
| 平成28年度 | 9.1% |
| 平成29年度 | 9.6% |
| 平成30年度 | 10.5% |
| 令和元年度 | 9.6% |
| 令和2年度 | 8.4% |
| 令和3年度 | 6.0% |
| 令和4年度 | 7.0% |
| 令和5年度 | 8.7% |
| 令和6年度 | 10.2% |
| 令和7年度 | 10.7% |
この12年分で注目したいのは、令和3年度の6.0%(12年間で最も低い水準)を底に、令和4年度から令和7年度まで4年連続で上昇していることです。直近の令和7年度(10.7%)は、この12年間で最も高い水準になります。
一方で、12年間を通じて一貫して上昇してきたわけではありません。 前年からの増減を数えると、上がった年が11回中7回、下がった年が4回で、平成26年度から令和2年度にかけては上下動があります。連続した上昇は直近4年に限られます。
令和7年度の学年別の留年率は、1年次7.7%、2年次7.4%、3年次12.3%、4年次12.7%、5年次6.4%、6年次16.7%でした。最も高いのは6年次の16.7%、最も低いのは5年次の6.4%です。ただし、これは在籍者を分母にした単年の指標であり、どの学年でつまずくかを示すものではありません。 どの学年でつまずくかを示すには入学者を学年ごとに追跡したデータが必要ですが、岡山大学については学年ごとの進級人数が公表されていないため、その分析は行えません。
進級・留年の仕組み(規程上のルール)
岡山大学歯学部の学生便覧には、進級と留年のルールが明記されています。実際の留年がどの学年で起きているかは公表されていないため、あくまで制度上の話として押さえてください。専門教育科目は5年次を除き、配当された必修科目の全単位を修得しないと進級できません。全学共通科目・英語科目の卒業要件単位は2年次までに修得する必要があり、5年次第2学期までにCBTとPre-CC OSCEに合格しないと診療参加型臨床実習に進めません。必修科目を1科目でも落とすと進級できない仕組みは、多くの歯学部と共通する厳しさです。
退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
次に、退学率を見てみます。令和4〜6年度の3か年平均で、岡山大学の退学率は0.3%です。
| 区分 | 退学率(令和4〜6年度3か年平均) |
|---|---|
| 岡山大学 | 0.3% |
| 九州歯科大学(国公立12校で最も低い) | 0.1% |
| 国公立12校 単純平均 | 約0.6% |
| 私立17校 単純平均 | 4.4% |
この0.3%という数字は、九州歯科大学(0.1%)に次ぐ水準で、北海道大学・大阪大学と並ぶ国公立12校中2位タイです。国公立12校の平均(約0.6%)を下回っており、退学者の割合が少ない大学だといえます。私立17校平均の4.4%と比べても大幅に低い水準ですが、この差は設置形態(国公立/私立)の違いによるものであり、教育の質の優劣を示すものではありません。
ここまでを整理すると、岡山大学はストレート合格率3年平均が国公立12校中2位、退学率も12校中2位タイで、出口の実績と在学中の定着の両面で国公立の上位に位置しています。一方で、留年率だけは直近4年連続で上昇し、令和7年度に12年間の最高値を更新しています。 すべてが同じ方向を向いているわけではない、という点は正直にお伝えしておきます。ただし、その理由は公表データからは分かりません。
出典:文部科学省(留年率・退学率)/岡山大学 歯学部 学生便覧2026(進級及び留年の規程)
学費と留年1年の経済的リアリティ
ここからはお金の話です。岡山大学は国立大学のため、学費は大きな魅力のひとつです。
学費の内訳(2026年度)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 282,000円 |
| 年間授業料 | 535,800円 × 6年 |
| 入学金+授業料の6年合計 | 3,496,800円 |
岡山大学の入学金+授業料の6年合計349.68万円は、文部科学省が定める国立大学の標準額とまったく同じ水準です。授業料は学部によって金額が分かれておらず(夜間主コースを除く)、歯学部だけ高いということはありません。なお、この金額は入学金と授業料のみの合計で、このほかに学生保険や実習器具、教科書・参考書、学外実習の交通費などの諸費用が別途かかります。
私立17校の6年総額の単純平均は約2,611万円ですので、岡山大学はその約7.5分の1にあたります。学費を負担するご家庭にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。なお、この学費差は国公立と私立という設置形態の違いによるものであり、教育内容や指導の質を示すものではありません。
🔺 2027年度入学生から授業料が変わる予定です
本セクションの学費は、2026年8月時点で岡山大学の公式サイトに掲載されている2026年度の金額です。岡山大学は「2027年度入学生からの授業料適正化」の方針を決定したことを公表しており、改定額は2027年1月頃に掲載予定とされています。2027年度以降に入学する場合、上の表の金額は変わる可能性があります。
最新情報は必ず岡山大学の公式サイト・募集要項でご確認ください。
留年1年の経済的リアリティ
留年1年の経済的な損失について、当ブログでは学費・生活費・機会損失を合わせて1,500万円という試算をしています(複数の前提を置いた当ブログ独自のモデル計算です)。この試算の内訳と考え方については別の動画で詳しく扱っていますので、そちらもあわせてご覧ください。
学費を負担する保護者の方にとっては、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。学費の安さという大きなメリットがある一方で、留年した場合の生活費や将来の収入機会の損失は、国公立か私立かに関係なく生じます。
出典:岡山大学 公式サイト(入学料・授業料の金額)/私立17校の学費は各大学公式サイト
偏差値×ストレート合格率|指標割れで変わる「1位」と「2位」
最後に、国公立12校の中での立ち位置を「入口(偏差値)×出口(ストレート合格率)」で整理します。
岡山大学の2027年度入試向けの河合塾の数値は、方式別偏差値57.5/学部学科偏差値60.0/共通テスト得点率73%(前期)です(いずれも2026年8月確認時点の予想値)。共通テスト得点率73%は、12校の中では中位の水準です。
ここで岡山大学に特有の事情があります。方式別偏差値(57.5)と学部学科偏差値(60.0)が2.5ポイント割れているのです。方式別偏差値は入試方式ごとに示された数値、学部学科偏差値は学部学科としてのランクを示した数値で、性質が異なります。国公立12校のうち、この2つが割れているのは7校です。そして岡山大学の場合、どちらの数値を基準に取るかで、同じ偏差値グループ内の順位が変わります。

図を見ると、同じ横軸(同じ偏差値)の位置に、出口の実績が大きく異なる大学が縦に並んでいることが分かります。ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。
方式別偏差値57.5の5校では2位|岡山と九州で25.70ポイント開く
方式別偏差値が57.5でそろう国公立5校を、出口のストレート合格率3年平均で並べてみると次のようになります。
| 順位 | 大学 | 方式別偏差値 | ストレート合格率3年平均 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 北海道大学 | 57.5 | 84.10% |
| 2位 | 岡山大学 | 57.5 | 82.67% |
| 3位 | 鹿児島大学 | 57.5 | 81.77% |
| 4位 | 広島大学 | 57.5 | 72.33% |
| 5位 | 九州大学 | 57.5 | 56.97% |
入口の難易度がまったく同じ5校でも、出口の実績は大きく開きます。 岡山大学は2位で、1位の北海道大学(84.10%)とは1.43ポイントの僅差。一方、このグループで最も低い九州大学(56.97%)とは25.70ポイントの開きがあります。これは統計モデルによる推計ではなく、公表値をそのまま並べた事実です。同じ偏差値グループの他校について詳しく知りたい方は、同じ偏差値グループの鹿児島大学の記事や同じ偏差値グループの広島大学の記事もあわせてご覧ください。
学部学科偏差値60.0の6校で見ると順位が入れ替わる
一方、学部学科偏差値60.0でそろう国公立6校で同じ比較をすると、順位が変わります。
| 順位 | 大学 | 学部学科偏差値 | ストレート合格率3年平均 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 岡山大学 | 60.0 | 82.67% |
| 2位 | 新潟大学 | 60.0 | 80.00% |
| 3位 | 東京科学大学 | 60.0 | 76.50% |
| 4位 | 広島大学 | 60.0 | 72.33% |
| 5位 | 東北大学 | 60.0 | 70.03% |
| 6位 | 徳島大学 | 60.0 | 62.50% |
同じ岡山大学の同じ82.67%という数字でも、方式別偏差値を基準にすれば「5校中2位」、学部学科偏差値を基準にすれば「6校中1位」になります。 これは岡山大学の実力が変わったのではなく、比較の土俵となるグループの顔ぶれが入れ替わっただけです。偏差値ランキングで「何位か」だけを切り取ると、指標の違いで印象が変わります。どちらの偏差値を見ているのかを必ず確認してください。 同じグループの新潟大学については、新潟大学の修学状況の記事でも詳しく扱っています。
国公立では偏差値と出口がほとんど連動しない
グループ内の比較を12校全体に広げると、さらにはっきりします。国公立12校で方式別偏差値とストレート合格率3年平均の相関係数を計算すると、r≒−0.01とほぼゼロでした。つまり、今回の国公立12校とこの指標の組み合わせでは、偏差値とストレート合格率の間に直線的な関係はほとんど確認できません。だからこそ国公立では、大学ごとにストレート合格率を個別に確認することが大切です。
なお、この結果は参考程度に受け止めるべきものです。国公立12校というサンプルは小さく(n=12)、方式別偏差値も55・57.5・60の3水準に集中しているため、横軸の分解能が低いという限界があります。そもそも相関がほぼゼロである以上、回帰線そのものに偏差値から合格率を説明する力はほとんどなく、この結果を国公立歯学部全般に一般化することはできません。偏差値が高いから出口がよい、あるいは低いから悪い、といった因果関係として読むこともできません。
偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。国公立ではこの2つが連動しないからこそ、大学選びでは必ず両方を確認してください。当ブログの歯学部偏差値ランキングの分析記事では、国公立12校の方式別偏差値・学部学科偏差値・共通テスト得点率・ストレート合格率を同じ表で比較していますので、あわせてご覧ください。
出典:河合塾(偏差値・共通テスト得点率)/文部科学省(ストレート合格率)
まとめ|3つのポイント
本記事のポイントを3つにまとめます。
- データの性質: 岡山大学は学年ごとの進級人数と6年次の卒業留年率を歯学部単位では公表しておらず、コホート追跡・学年別の脱落率は算出できない。一方、標準修業年限内の卒業率は公表されており、2019年度入学者の卒業率は83.0%。 公表の範囲と教育の質は別の話であり、確認できるデータで見る限り出口の実績は国公立の上位にある
- 出口の実績と順位の安定: 3年平均82.67%は12校中2位(1位北海道大学とは1.43ポイント差、3位鹿児島大学とは0.90ポイント差の僅差)。さらに10年分の単年順位を並べると、10回すべてで12校中6位以内に入っており、これは国公立12校で唯一。単独で1位を取った回数3回も12校最多。 退学率0.3%も12校中2位タイ。一方、留年率だけは直近4年連続で上昇し、令和7年度に12年間の最高値(10.7%)を更新している
- 入口とお金: 方式別偏差値57.5でそろう国公立5校の中で出口は2位、学部学科偏差値60.0でそろう6校の中では1位。どちらの偏差値を基準にするかで順位が入れ替わるため、順位だけを切り取らないこと。 入学金+授業料の6年合計349.68万円(国立標準額)は私立平均の約7.5分の1という大きなメリットがある一方、2027年度入学生からの授業料改定が予告されている点と、留年すれば学費が安い国立でも生活費や将来の収入機会の損失は生じる点に注意
岡山大学は、学年ごとの細かい進級データを公表していない一方、国全体の集計で見るストレート合格率は、この10年間ずっと国公立12校の6位以内から外れたことがありません。学費も国立の標準額で、私立の約7.5分の1です。大学選びの際は、1つの数字だけでなく、複数の指標を組み合わせて判断することが、経済的なリスクを正しく見積もるうえでも大切になります。学費を負担するご家庭にとっても、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。
なお、2位・10年間すべて6位以内という結果はあくまで文部科学省の集計に基づく統計的な評価であり、大学が個別に公表している学年ごとの進級・留年データがないぶん、確認できない部分も残ります。 合格や進級を最終的に決めるのは、一人ひとりの学習習慣です。同じ82.67%という数字でも、方式別偏差値で見れば2位、学部学科偏差値で見れば1位と印象が変わります。1つの切り口だけで大学の実力を判断することはできません。
そのうえで岡山大学については、直近3回のストレート合格率が75.0%→91.7%→81.3%と推移し、第118回では入学者48人のうち39人が6年間で歯科医師になっています。退学率0.3%も国公立12校で2位タイの水準です。入学から国家試験までの6年間をひとまとめに見たときの通過実績は、この10年間で一度も国公立12校の6位以内から外れたことがなく、単独で1位を取った回数は12校で最も多いといえます。その6年間の内側で学年ごとに何が起きているかを示すデータは公表されていないため、本記事では扱っていません。出口の数字を複数年ぶん並べて確かめながら、6年間を通して学習のペースを保つ準備を進めてください。
他の歯学部のデータと比較したい方は、全国29歯学部の修学状況まとめ(親記事)をご覧ください。国公立12校のストレート合格率の推移は国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめで確認できます。
データ出典: 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」ほか公表資料/厚生労働省 歯科医師国家試験結果/河合塾(偏差値)/岡山大学 公式サイト(教育情報・学部卒業者状況・学部学生数・入学料・授業料の金額・入学者選抜要項)・歯学部 学生便覧2026・歯学部 第2年次編入学 学生募集要項・歯学部 沿革

