北海道大学の留年率・ストレート合格率・学費【最新データで総点検】【2026年8月更新】
北海道大学に入学したら、6年間で歯科医師になれる可能性はどのくらいあるのか。留年率はどのくらいで、6年間でいくらかかるのか。本記事では、文部科学省の歯学部修学状況の調査、厚生労働省の歯科医師国家試験の結果、河合塾の偏差値データ、そして大学公式サイトの公表データを使って、パンフレットでは見えにくい「入学後の6年間」を総点検します。
先に、この記事を読むうえで大切な前提を1つお伝えします。北海道大学は、これまで当ブログが扱ってきた他の国公立大学と異なり、歯学部単位の進級・卒業の詳しいデータを、現在の世代については公表していません。 そのため、当ブログが他校の記事で行ってきた「入学者を1年ごとに追いかけるコホート追跡」や「学年別の脱落率」の分析は、北海道大学については行えません。10年以上前に入学した世代については一部が公表されていますが、途中の学年が抜けています(詳しくはセクション1で説明します)。
その一方で、文部科学省が全国集計として公表しているストレート合格率(修業年限内合格率)を見ると、北海道大学の直近3年平均は84.10%で、国公立12校の中で1位です。 学費を負担するご家庭にとっては、6年間で歯科医師になれる割合が国公立で最も高い水準にある、という点はひとつの安心材料になるでしょう。この記事では、大学が公表していない部分と、国の集計から分かる部分をはっきり分けて、正確にお伝えします。
ただし、この1位という結果は「常に1位だった」という意味ではありません。単年の順位は1位から10位タイまで大きく振れており、3年平均1位は直近3回の好調に支えられた結果です。この点も含めて、10年分のデータで確認していきます。
目次
- 北海道大学はなぜ「コホート追跡」ができないのか
- 北海道大学の基本情報(国立・総合入試・偏差値・学費)
- ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
- ストレート合格率の10年推移|3年平均84.10%は国公立12校中1位
- 3年平均は12校中1位|単年順位は1位〜10位タイまで振れる
- 新卒合格率とストレート合格率のギャップ
- 留年率と退学率|退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
- 学費と留年1年の経済的リアリティ
- 偏差値×ストレート合格率|同じ57.5の5校で1位
- まとめ|3つのポイント
北海道大学はなぜ「コホート追跡」ができないのか
最初に、本記事の作り方をご説明します。
当ブログの修学状況シリーズでは通常、大学が公表している「入学年度別の進級人数」「標準修業年限内の卒業者数」「6年次の卒業留年率」という3種類の表を使って、入学した学生が1年ごとにどう推移したかを追跡しています。北海道大学は、この3種類の表を、現在の世代については歯学部単位で公表していません。 大学の公式サイトで公開されているのは「卒業・修了者数」(令和6年5月1日現在)で、入学した学生がどの学年で何人になったかを示すものではありません。
ただし、まったく公表がないわけではありません。北海道大学 歯学部が公表している外部評価報告書(令和4年1月発行)には、平成23年度から平成26年度に入学した4つの世代について、入学者数・2年次への進学者数・5年次への進級者数・6年間での卒業者数・標準在籍年限内の卒業率が掲載されています。 一方で、この表には3年次と4年次の人数が含まれていないため、当ブログが他校で描いている生存曲線は引けません。対象も第110回から第113回の国家試験世代にあたり、シリーズの他校(第117回・第118回世代)より5〜8世代さかのぼります。そのため本記事では、この4世代の卒業率を主役としては扱いません。
これは、当ブログが以前まとめた歯学部29大学の情報公開姿勢ランキングで、自校での公開が実質ないグレードCと評価した国公立4校のうちの1校と一致します。ここで大切なのは、公表の範囲と教育の質はまったく別の話だということです。 本記事は情報の性質の違いを整理しているだけで、大学の教育内容を評価するものではありません。また、大学がどのような考えで公表範囲を決めているかは公表資料からは分かりませんので、その点についての推測も書きません。
したがって、本記事では次の項目を扱いません。いずれも推論では埋めません。
| 扱えない項目 | 理由 |
|---|---|
| 入学年度別のコホート追跡・生存曲線 | 現在の世代について進級人数の表の公表がなく、公表がある平成23〜26年度入学の4世代は3年次・4年次が欠けている |
| 学年別の脱落率(どの学年でつまずくか) | 同上 |
| 標準修業年限内の卒業率・卒業の壁 | 現在の世代について卒業者数の表の公表がない(平成23〜26年度入学の4世代のみ公表されているが、第110〜113回世代と古い) |
その一方で、文部科学省・厚生労働省・河合塾が全国集計として公表しているデータを使えば、ストレート合格率・留年率・退学率・偏差値・学費は他校とまったく同じ精度で比較できます。 そして、その全国集計で見た北海道大学の出口の実績は、国公立12校の中で最も高い水準にあります。ここからは、確認できるデータだけで実力を見ていきます。
出典:北海道大学 公式サイト(2026年8月8日確認)/北海道大学 歯学部「外部評価報告書」(令和4年1月発行)/文部科学省
北海道大学の基本情報(国立・総合入試・偏差値・学費)
まず、大学の基本プロフィールを押さえておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒060-8586 北海道札幌市北区北13条西7丁目 |
| 設置区分 | 国立 |
| 入学定員 | 53人(学部別入試38人+フロンティア入試5人+総合入試からの移行10人)※2年次に進級した場合の入学定員 |
| 入学者数 | 第110〜116回は7回連続で53人/第117・118回は52人/第109回のみ60人(ストレート合格率の分母ベース) |
| 河合塾偏差値(2027年度) | 方式別57.5/学部学科ランク57.5/共通テスト得点率74% ※2026年8月確認時点の予想値 |
| 学費(入学金+授業料の6年合計) | 349.68万円(国立標準額)※2026年度掲載額・諸費用別途 |
| 大学院 | 大学院歯学研究院・大学院歯学院 |
| 附属病院 | 北海道大学病院 |
本記事で扱うストレート合格率・国家試験合格率・留年率などの数値は、すべて歯学科(歯科医師を養成する6年制課程)のみを対象としています。
総合入試という独自の入学ルート
北海道大学には「総合入試」という独自の入学制度があり、入学者数の数え方が他大学より複雑です。ポイントは3つあります。
1つ目は、1年次には歯学部の学生がいないということです。 北海道大学では、歯学部を志望して学部別入試で入学した学生も含め、1年生は全員が「総合教育部」に所属し、2年次から学部へ移行します。北海道大学概要2026の学生数表でも、歯学部の1年次は「─」と表記されています。したがって「1年次に歯学部へ直接入学する」という説明は成り立ちません。
2つ目は、定員53名の内訳が公表されていることです。 学生募集要項・入学者選抜要項の定員表によると、歯学部歯学科の内訳は次のとおりです。
| 区分 | 人数 |
|---|---|
| 学部別入試 | 38人 |
| フロンティア入試 | 5人 |
| 総合入試で入学した学生からの移行 | 10人 |
| 合計(学科等の定員) | 53人 |
同要項の注記では、総合入試からの移行人数は医学部医学科・歯学部・薬学部薬学科・獣医学部を除いて変動する場合があるとされています。つまり歯学部の10人は変動しない固定枠です。
3つ目は、この53人という数字の定義です。 北海道大学概要2026(39ページ)の脚注には「学部の入学定員は、学生が第2年次に進級した場合の入学定員である」と明記されています。53人は1年次の募集人数ではなく、移行が終わった2年次時点の定員だということです。
そして、ストレート合格率の分母も、この2年次時点の人数と同じ数え方になっています。実際、歯学部が公表している外部評価報告書(令和4年1月発行)には、平成23・24・25年度入学の入学者数が「43+10」と内訳つきで記載されており、いずれも合計53人で、文部科学省が公表するストレート合格率の分母(第110回・第111回・第112回=53人)と一致します。
※ ただし平成26年度入学(第113回世代)については、大学側の資料が「43+9」=52人(移行生のうち1名が前年度入学者だったため9人と記載)であるのに対し、文部科学省の集計では53人となっており、1名の食い違いがあります。本記事のストレート合格率は、シリーズ共通の方針どおり文部科学省の数値を採用しています。
※ また、令和2年度入学以降について実際に何人が移行したかは、今回の調査では公表資料を確認できませんでした。確認できるのは「枠が10人で固定されていること」と「平成23〜26年度入学については実績が公表されていること」までです。
なお、第109回(平成22年度入学)だけは入学者数が60人と他の回より多くなっています。ただし同じ第109回は東北大学60人・大阪大学62人など国立大学が軒並み多く、全国的な水準の変化にあたるため、北海道大学固有の事情として説明することはできません。
出典:北海道大学 公式サイト(所在地・大学院・附属病院)/北海道大学 学生募集要項・入学者選抜要項(定員内訳)/北海道大学概要2026(入学定員の定義・学生数)/北海道大学 歯学部「外部評価報告書」令和4年1月発行(入学者数の内訳)/文部科学省(入学者数)/河合塾(偏差値)
ストレート合格率とは(新卒合格率との違い)
本題に入る前に、当ブログが最重要指標としている「ストレート合格率」を説明します。すでにご存じの方は次のセクションへ進んでください。
大学の広告やパンフレットでよく使われるのは新卒合格率です。これは歯科医師国家試験の新卒受験者数を分母とした合格率で、卒業試験や進級判定で受験者が選別されたあとの数字です。つまり、入学前の人が本当に知りたい「入学してから歯科医師になれる確率」は、新卒合格率からは見えません。
そこで当ブログが主軸にしているのがストレート合格率(正式名称:修業年限内合格率)です。
- 分母: 入学者数
- 分子: 6年間(修業年限内)で国家試験に合格した人数
入学者を分母にするため、留年や退学も含めた6年間の現実がそのまま反映されます。
※ 本記事のストレート合格率は、文部科学省の様式に沿って集計されたデータに基づき、編入学を除く入学者ベースです。
ストレート合格率の10年推移|3年平均84.10%は国公立12校中1位
それでは、北海道大学のストレート合格率を、第109回から第118回までの10年分で確認します。

図で見ると、前半は破線(12校平均)を下回る回があるものの、後半は破線から離れて上に伸びているのが分かります。とくに右端の3回の上昇が目立ちます。数値で確認していきましょう。
| 受験回 | 北海道大学 | 国公立12校平均 | 差(北海道−平均) |
|---|---|---|---|
| 第109回 | 75.0% | 67.4% | +7.6pt |
| 第110回 | 64.2% | 69.6% | −5.4pt |
| 第111回 | 66.0% | 72.1% | −6.1pt |
| 第112回 | 71.7% | 70.9% | +0.8pt |
| 第113回 | 71.7% | 69.9% | +1.8pt |
| 第114回 | 77.4% | 71.5% | +5.9pt |
| 第115回 | 66.0% | 65.7% | +0.3pt |
| 第116回 | 79.2% | 71.3% | +7.9pt |
| 第117回 | 82.7% | 75.0% | +7.7pt |
| 第118回 | 90.4% | 75.6% | +14.8pt |
※表の「差」は、各校の入学者数・合格者数から求めた丸める前の値をもとに算出しています。そのため、表に示した小数第1位の数字どうしを単純に引き算した値と、わずかにずれる場合があります。
※国公立12校平均は、当ブログが文部科学省のデータをもとに独自に算出した数値です。東京科学大学は2024年10月に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して誕生した大学で(「改称」ではありません)、この集計では統合前の東京医科歯科大学の実績を東京科学大学の実績として通算しています。
このデータから読み取れることは3つあります。
1つ目は、直近3回で大きく伸びていることです。第115回の66.0%を底に、第116回79.2%→第117回82.7%→第118回90.4%と3回連続で上昇し、この間の上げ幅は24.4ポイントにのぼります。
2つ目は、第118回の90.4%が10年間で最も高い水準だということです。10年間の実数値は最小64.2%(第110回)〜最大90.4%(第118回)で、その差は26.2ポイント。2番目に高い第117回(82.7%)とも7.7ポイントの開きがあり、第118回は突出した回です。
3つ目は、この10年は一貫した右肩上がりではないということです。第109回75.0%から第110回64.2%へ10.8ポイント下がり、第114回77.4%から第115回66.0%へも11.4ポイント下がっています。上昇と下落を繰り返しながら、直近で高い水準に達している、というのが実態です。
国公立12校平均との関係も見ておきましょう。平均を下回ったのは10回中2回(第110回・第111回)だけで、第112回から第118回までの7回はすべて平均以上です。とくに第118回の+14.8ポイントは、この10年で最大の差になります。ただし、なぜこうなったのかは公表データからは分かりません。
なお、参考までに私立15大学平均(第109〜118回で36%台〜43%台)と比べると、北海道大学は最も落ち込んだ第110回(64.2%)を含め、10回すべてで上回っています。ただし、これは国公立と私立という設置形態の違いによるもので、大学の教育の質の優劣を示すものではありません。国公立は選抜性が高く定員も少ないため、私立平均との単純比較には注意が必要です。
※私立15大学平均は、ストレート合格率が突出して高い東京歯科大学・昭和医科大学(旧・昭和大学)の上位2校を除いた、当ブログ独自集計の平均値です。
※ ここでのストレート合格率は、文部科学省の修学状況データに基づくもので、確認できる最新回は第118回です。厚生労働省が公表する国家試験の結果自体は第119回(2026年3月発表)まで出ていますが、ストレート(修業年限内)の集計は第118回までが最新である点にご注意ください。
国公立12校のストレート合格率10年推移をまとめて比較したい方は、国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめをご覧ください。第118回単年の詳しい順位は、第118回 国公立歯学部ストレート合格率ランキングで確認できます。
出典:文部科学省(ストレート合格率)
3年平均は12校中1位|単年順位は1位〜10位タイまで振れる
単年の数字はぶれるため、当ブログでは直近3年の平均で評価します。北海道大学の第116〜118回の平均は84.10%で、国公立12校中1位(単独)です。

図を見ると、上位3校(北海道・岡山・鹿児島)は2.33ポイントの範囲に収まっている一方、下位との差は大きく開いていることが分かります。
| 順位 | 大学 | 3年平均(第116〜118回) |
|---|---|---|
| 1位 | 北海道大学 | 84.10% |
| 2位 | 岡山大学 | 82.67% |
| 3位 | 鹿児島大学 | 81.77% |
| 4位 | 新潟大学 | 80.00% |
| 5位 | 東京科学大学 | 76.50% |
| 6位 | 長崎大学 | 76.00% |
| 7位 | 九州歯科大学 | 73.67% |
| 8位 | 広島大学 | 72.33% |
| 9位 | 大阪大学 | 71.07% |
| 10位 | 東北大学 | 70.03% |
| 11位 | 徳島大学 | 62.50% |
| 12位 | 九州大学 | 56.97% |
2位の岡山大学(82.67%)との差は1.43ポイント、3位の鹿児島大学(81.77%)との差は2.33ポイントです。単独での1位ですが、上位3校は僅差の争いだと押さえておいてください。
※ 本記事の3年平均は、各回の合格率(%)を単純平均したものです(12校すべて同じ方法でそろえています)。北海道大学は3年とも入学者数が52〜53人と近いため、入学者数と合格者数をそれぞれ合算して求める方法(加重平均)でも84.08%となり、ほぼ同じ数字になります。
単年順位は1位から10位タイまで振れる
ここで、誤解を避けるために大切な点をお伝えします。北海道大学は「常に1位だった」わけではありません。 10年分の単年順位を並べると、次のようになります。
| 受験回 | 109 | 110 | 111 | 112 | 113 | 114 | 115 | 116 | 117 | 118 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12校中の順位 | 3位タイ | 9位 | 10位タイ | 4位タイ | 3位 | 4位 | 5位 | 2位 | 3位 | 1位 |
第111回には10位タイまで沈んだ回もあり、順位の振れ幅は大きいことが分かります。3年平均1位という結果は、直近3回(2位→3位→1位)の好調に支えられたものです。 単年順位と3年平均順位は別の数字ですので、混同しないようご注意ください。だからこそ、単年の数字だけで大学を評価せず、複数年の平均で見ることが大切になります。
出典:文部科学省(ストレート合格率)
新卒合格率とストレート合格率のギャップ
次に、厚生労働省が公表している歯科医師国家試験の合格率を、第115回から第119回まで確認します。こちらは第119回(2026年3月発表)まで判明しています。
| 受験回 | 新卒合格率 | 既卒合格率 | 総数合格率 |
|---|---|---|---|
| 第115回 | 85.71%(42人中36人) | 42.86%(7人中3人) | 79.59% |
| 第116回 | 78.95%(57人中45人) | 44.44%(9人中4人) | 74.24% |
| 第117回 | 92.2%(51人中47人) | 42.11%(19人中8人) | 78.57% |
| 第118回 | 95.9%(49人中47人) | 38.46%(13人中5人) | 83.87% |
| 第119回 | 85.4%(41人中35人) | 37.50%(8人中3人) | 77.55% |
ここで注意したいのが、新卒合格率とストレート合格率は分母の対象が異なる別の指標だということです。第117回の北海道大学は、新卒合格率92.2%(分母=新卒受験者51人)に対し、ストレート合格率は82.7%(分母=平成30年度入学者52人)で、9.5ポイントの開きがあります。第118回も新卒合格率95.9%(分母49人)とストレート合格率90.4%(分母52人)で5.5ポイントの開きです。前者はその年に新卒で受験した人の合格割合、後者は入学した人が6年間で歯科医師になれた割合であり、並べて比べる際はこの違いを必ず押さえておいてください。
なお、他校の記事では「新卒受験者数と卒業者総数が一致するか」まで突き合わせていますが、北海道大学は現在の世代について卒業者数の表の公表がないため、この突合はできません。
既卒合格率は37.50%から44.44%の間で動いています。受験者が7人から19人と少人数のため年度による振れが大きく、単調な傾向としては読み取れません。
出典:厚生労働省(新卒・既卒・総数の合格率)/文部科学省(ストレート合格率)
留年率と退学率|退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
次に、留年率と退学率を確認します。
留年率は8.0〜18.3%の範囲で推移
ここでいう留年率は、文部科学省の集計で、その年度に在籍する学生のうち、在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合を指します(その年度に留年した学生だけを数えたものではありません)。北海道大学全体の留年率は、平成26年度以降で最小8.0%(令和3年度・令和5年度)〜最大18.3%(平成29年度)の範囲で推移しています。
| 年度 | 全体の留年率 |
|---|---|
| 平成26年度 | 10.2% |
| 平成27年度 | 14.0% |
| 平成28年度 | 16.9% |
| 平成29年度 | 18.3% |
| 平成30年度 | 13.5% |
| 令和元年度 | 11.8% |
| 令和2年度 | 10.5% |
| 令和3年度 | 8.0% |
| 令和4年度 | 10.4% |
| 令和5年度 | 8.0% |
| 令和6年度 | 10.0% |
| 令和7年度 | 12.4% |
この12年分で注目したいのは、北海道大学の留年率には一方向のトレンドが見られないことです。前年からの増減を数えると、上がった年が11回中6回、下がった年が5回で、上昇と下落が入り混じっています。当ブログが以前扱った新潟大学(令和元年度から令和7年度まで6年連続で上昇)のような、はっきりした連続上昇の傾向はここにはありません。直近の令和7年度(12.4%)も、平成29年度(18.3%)・平成28年度(16.9%)・平成27年度(14.0%)より低い水準です。
令和7年度の学年別の留年率は、1年次0.0%、2年次11.7%、3年次11.8%、4年次14.3%、5年次20.4%、6年次14.3%でした。最も高いのは5年次の20.4%、最も低いのは1年次の0.0%で、1年次は令和5年度から3年連続で0.0%です。ただし、この学年別の留年率は「在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合」という累積の指標です。留年した学生は上の学年に積み上がるため、高学年ほど数字が大きく出るのは構造上あたりまえで、どの学年でつまずくかを示すものではありません。どの学年でつまずくかを示すコホート追跡のデータは、北海道大学については現在の世代の公表がありません(平成23〜26年度入学の4世代についても3年次・4年次が欠けているため、この用途には使えません)。
退学率0.3%は国公立12校で2位タイ
次に、退学率を見てみます。令和4〜6年度の3か年平均で、北海道大学の退学率は0.3%です。
| 区分 | 退学率(令和4〜6年度3か年平均) |
|---|---|
| 北海道大学 | 0.3% |
| 九州歯科大学(国公立12校で最も低い) | 0.1% |
| 国公立12校 単純平均 | 約0.6% |
| 私立17校 単純平均 | 4.4% |
この0.3%という数字は、九州歯科大学(0.1%)に次ぐ水準で、大阪大学・岡山大学と並ぶ国公立12校中2位タイです。国公立12校の平均(約0.6%)を下回っており、退学者の割合が少ない大学だといえます。私立17校平均の4.4%と比べても大幅に低い水準ですが、この差は設置形態(国公立/私立)の違いによるものであり、教育の質の優劣を示すものではありません。
ここまでを整理すると、北海道大学はストレート合格率3年平均が国公立12校中1位、退学率も12校中2位タイで、出口の実績と在学中の定着の両面で国公立の上位に位置していることになります。ただし、その理由は公表データからは分かりません。これらは統計上の割合であって、個々の学生の事情はさまざまです。
出典:文部科学省(留年率・退学率)
学費と留年1年の経済的リアリティ
ここからはお金の話です。北海道大学は国立大学のため、学費は大きな魅力のひとつです。
学費の内訳(2026年度)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 282,000円 |
| 年間授業料 | 535,800円 × 6年 |
| 入学金+授業料の6年合計 | 3,496,800円 |
北海道大学の入学金+授業料の6年合計349.68万円は、文部科学省が定める国立大学の標準額とまったく同じ水準です。歯学部に対する特別な金額設定は、大学公式サイトでは確認できませんでした。なお、この金額は入学金と授業料のみの合計で、このほかに学生保険や実習器具、教科書・参考書、学外実習の交通費などの諸費用が別途かかります。
私立17校の6年総額の単純平均は約2,611万円ですので、北海道大学はその約7.5分の1にあたります。学費を負担するご家庭にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。なお、この学費差は国公立と私立という設置形態の違いによるものであり、教育内容や指導の質を示すものではありません。
※ 本セクションの学費は、2026年8月時点で大学公式サイトに掲載されている2026年度の金額に基づきます(2027年度の学費は本記事執筆時点で未確認のため、2026年度額を使用しています)。最新情報は必ず大学公式サイト・募集要項でご確認ください。
留年1年の経済的リアリティ
留年1年の経済的な損失について、当ブログでは学費・生活費・機会損失を合わせて1,500万円という試算をしています(複数の前提を置いた当ブログ独自のモデル計算です)。この試算の内訳と考え方については別の動画で詳しく扱っていますので、そちらもあわせてご覧ください。
学費を負担する保護者の方にとっては、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。学費の安さという大きなメリットがある一方で、留年した場合の生活費や将来の収入機会の損失は、国公立か私立かに関係なく生じます。この両面を押さえておきましょう。
出典:北海道大学 公式サイト(学費)/私立17校の学費は各大学公式サイト
偏差値×ストレート合格率|同じ57.5の5校で1位
最後に、国公立12校の中での立ち位置を「入口(偏差値)×出口(ストレート合格率)」で整理します。
北海道大学の2027年度入試向けの河合塾の数値は、方式別偏差値57.5/学部学科偏差値57.5/共通テスト得点率74%です(いずれも2026年8月確認時点の予想値)。多くの大学では方式別偏差値と学部学科偏差値で数字が割れますが、北海道大学は両方とも57.5で一致しているため、どちらの指標で見ても評価は変わりません。共通テスト得点率74%は、12校の中では相対的に高い水準です。

図を見ると、同じ横軸(同じ偏差値)の位置に、出口の実績が大きく異なる大学が縦に並んでいることが分かります。ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。
同じ方式別偏差値57.5の5校で、出口は27.13ポイント開く
方式別偏差値が57.5でそろう国公立5校を、出口のストレート合格率3年平均で並べてみると次のようになります。
| 順位 | 大学 | 方式別偏差値 | ストレート合格率3年平均 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 北海道大学 | 57.5 | 84.10% |
| 2位 | 岡山大学 | 57.5 | 82.67% |
| 3位 | 鹿児島大学 | 57.5 | 81.77% |
| 4位 | 広島大学 | 57.5 | 72.33% |
| 5位 | 九州大学 | 57.5 | 56.97% |
入口の難易度がまったく同じ5校でも、出口の実績は27.13ポイント開きます。 その中で北海道大学は1位ですが、2位の岡山大学(82.67%)との差は1.43ポイントで、いわば僅差の1位です。これは統計モデルによる推計ではなく、公表値をそのまま並べた事実です。同じ偏差値グループの他校について詳しく知りたい方は、同じ偏差値グループの鹿児島大学の記事や同じ偏差値グループの広島大学の記事もあわせてご覧ください。
国公立では偏差値と出口がほとんど連動しない
5校の比較を12校全体に広げると、さらにはっきりします。国公立12校で方式別偏差値とストレート合格率3年平均の相関係数を計算すると、r≒−0.01とほぼゼロでした。つまり、今回の国公立12校とこの指標の組み合わせでは、偏差値とストレート合格率の間に直線的な関係はほとんど確認できません。だからこそ国公立では、大学ごとにストレート合格率を個別に確認することが大切です。
なお、この結果は参考程度に受け止めるべきものです。国公立12校というサンプルは小さく(n=12)、方式別偏差値も55・57.5・60の3水準に集中しているため、横軸の分解能が低いという限界があります。そもそも相関がほぼゼロである以上、回帰線そのものに偏差値から合格率を説明する力はほとんどなく、この結果を国公立歯学部全般に一般化することはできません。
偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。国公立ではこの2つが連動しないからこそ、大学選びでは必ず両方を確認してください。当ブログの歯学部偏差値ランキングの分析記事では、国公立12校の方式別偏差値・学部学科偏差値・共通テスト得点率・ストレート合格率を同じ表で比較していますので、あわせてご覧ください。
出典:河合塾(偏差値・共通テスト得点率)/文部科学省(ストレート合格率)
まとめ|3つのポイント
本記事のポイントを3つにまとめます。
- データの性質: 北海道大学は歯学部単位の進級・卒業の詳しいデータを、現在の世代については公表しておらず、コホート追跡・学年別の脱落率・卒業率は算出できない(平成23〜26年度入学の4世代のみ外部評価報告書に掲載があるが、3年次・4年次が欠けており世代も古い)。その一方で、文部科学省の全国集計で見るストレート合格率3年平均は84.10%で国公立12校中1位。 公表の範囲と教育の質は別の話であり、確認できるデータで見る限り出口の実績は国公立で最も高い水準にある
- 出口の実績と振れ幅: 3年平均84.10%は12校中1位(2位岡山大学とは1.43ポイント差の僅差)。第115回66.0%から第118回90.4%まで3回連続で上昇し、24.4ポイント伸びた一方、単年順位は1位から10位タイまで振れており、1位は直近3回の好調に支えられた結果。退学率0.3%も12校中2位タイで、在学中の定着も上位グループ
- 入口とお金: 方式別偏差値57.5でそろう国公立5校の中で出口は1位。同じ入口の難易度でも出口は27.13ポイント開く。 入学金+授業料の6年合計349.68万円(国立標準額)は私立平均の約7.5分の1という大きなメリットがある一方、留年すれば学費が安い国立でも生活費や将来の収入機会の損失は生じる
北海道大学は、大学として細かい進級データを現在の世代については公表していない一方、国全体の集計で見るストレート合格率は国公立12校の中で最も高い水準にあります。学費も国立の標準額で、私立の約7.5分の1です。大学選びの際は、1つの数字だけでなく、複数の指標を組み合わせて判断することが、経済的なリスクを正しく見積もるうえでも大切になります。学費を負担するご家庭にとっても、合格発表がゴールではなく、入学後の6年間こそが本番です。
なお、1位という結果はあくまで文部科学省の集計に基づく統計的な評価であり、令和2年度以降に総合入試から実際に何人が移行したかなど、公表資料からは確認できない部分も残ります。 合格や進級を最終的に決めるのは、一人ひとりの学習習慣です。単年の順位が1位から10位タイまで振れていることからも分かるとおり、1つの年度の数字だけで大学の実力を判断することはできません。複数年・複数の指標を照らし合わせて見てください。
そのうえで北海道大学については、直近3回のストレート合格率が79.2%→82.7%→90.4%と伸び、第118回では入学者52人のうち47人が6年間で歯科医師になっています。退学率0.3%も国公立12校で2位タイの水準です。入学から国家試験までの6年間をひとまとめに見たときの通過実績としては、国公立12校の中で最も高い水準にあるといえるでしょう。その6年間の内側で学年ごとに何が起きているかを示すデータは、現在の世代については公表されていないため、本記事では扱っていません。出口の数字を複数年ぶん並べて確かめながら、6年間を通して学習のペースを保つ準備を進めてください。
他の歯学部のデータと比較したい方は、全国29歯学部の修学状況まとめ(親記事)をご覧ください。国公立12校のストレート合格率の推移は国公立歯学部のストレート合格率 推移まとめで確認できます。
データ出典: 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」ほか公表資料/厚生労働省 歯科医師国家試験結果/河合塾(偏差値)/北海道大学 公式サイト・学生募集要項・入学者選抜要項・北海道大学概要2026・歯学部「外部評価報告書」(令和4年1月発行)

