ストレート合格率を伝え続ける理由|歯学部の大学選びで大切な物差し
私立歯学部に入学した人のうち、入学から6年で歯科医師国家試験に合格したのは、どれくらいでしょうか。私立15大学の平均で約4割です。第116回から第118回の3か年平均で、41.0%でした。
このサイトとYouTubeチャンネルは、この数字をくり返しお伝えしてきました。ただ、それは歯学部への進学をやめてほしいからではありません。私立歯学部を批判したいからでもありません。国公立でも、私立でも、入学してから学び続ける覚悟が要る。 その現実を、入学する前に数字で知ってほしいからです。
この記事では、このサイトがなぜ新卒合格率ではなくストレート合格率を大学選びの物差しにしているのかを、データと考え方の両面から整理します。後半では、この物差しが広まったときに、受験生・在学生・保護者・大学のそれぞれにとって何が良くなるのかをお話しします。
本記事の要点(30秒まとめ)
- ストレート合格率(修業年限内合格率)は、入学した人を分母にして、入学から6年で国家試験に合格した人の割合を示す数字
- 私立15大学平均は41.0%(第116回から第118回の3か年平均)。国立大学でも、入学者の4人に1人ほどは6年で合格に届いていない
- 入学100人のうち、2年次に進級できたのはおよそ86人。学年が上がるときの減り方は、2年次進級時(1年生のとき)が最も大きい(私立15大学平均)
- 留年1年の損失は、このサイトの独自試算で1,500万円(学費500万円+生活費200万円+機会損失800万円)
- 新卒合格率を評価の中心に置くと、受験する人を絞れば見た目の数字が上がる構造が生まれる。ストレート合格率は、出口で絞っても良くならない
- 学生は学び続ける覚悟を、大学は6年間の育成を、選ぶ側は正しい物差しを
歯学部を目指す高校生・浪人生と、いま歯学部で学んでいる在学生に向けて書いています。学費を負担する保護者の方にも読んでいただきたい内容で、お金の話は第6章にまとめました。
この記事と同じテーマは、YouTube動画「ストレート合格率を伝え続ける理由|歯学部を目指すあなたへ」(2026年10月9日18時公開)でもお話ししています。
目次
- 結論:ストレート合格率を伝え続けるのは、入学後の6年間を知ってほしいから
- この記事で使うデータと出典
- ストレート合格率とは|新卒合格率との違いと、この数字の限界
- 入学はゴールではない|国公立でも私立でも、学び続ける覚悟が要る
- 油断は低学年から始まる|私立15大学平均で見る入学100人の進級
- 留年1年の損失は1,500万円|内訳とこのサイトの独自試算
- なぜ物差しはストレート合格率なのか|新卒合格率を重視する世界との比較
- このサイトとチャンネルがやっていること|大学別データを読み解く
- まとめ|ストレート合格は日々の学習の積み重ねで届く
- よくある質問(FAQ)
- 出典・参考リンク一覧
1. 結論:ストレート合格率を伝え続けるのは、入学後の6年間を知ってほしいから
結論から書きます。このサイトがストレート合格率を伝え続けているのは、入学してから6年間、学び続ける覚悟が要るという現実を、入学する前に知ってほしいからです。 そして、この物差しで大学を選ぶ人が増えれば、大学が6年間の育成に力を注ぐことが、そのまま選ばれる理由になると考えているからです。
理由を分けると、次の3つです。
- 入学はゴールではないから。 入りやすさは大学ごとに違いますが、入学したあとの6年間は、どの大学でも続きます。
- 足止めは低学年から始まるから。 私立15大学の平均では、学年が上がるときの減り方がいちばん大きいのは、2年次進級時(1年生のとき)です。
- どの数字を物差しにするかで、大学に働く力が変わるから。 ストレート合格率は、入学した学生を6年間でどこまで育てたかが表れる数字です。
厳しい数字もお見せします。ですが、ストレート合格は特別な人だけのものではありません。日々の学習の積み重ねで届くものです。そのことも、あわせてお伝えしたいと考えています。
2. この記事で使うデータと出典
この記事で使う数字は、文部科学省と河合塾の公表データ、そしてこのサイトの独自試算の3つだけです。 大学ごとの数字は使いません。私立15大学の平均など、まとめた値だけを使います。
| 使う数字 | 出典 | 集計の範囲 |
|---|---|---|
| ストレート合格率 | 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」 | 第116回から第118回の3か年平均 |
| 学年別の進級 | 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」 | 平成30年度入学と平成31年度入学を合わせて集計 |
| 志願倍率 | 文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」 | 私立歯学部・平成30年度から令和7年度 |
| 入口の偏差値 | 河合塾 | 2027年度のボーダー偏差値 |
| 留年1年の損失 | このサイトの独自試算 | 全大学共通の固定値 |
私立15大学平均とは
私立15大学平均は、東京歯科大学・昭和医科大学を除く15大学の単純平均です(このサイトの算出)。上位2校を含めると、多くの私立大学の実態から離れてしまうため、このサイトではこの15大学の平均を比較の主軸にしています。
単年ではなく3か年平均を使う理由
ストレート合格率の単年の数字は、年によって振れます。そのため、このサイトでは直近3回分を平均した値を使っています。この記事の41.0%も、第116回から第118回の3か年平均です。
3. ストレート合格率とは|新卒合格率との違いと、この数字の限界
ストレート合格率は、入学した人を分母にした数字です。新卒合格率は、その年に卒業して受験した人を分母にした数字です。 分母が違うので、同じ「国家試験の結果」を表していても、見えるものが違います。
2つの数字の定義
定義|新卒合格率とストレート合格率
指標 分母 分子 分かること 新卒合格率 その年の新卒受験者数 その年の新卒合格者数 卒業してその年に受験した人のうち、どれくらいが合格したか ストレート合格率(修業年限内合格率) 入学者数 入学から6年(修業年限内)で国家試験に合格した人数 入学した人のうち、6年間で国家試験の合格まで進んだ人の割合
新卒合格率の分母には、留年や退学をした人は入りません。卒業の判定で足止めされた人や、卒業してもその年に受験しなかった人も入りません。受験した人の中での結果を示す数字です。
ストレート合格率は、入学した全員を分母にします。留年や退学も含めた6年間の結果が、そのまま表れます。 入学を考えている人が知りたい現実に近いのは、こちらの数字です。
新卒合格率とストレート合格率がどれくらい離れるかは、歯学部の国家試験合格率90%のからくり|新卒 vs ストレートの乖離を解説で詳しく扱っています。
この数字の限界も、先にお伝えします
ストレート合格率を大学選びの物差しとしておすすめする以上、この数字でわからないことも、先にお伝えしておきます。
ストレート合格率の限界
1. 入らなかった人には、さまざまな人がまとめて含まれます
- 退学した人
- 留年して6年を超えた人
- 卒業の判定で足止めされた人
- 卒業後すぐに国家試験を受験しなかった人
- その年の国家試験に届かなかった人
ストレート合格率に入らなかった人が、みな歯科医師になれないわけではありません。7年目以降に合格する人もいます。約4割という数字は、入学から6年で国家試験に合格した人の割合です。最終的に歯科医師になった人の割合ではありません。
2. 入口の条件でも数字は動きます
入学する学生の学力など、入口の条件によってもストレート合格率は動きます。6年間の育成の結果だけを取り出した数字ではありません。
3. 単年の数字は振れます
そのため、このサイトでは3か年平均を使っています。
4. 平均は大学ごとの値の単純平均です
私立15大学平均は、大学ごとのストレート合格率をそのまま平均した値で、入学者数の多い少ないで重みは付けていません。
こうした限界はあります。それでも、入学前の人が知りたい現実に、いちばん近い数字だと考えています。
4. 入学はゴールではない|国公立でも私立でも、学び続ける覚悟が要る
入りやすさは、大学ごとに違います。ただ、どの大学に入っても、入学したあとの6年間、学び続けなければならないことは変わりません。
入りやすさは大学ごとに違う
文部科学省の調査で、私立歯学部の志願倍率(志願者数÷入学定員)を平成30年度と令和7年度で比べると、下がって入りやすくなった大学があります。一方で、上がって人気が高まっている大学もあります。私立歯学部の全体がそろって入りやすくなった、というわけではありません。
入りやすさと、入学してからの6年間は、別の話です。
私立でも国立でも、6年で合格に届かない人がいる
ストレート合格率を第116回から第118回の3か年平均で見ると、私立15大学の平均は41.0%です。私立歯学部に入学した人のうち、入学から6年で国家試験に合格したのは、約4割ということです。
国立大学でも、6年で届かない人はいます。国立11大学の平均は74.0%(同じ3か年平均・単純平均)です。国立大学でも、入学者の4人に1人ほどは、6年で国家試験の合格に届いていません。
国公立でも、私立でも、入学後に学び続ける覚悟が要る。これが、まず知ってほしい現実です。
私立大学のストレート合格率の長い期間の動きは、【私立歯学部】ストレート合格率推移(過去16年分)|偏差値では見えない「進級と国試」の真実と格差にまとめています。
知らないまま入学すると、ギャップが大きくなる
学び続ける必要を十分に知らないまま入学すると、入学後の現実とのギャップは大きくなります。
このサイトでは、そのギャップが、私立の歯科大学では多く発生しているように感じています。これは数字で確かめた事実ではなく、このサイトとしての実感です。だからこそ、入学する前に、数字で現実を知っておいてほしいと考えています。
5. 油断は低学年から始まる|私立15大学平均で見る入学100人の進級
留年や退学は、6年生になってから始まる話ではありません。私立15大学の平均で、入学した100人のうち、2年次に進級できたのはおよそ86人。学年が上がるときの減り方でいちばん大きいのは、2年次進級時(1年生のとき)でした。

| 段階 | 入学者を100人としたときの人数 | 前の段階からの減少(ポイント) |
|---|---|---|
| 入学 | 100.0 | — |
| 2年次進級 | 86.1 | −13.9 |
| 3年次進級 | 75.5 | −10.7 |
| 4年次進級 | 68.8 | −6.7 |
| 5年次進級 | 61.5 | −7.3 |
| 6年次進級 | 58.0 | −3.5 |
出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」よりこのサイトが集計。私立15大学平均(東京歯科大学・昭和医科大学を除く)。平成30年度入学と平成31年度入学を合わせて集計しています(公表状況により、一部の大学は平成30年度入学のみ)。減少は四捨五入する前の値から計算しているため、表示値どうしを引き算した結果と0.1ずれる区間があります。一部の大学では、編入学等により学年の途中で人数が増える場合があります。その影響を除いて計算しても、2年次進級時の減少が最も大きいという結果は変わりません。
表の読み方
ここでの人数は、入学者を100人としたとき、留年・休学・退学をせずに、その学年まで進級できた人数です。
表の「3年次進級」の行で減っている分は、2年生のときに予定どおり3年次へ上がれなかった人です。行の名前だけを見ると3年生でつまずいたように読めてしまうため、この記事では「3年次進級時(2年生のとき)」のように、つまずいた学年がわかる形で書きます。
減り方の形
- 2年次進級時(1年生のとき):−13.9ポイント。 学年が上がるときの減り方で、最も大きい区間です
- 3年次進級時(2年生のとき):−10.7ポイント
- 4年次進級時(3年生のとき):−6.7ポイント
- 5年次進級時(4年生のとき):−7.3ポイント
- 6年次進級時(5年生のとき):−3.5ポイント
最初の進級で100人のうちおよそ14人が減り、そこから学年ごとに減って、6年次まで進級できたのはおよそ58人です。
受験生と在学生のみなさんへ
受験生のみなさんには、このことを入学する前に知っておいてほしいと思います。
そして、いま歯学部で学んでいるみなさん。国家試験は6年先だから、と油断していると、低学年のうちに足止めされることがあります。努力は、入学した日から続けていく必要があります。
厳しい数字ですが、だからこそ、低学年からの学習習慣が、ストレート合格への近道です。
私立17校の6年間を、同じようにコホート(同じ年度に入学した集団)単位で追いかけた分析は、歯学部に100人入学して歯科医師になれるのは何人?|コホート生存曲線で見る私立17校の6年間と、動画入学100人→歯科医師になれるのは何人?私立17校の6年間を追うにまとめています。
6. 留年1年の損失は1,500万円|内訳とこのサイトの独自試算
このサイトでは、留年1年の損失を1,500万円と試算しています。公的機関が公表している数字ではなく、このサイトの独自試算です。
| 項目 | 金額 | 考え方 |
|---|---|---|
| 学費 | 500万円 | 全大学共通の固定値。実際の大学ごとの年額とは別です |
| 生活費 | 200万円 | 留年で追加で1年分かかる生活費 |
| 機会損失 | 800万円 | 社会に出るのが1年遅れることで失う収入。キャリア終盤の1年分の年収 |
| 合計 | 1,500万円 |
計算の考え方
学費を実際の大学ごとの金額にしていないのは、大学ごとのばらつきをなくして、論点をシンプルにするためです。どの大学でも500万円で計算しています。
機会損失の800万円は、「最初の年の年収」ではありません。留年で社会に出るのが1年遅れると、働く期間が1年短くなり、キャリアの終盤の1年分の年収がなくなる、という考え方です。
また、機会損失を含むため、1,500万円のすべてが実際に支払う金額というわけではありません。
この数字を出している理由
親に学費を出してもらっていると、留年1年の重さは、なかなか実感しにくいものです。
この数字を出しているのは、留年を自分ごととして感じてほしいからです。1年の足止めで、これだけのお金と時間が動く。それを知ったうえで、留年してなるものか、という気持ちにつなげてほしいと思っています。
だからこそ、進級を一つずつ積み重ねることに、大きな価値があります。
保護者の方へ|6年間の学費の総額は「ストレートで卒業できた場合」の金額です
大学が示す6年間の学費の総額は、6年間を予定どおり進級して卒業できた場合の金額です。1年留年すれば、その1年分の学費と生活費がかかり、社会に出る時期も1年遅れます。
ご家庭で、毎年の進級の大切さを話し合うきっかけにしていただけたらうれしいです。志望校を考えるときは、学費の総額とあわせて、ストレート合格率も一緒に確認してみてください。
学費と留年のリスクをあわせて考える見方は、私立歯学部の実質コストランキング|留年リスクを含めた本当の学費で整理しています。
7. なぜ物差しはストレート合格率なのか|新卒合格率を重視する世界との比較
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。新卒合格率を評価の中心に置くと、受験する人を絞れば見た目の数字が上がる、という力が働く構造が生まれます。ストレート合格率は、出口で絞っても良くなりません。この物差しで選ばれるなら、大学がいちばん力を入れるべきは、6年間の育成になります。
2つの世界を比べる
どちらの数字を最も重視するかで、何が変わるのかを比べます。
| 新卒合格率を最も重視する世界 | ストレート合格率を最も重視する世界 | |
|---|---|---|
| 分母 | 卒業してその年に受験した人(新卒受験者) | 入学した人全員 |
| 卒業の段階で受験する人を絞ると | 分母が小さくなり、見た目の数字が上がる構造 | 分母は変わらず、数字は良くならない |
| 数字に表れるもの | 受験した人の中での結果 | 入学から6年間の結果 |
新卒合格率は、新卒の合格者数を新卒の受験者数で割った数字です。卒業の段階で受験する人が絞られれば、分母が小さくなり、見た目の数字は上がります。この数字が評価の中心になると、そういう力が働く構造が生まれます。
これは、特定の大学がそうしている、という話ではありません。新卒合格率そのものが間違った数字だ、という話でもありません。どの数字を評価の中心に置くかで、働く力が変わる、という構造の話です。
一方、ストレート合格率の分母は、入学した人全員です。卒業の段階で受験する人を絞っても、分母は入学者のまま変わりません。受験しなかった人は分子に入らないので、数字はむしろ下がる方向に働きます。
新卒合格率の数字の見え方については、動画歯科国試新卒合格率のからくり|卒業しても国試を受けない学生がいる闇で具体的に解説しています。
主役は、6年間の育成
ストレート合格率は、入学した学生を、6年間でどこまで育てたかが、そのまま表れる数字です。出口で受験する人を絞っても、この数字は良くなりません。
この物差しで選ばれるなら、大学がいちばん力を入れるべきは、6年間の育成になります。育成に力を注いだ大学が、正当に評価される。ストレート合格率は、そういう物差しです。
第3章でお伝えしたとおり、入学する学生の学力など、入口の条件でもこの数字は動きます。それでも、出口で見た目を良くするという方法が使えない物差しであることは変わりません。
入口が同じでも、6年間で差がつく
実際に、河合塾の偏差値(2027年度のボーダー偏差値)と、文部科学省のストレート合格率(第116回から第118回の3か年平均)を重ねてみます。すると、入口の偏差値が同じ私立大学どうしでも、ストレート合格率に15ポイントを超える差がついている例があります。
入口が同じでも、入学後の6年間で差がつく。この比較だけでは、差が生まれる理由まではわかりません。ただ、入口の難しさだけで、6年後の結果が決まるわけではないことは言えます。
だからこそ、大学選びでは、入口の難しさだけでなく、6年間の結果を見てほしいのです。
この物差しが広まると、好循環が生まれる

この物差しで大学を選ぶ受験生や保護者が増えれば、大学にとって、6年間の育成に力を入れることが、そのまま選ばれる理由になります。
- 受験生・保護者が、ストレート合格率で大学を選ぶ
- 6年間の育成が、選ばれる理由になる
- 大学が、6年間の育成に力を注ぐ
- 学生が、6年間でしっかり育つ
育成に力を入れた大学が選ばれ、選ばれた大学で、学生が6年間でしっかり育つ。厳しい数字を出し続けているのは、この好循環につなげたいからです。
学生は学び続ける覚悟を、大学は6年間の育成を、選ぶ側は正しい物差しを
| 立場 | 持ってほしいもの |
|---|---|
| 学生 | 学び続ける覚悟 |
| 大学 | 6年間の育成 |
| 選ぶ側(受験生・保護者) | 正しい物差し |
この3つがそろえば、受験生も、在学生も、保護者も、そして大学も、みんなが幸せになれる。このサイトは、そう考えています。
8. このサイトとチャンネルがやっていること|大学別データを読み解く
ストレート合格できるかどうかを最後に決めるのは、一人ひとりの努力です。そのうえで、努力を支える6年間の環境は大学ごとに違うため、大学ごとのストレート合格率を、判断材料のひとつとしてお届けしています。
大前提は、一人ひとりの努力
どの大学にも、入学から6年で国家試験に合格している学生がいます。ストレート合格率は大学全体の傾向を示す統計で、一人ひとりの結果を決めるものではありません。
ただ、学生の努力を支える6年間の環境は、大学ごとに違います。だからこそ、このサイトとチャンネルは、大学ごとのストレート合格率を比べて、判断材料のひとつとしてお届けしています。
入口の偏差値と、出口のストレート合格率
偏差値は入口の難しさを、ストレート合格率は出口の結果を示します。どちらか一方ではなく、その両方から、志望校の位置を客観的に見つめてほしいと思っています。
分かりにくい公表資料を、読み解いてお届けする
もうひとつの役割があります。大学や文部科学省が公表している資料は、初めて見る受験生や保護者の方にとって、どこをどう読めばいいのか、分かりにくいものが少なくありません。
似た名前の数字でも、分母や集計の時点が違うことがあります。この記事で扱った新卒合格率とストレート合格率も、分母が違う2つの数字です。
そうしたデータを、できるだけ分かりやすく読み解いて、記事と動画でお伝えする。それが、このサイトとチャンネルの役割だと考えています。まだまだ分かりにくい点もあると感じていますが、今後も継続して改善していきます。
全29歯学部の修学状況を大学ごとに比べたい方は、歯学部 留年率・卒業率ランキング【全29大学・最新データ】と、動画歯学部29大学「修学状況」完全ガイド|ランキングで全体把握・失敗しない大学の選び方をご覧ください。
9. まとめ|ストレート合格は日々の学習の積み重ねで届く
この記事の内容を、3つのポイントに整理します。
1つ目|入学はゴールではない
私立15大学平均のストレート合格率は41.0%(第116回から第118回の3か年平均)。国立大学でも、入学者の4人に1人ほどは6年で合格に届いていません。国公立でも、私立でも、入学後に学び続ける覚悟が要ります。
2つ目|油断は低学年から始まる
私立15大学の平均で、学年が上がるときの減り方がいちばん大きいのは、2年次進級時(1年生のとき)です。留年1年の損失は、このサイトの独自試算で1,500万円です。
3つ目|物差しはストレート合格率
ストレート合格率は、出口で受験する人を絞っても良くならない物差しです。この物差しで選ばれるなら、大学がいちばん力を入れるべきは6年間の育成になります。学生は学び続ける覚悟を、大学は6年間の育成を、選ぶ側は正しい物差しを。
立場ごとに、ひとつずつ持ち帰ってほしいこと
- 受験生と保護者の方へ: 志望校のストレート合格率を、一度調べてみてください。
- いま歯学部で学んでいるみなさんへ: 6年先の国家試験を見据えながら、コツコツと少しずつでも毎日学習を積み重ね、余裕をもって進級できるようにしてください。その1年1年の積み重ねが、6年後につながります。
歯学部を目指すみなさんへ
この記事では厳しい数字もお見せしました。ですが、ストレート合格は、特別な人だけのものではありません。日々の学習の積み重ねで、届くものです。低学年からしっかり学習習慣を身につけ、毎年の進級を着実に重ねていくことが、ストレート合格への近道です。
そして歯科医師は、人の役に立つ、目指す価値のある、すばらしい仕事です。だからこそ、現実を知ったうえで、ギャップなく歯学部に入学して、将来、幸せになってほしい。このサイトとチャンネルは、そう願っています。
感想やご意見など、どんなことでも、YouTubeのコメントでいただけると、非常にはげみになります。今後とも、よろしくお願いします。
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 私立15大学平均の41.0%は、最終的に歯科医師になる人の割合ですか
A. いいえ、違います。
41.0%は、入学した人のうち、入学から6年で国家試験に合格した人の割合です。ストレート合格率に入らなかった人には、退学した人、留年して6年を超えた人、卒業の判定で足止めされた人、卒業後すぐに受験しなかった人、その年の国家試験に届かなかった人が、まとめて含まれます。7年目以降に合格する人もいるため、最終的に歯科医師になった人の割合とは別の数字です。
Q2. この記事で大学名を出さないのはなぜですか
A. 特定の大学を評価するための記事ではないからです。
この記事は、このサイトが大学選びの物差しとしてストレート合格率を使う理由を説明するためのものです。大学ごとの数字は、公表データとともに大学別の記事で扱っています。大学ごとに比べたい方は、歯学部 留年率・卒業率ランキング【全29大学・最新データ】からご覧ください。
Q3. 新卒合格率は、意味のない数字なのですか
A. いいえ。見る目的が違う数字です。
新卒合格率は、卒業してその年に受験した人が、どれくらい合格したかを示す数字です。卒業の時点での到達度を見る材料になります。
ただ、分母に留年や退学をした人、その年に受験しなかった人が入らないため、入学から6年間の結果は表しません。これから入学する人が大学を選ぶときは、ストレート合格率をあわせて見てほしい、というのがこのサイトの考えです。
Q4. 偏差値は、見なくていいのですか
A. いいえ。偏差値も見てください。
偏差値は入口の難しさを、ストレート合格率は出口の結果を示します。入口の偏差値が同じ私立大学どうしでも、ストレート合格率に15ポイントを超える差がついている例があるため、偏差値だけで決めないでほしい、というのがこのサイトの考えです。入口の偏差値と出口のストレート合格率、その両方から志望校の位置を見てください。
Q5. 留年1年で1,500万円は、実際に支払う金額ですか
A. すべてが支払う金額ではありません。
1,500万円は、学費500万円、生活費200万円、機会損失800万円を合計した、このサイトの独自試算です。機会損失は、社会に出るのが1年遅れることで失う収入(キャリア終盤の1年分の年収)で、実際に支払うお金ではありません。また、学費の500万円は、実際の大学ごとの年額ではなく、全大学共通の固定値です。
Q6. 単年ではなく3か年平均を使うのはなぜですか
A. 単年の数字は、年によって振れるからです。
1回分の数字だけで判断すると、たまたま高かった年や低かった年に引っぱられます。そのため、このサイトでは直近3回分(この記事では第116回から第118回)を平均した値を使っています。
11. 出典・参考リンク一覧
本記事で使用したデータの公表元は以下のとおりです。
公的機関
- 文部科学省「医学・歯学教育」:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1324090.htm 歯学部の修学状況等の調査(ストレート合格率・学年別の進級状況・志願倍率)の一次出典です
予備校
- 河合塾 Kei-Net:https://www.keinet.ne.jp/(2027年度のボーダー偏差値)
独自試算
- 留年1年の損失1,500万円:このサイトの独自試算(学費500万円は全大学共通の固定値)
このサイトの関連記事
- 歯学部の国家試験合格率90%のからくり|新卒 vs ストレートの乖離を解説
- 【私立歯学部】ストレート合格率推移(過去16年分)|偏差値では見えない「進級と国試」の真実と格差
- 歯学部に100人入学して歯科医師になれるのは何人?|コホート生存曲線で見る私立17校の6年間
- 私立歯学部の実質コストランキング|留年リスクを含めた本当の学費
- 【第119回】合格者379人減、ストレート合格率はどうなったか|公表済み私立4校の先行分析
- 歯学部 留年率・卒業率ランキング【全29大学・最新データ】
関連動画(YouTube)
- 入学100人→歯科医師になれるのは何人?私立17校の6年間を追う
- 歯科国試新卒合格率のからくり|卒業しても国試を受けない学生がいる闇
- 私立歯学部17校「卒業の壁」徹底比較|タイプが変わる2校の正体
- 【第119回】合格者379人減、影響が出た大学と出なかった大学
- 歯学部29大学「修学状況」完全ガイド|ランキングで全体把握・失敗しない大学の選び方
※ ストレート合格率は、文部科学省の調査の最新版が例年12月ごろに公表されます。最新の情報は、各大学・文部科学省の公表資料でご確認ください。

