日本大学歯学部(東京)の現実|6年で卒業・合格できる学生の割合と留年事情【2026年3月更新】
歯科大学選びにおいて、多くの保護者や受験生が「新卒合格率」という数字に惑わされています。しかし、その数字は留年者や卒業保留者を排除した、いわば「生存者」だけの記録に過ぎません。
多額の学費を負担する保護者が真に見るべき唯一の指標は、入学者を分母とした「修業年限内(6年)合格率」、すなわち「ストレート合格率」です。
当サイトでは、文部科学省および厚生労働省の一次資料及び各大学公式サイトに掲載されている情報に基づき、日本大学歯学部の修学状況を徹底的に可視化しました。「修学状況に関する情報」の概要については、「偏差値だけじゃわからない歯学部選び|教育の質をデータで比較!大学の「中身」徹底解説」という記事で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方は、そちらを先にご確認ください。
日本大学(東京)の進級者数からみえる留年率
日本大学(東京)の各年度における入学者数と進級者数
日本大学の修学状況を、大学公式サイトで公開されているデータから可視化しました。学年ごとに発生している「選別の実態」を冷静に分析する必要があります。以下の表は、各年度の新入生が留年や休学をせず、ストレートで各学年へ進級した人数を示したものです。

日本大学(東京)の各年度における留年率
次に、学年ごとの留年率を分析し、どの年次に「進級の壁」が存在するのかを明らかにします。以下の表は、学年進行に伴いどの程度の割合で留年が発生したかをまとめたものです。最下段には、令和7年5月時点での「ストレート進級者」の割合を示しています。

1. 平成30年度〜令和2年度入学者:卒業・国試までの道のり
この時期のデータで最も注目すべきは、「3年次へ進級する際の壁」の高さです。
| 入学年度 | 入学者数 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | 5年次 | 6年次 | 卒業 | 国試合格 |
| H30年度 | 128 | 114 | 80 | 80 | 70 | 63 | 63 | 55 |
| H31年度 | 128 | 104 | 95 | 84 | 70 | 65 | 60 | 58 |
| R2年度 | 128 | 112 | 74 | 72 | 63 | 63 | – | – |
平成30年度入学者においては、2年次から3年次への進級時に34名が脱落(留年・退学等)を出しています。
入学した128名のうち、ストレートで6年次に到達できるのは概ね半数の63〜65名。この段階で「2人に1人が脱落している」という現実は、受験生にとって非常に重い事実です。
2. 令和3年度〜令和4年度入学者:中間年次の進級状況
続く令和3年度、4年度の入学者においても、厳しい進級判定が継続されています。
| 入学年度 | 入学者数 | 2年次 | 3年次 | 4年次 | 5年次 |
| R3年度 | 128 | 102 | 78 | 77 | 74 |
| R4年度 | 128 | 97 | 83 | 76 | – |
令和3年度入学者では、1年次から2年次で26名、2年次から3年次でさらに24名がストレート進級の列から外れました。
令和4年度入学者に至っては、1年次の段階で31名が留年・退学しており、基礎医学や教養科目が中心となる低学年次から、学生が進級するのに苦戦している様子が伺えます。
「高学年になってから頑張ればいい」という甘い考えは、現在の日本大学では通用しません。入学直後から1,500万円の損失(1年の留年コスト)という崖っぷちに立たされているという自覚が必要です。
3. 令和5年度〜令和7年度入学者:最新の動向
直近の入学者データにおいても、この「早期選別」の傾向に変化はありません。
| 入学年度 | 入学者数 | 2年次 | 3年次 |
| R5年度 | 128 | 103 | 95 |
| R6年度 | 128 | 108 | – |
| R7年度 | 128 | – | – |
令和5年度入学者では、1年次から2年次へ上がる際に25名(約20%)がストレート進級を逃しています。
令和6年度の2年次進級者数は108名と、前年よりは微増したものの、依然として20名が1年次で足止めを食らっている計算になります。
日本大学のカリキュラムにおいて、どの学年がストレート進級を阻んでいるのか。データからは、1年次から3年次までの基礎・臨床基礎科目のハードルに学生が苦戦している様子が伺えます。この「序盤の壁」を突破できない学生は、118回国試で示された「45.3%」というストレート合格率の「生存者側」に残ることはできないのです。
日本大学(東京)のストレート卒業率およびストレート国家試験合格率
日本大学の直近2年間の卒業・合格実績は以下の通りです。
| 項目 | 平成30年度入学者(第117回) | 令和元年度入学者(第118回) |
| 入学者数 | 128名 | 128名 |
| 6年での卒業者数 | 63名 | 60名 |
| ストレート卒業率 | 49.2% | 46.9% |
| ストレート合格者数 | 55名 | 58名 |
| ストレート合格率 | 43.0% | 45.3% |
ストレート卒業率:2人に1人が「最短卒業」できない現実
最新の第118回国試対象者(H31入学者)において、ストレートで卒業できたのは128名中60名、率にして46.9%です。
驚くべきことに、入学者の53.1%(半数以上)が、卒業までに少なくとも一度は留年、または退学しているという事実が浮かび上がります。かつての名門・日本大学であっても、最短で卒業を勝ち取ることは今や「上位半数に入る」ことが必要になっています。
ストレート国家試験合格率:私立平均との比較
次に、最も過酷な指標である「ストレート国家試験合格率(入学者に対する最短合格者の割合)」を分析します。ここでは、上位2校(東京歯科・昭和)を除いた「私立15大学平均」と比較します。
| 回数(入学年度) | 日本大学 | 私立15大学平均 |
| 117回(H30) | 43.0% | 40.23% |
| 118回(H31) | 45.3% | 42.13% |
日本大学の第118回歯科医師国家試験委おけるのストレート合格率は45.3%。これは全私立17大学中で第9位という位置付けです。
私立15大学の平均(42.1%)は辛うじて上回っているものの、103回国試時点で記録していた80.5%という驚異的な数字からは、見る影もなく下落しています。かつては「日大に入れば8割はストレートで受かる」という時代もありましたが、現在は「2人に1人も受からない」大学へと変貌しています。
全国29歯学部のストレート合格率の過去3カ年平均

この資料によると、国公立大学を含む全国平均のストレート合格率は53.6%であり、歯学部でストレート進級・合格を達成することが容易ではないことが分かります。一般に、国公立大学と比べて相対的に学力分布が低めの学生が入学する傾向のある私立大学の歯学部では、ストレート合格率が3カ年平均で50%を超えるのは4校にとどまります。ストレート合格率の数値を見る際には、こうした全国的な基準も念頭に置いておきましょう。
文部科学省も重要指標として公表を進めている「修業年限内の国家試験合格率」(いわゆるストレート合格率)は、入学後に留年せず修業年限内で進級した学生が、初回の国家試験に合格する割合を指します。したがって、ストレート合格率を高めるには、ストレート進級者の割合を高い水準で維持することが重要です。
日本大学 ストレート合格率の推移
多くの歯科大学が公表する「新卒合格率」は、留年者や卒業保留者を排除した、いわば「生存者」だけの記録に過ぎません。多額の学費を負担する保護者が真に見るべき唯一の指標は、入学者を分母とした「ストレート合格率」です。
日本大学の過去9年間(第110回〜第118回)のストレート合格率の推移と、私立大学内での順位を可視化しました。
第110回〜第118回:ストレート合格率と私立15大学平均との比較
以下のグラフは、日本大学のストレート合格率と、上位2校(東京歯科・昭和)を除いた「私立15大学平均」を比較したものです。

当サイトの分析では、比較対象として「私立15大学平均」を用いています。これは、私立の中で突出した合格率を誇る東京歯科大学と昭和医科大学(現・昭和大学)の2校を除いた平均値です。この2校は出口の成績が別格であり、平均に含めると他の大学の教育努力や実態が見えにくくなるため、あえて除外して分析を行っています。
第113回には58.3%を記録し、私立15大学平均を大きく突き放しましたが、翌第114回には32.8%まで暴落。これは同年の私立平均(43.71%)を10ポイント以上下回る衝撃的な数字でした。直近の第118回では45.3%と、私立15大学平均(42.13%)をわずかに上回る水準で推移しています。
私立17大学におけるストレート合格率の順位推移
日本大学が私立全17大学の中でどの位置にいるのか、その立ち位置を明確にする順位グラフです。

順位の推移は「6位→3位→9位→4位→15位→4位→8位→9位→9位」と、極めて激しく上下しています。15位への転落です。これは全17大学中で下から3番目という、名門校としては屈辱的な順位でした。その後4位までV字回復を見せるなど、中位で安定しつつも、まれに急落する年次があるのが特徴です。
114回のような「15位」という底があるという事実は、学生にとって不安なデータとなります。受験生には「自大学の中で平均以上だから安心」という思考を捨て、常に上を目指して学習を継続し、全国的な個人順位で安全圏を確保する必要があります。
日本大学(東京)の6年次在籍者と卒業留年率
多くの私立歯科大学が国家試験の合格率を維持するために、卒業試験で過酷な選別を行う中、日本大学の出口戦略はどのような位置付けにあるのでしょうか。
令和5年度・令和6年度の卒業留年率の比較
以下の表は、日本大学の6年次における卒業留年状況と、私立17大学の平均値を対比させたものです。
| 項目 | 令和5年度(H30入学者中心) | 令和6年度(H31入学者中心) |
| 6年次在籍者数 | 103名 | 122名 |
| 卒業者数 | 96名 | 105名 |
| 日本大学 卒業留年率 | 6.8% | 13.9% |
| 私立17大学平均 卒業留年率 | 23.5% | 21.2%(※) |
(※)令和6年度平均は、現時点で数値を把握できている大学のみを対象とした暫定値です。
平均を大きく下回る「出口」の広さ
データから明らかな通り、日本大学の卒業留年率は令和5年度が6.8%、令和6年度が13.9%となっており、私立17大学平均(23.5%、21.2%)と比較すると、全国的に見ても低い水準にあります。
私立歯科大学の中には、4割近い学生を卒業試験で留年させる大学もあります。その中で日本大学は、6年次まで到達した学生の大部分を卒業させており、「出口の門戸」は他校に比べて広いと言えます。
令和6年度に見られた「変化の予兆」
ただし、前年比で見た場合には注意が必要です。令和5年度の6.8%に対し、令和6年度は13.9%と、卒業留年率が約2倍に上昇しています。
依然として平均よりは低いものの、これからの数値には注視が必要です。
分析官の視点:早期選別と1,500万円の経済的リスク
日本大学の卒業留年率が低い理由は、「学生が優秀だから」という側面だけでなく、これまでの章で分析した通り、「低学年次での厳格な進級判定(3年次の壁など)」によって、6年次までに既に十分な選別が完了しているという構造的な背景が考えられます。
出口での留年リスクが低いことは学生にとって心理的な安心感に繋がりますが、それでも令和6年度には17名が卒業延期となっています。
1年の留年は、学費・生活費・そして歯科医師としての初年度年収を合算した「1,500万円の損失」という現実を突きつけます。平均より低いからといって油断は禁物です。日本大学においては、出口よりもむしろ「そこに至るまでの進級の過程」に最大の障壁があることを、受験生と保護者は再認識すべきでしょう。
日本大学(東京)の修学状況まとめ
日本大学歯学部の修学データを精査した結果、受験生および保護者が認識しておくべき重要な事実は以下の3点に集約されます。
1. ストレート合格率は45.3%:入学者の半数以上が「最短」で歯科医師になれない
最新の第118回国家試験において、日本大学のストレート合格率は45.3%という中堅の位置付けです。
かつての80%を超えていた実績から見れば、現在は「入学者の半数以上(54.7%)が留年・退学、あるいは国家試験不合格というリスクを抱える」という極めてシビアな環境にあります。
2. 進級の難所は「低学年次」にシフト:早期選別の常態化
近年では、1年次から3年次にかけての「早期選別」が顕著です。
令和4年度入学者では、1年次だけで31名が脱落。令和2年度入学者では3年次までに約4割がストレート進級を逃しています。こうしたデータは、入学直後の気の緩みは致命傷となることを示しています。
3. 卒業留年率は13.9%:私立平均より低いが昨年は上昇
令和6年度の卒業留年率は13.9%と、私立17大学平均(21.2%)を下回る低い水準を維持しています。ただし、前年度(6.8%)と比較すると約2倍に上昇しており、出口のハードルも徐々に高まっています。
これは「低学年で十分に絞り込まれているため、6年次まで到達すれば卒業しやすい」という構造ですが、その6年次に無傷で到達できるのは入学者のわずか5割となっています。
さいごに・・
データが示す通り、日本大学歯学部は「伝統校だから入れば安心」という場所ではありません。日本大学でストレート合格を勝ち取るためには、以下の意識改革が不可欠です。
- 1年次からの「逃げ切り」戦略: 基礎医学が始まる1年次から、上位40%以内の成績を常にキープし続けること。
歯科医師国家試験は、もはや「6年生になってから頑張る試験」ではなく、「1年生からの積み上げが勝敗を分かつ、6年間の耐久レース」です。低学年からの確実な学習習慣を身につけ、自力で進級を勝ち取る意識が、非常に重要です。

