2024

昭和医科大学(旧:昭和大学)歯学部のストレート合格率と「進級の壁」を徹底分析【2026年3月更新】

kameman

歯科医師国家試験の合格発表。各大学が公表する「新卒合格率」には、受験生や保護者が直視すべき残酷な罠が隠されています。

卒業試験を突破し、国家試験を受験できた「生存者」のみを集計した数字は、入学した学生の何割が、実際にストレートで歯科医師になれたのかという真実を語りません。

私は、入学者を分母とした「最低修業年限(6年)内での合格率」=ストレート合格率こそが、教育機関の質と誠実さを測る真実の指標であると考えています。

私立歯学部の頂点に君臨する東京歯科大学と並び、圧倒的な合格実績を誇る昭和医科大学。しかし、その高い合格率を維持する裏側には、厳しい選別と「進級の壁」が存在します。

1年の留年は、単なる時間の浪費ではありません。
「学費・生活費、そして歯科医師として得られたはずの1年間の逸失利益」を合算すれば、その損失額は1,500万円に達します。 私は、このシビアな経済的リアリティを分析の根底に置いています。

当サイトでは、文部科学省および厚生労働省の一次資料及び各大学公式サイトに掲載されている情報に基づき、修学状況を徹底的に可視化しました。「修学状況に関する情報」の概要については、「偏差値だけじゃわからない歯学部選び|教育の質をデータで比較!大学の「中身」徹底解説」という記事で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方は、そちらを先にご確認ください。

昭和医科大学の進級者数からみえる留年率

昭和医科大学の各年度における入学者数と進級者数

まず、入学した学生たちが歯科医師国家試験の合格まで、どのように推移しているのか。その「進級の階段」を可視化しました。この表において、最も注目すべきは「数字が減少するタイミング」です。

昭和医科大学では、特に2年次から3年次における選別が極めて明確に行われていることがわかります。

昭和医科大学の各年度における留年率:突き刺さる「2年次の壁」

次に、学年別の留年・休学者の割合を、全私立大学の平均値と比較したデータを確認します。

1. 平成30年度〜令和元年度入学者:卒業・国試までの道のり

まずは、すでに歯科医師国家試験の結果までが出揃っている世代のデータを確認します。

昭和医科大学におけるストレート合格率は、平成30年度入学者が73%(96名中70名)、令和元年度入学者が72%(96名中69名)と、極めて高い水準で安定しています。

ここで注目すべきは、6年次に到達した「ストレート進級生」が卒業に至るまでのプロセスです。平成30年度では、6年次に到達した75名のうち卒業試験を突破できなかったのは3名、令和元年度では77名のうち5名となっています。

ストレートで6年次まで進んだ学生が卒業試験で足踏みする確率は、多くの大学において既卒生や留年経験者を含む全体平均よりは低くなる傾向にありますが、昭和医科大学においても6年次まで到達した学生は、卒業試験を突破する可能性が非常に高いという事実が、これらの実数から裏付けられています。

2. 令和2年度〜令和4年度入学者:中間年次の進級状況

現在、学内の高学年に位置するこの世代では、同校における進級のハードルの置き方が明確に現れています。

画像データが示す通り、昭和医科大学においても決して全員がスムーズに進級できるわけではありません。令和2年度入学者では、2年生から3年生に上がるタイミングで16名もの学生が留年、あるいは脱落しています。 割合にして17%、約6人に1人がこの段階で足踏みを強いられたことになります。令和3年度入学者においても12名(13%)が3年生に進級できていません。

この「2年生の壁」とも言える状況を突破し、3年次以降のカリキュラムに乗れるかどうかが、1,500万円という多額の損失を回避し、ストレート合格を勝ち取るための大きな分岐点となっています。

3. 令和5年度〜令和7年度入学者:最新の動向

最新の入学者データを見ると、1年次から2年次の進級については安定した推移を見せています。

令和5年度入学者は96名中93名、令和6年度入学者は99名中96名が2年次へと進級しました。1年次におけるストレート進級者の割合は97%前後を維持しています。

なお、最新の令和7年度入学者については定員が100名となっており、学生数が増加する中で、同校の学習サポート体制がどのように機能し、例年の「2年次の進級判定」にどのような影響を与えるのか、今後の推移を注視する必要があります。

総括

昭和医科大学の進級構造を総括すると、他大学と同様に低学年、特に2年次において一定の進級のハードルを設けている傾向が見て取れます。

右側の平均値データと比較すると、私立大学全体では1年次(平均14%)から留年が発生しやすいのに対し、昭和医科大学は1年次の留年を3%程度に抑えつつ、2年次(平均11%)で歯科医師としての基礎学力を厳格に判定する構成となっています。

1年の留年は1,500万円の損失を意味しますが、昭和医科大学のデータが示すのは、早い段階で基礎を固める負荷をかける一方で、その後の学年における脱落者が相対的に少ないという点です。

「2年生を無事に突破できたなら、その先の国家試験合格までは高い確率で到達できる」

この、出口までの見通しの良さと、最終的なストレート合格率の高さこそが、私立トップクラスの実績を支える要因であると私は分析します。

昭和医科大学のストレート卒業率およびストレート国家試験合格率

昭和医科大学の直近2年間の卒業・合格実績は以下の通りです。

項目平成30年度入学者(第117回)令和元年度入学者(第118回)
入学者数96名96名
6年での卒業者数72名72名
ストレート卒業率75.0%75.0%
ストレート合格者数70名69名
ストレート合格率72.9%71.9%

1. ストレート卒業率:入学者の7.5割が「6年での卒業」を達成

ストレート卒業率とは、入学した学生が一度も留年・休学することなく、最短修業年限(6年)で卒業に至った割合です。

  • 令和元年度入学者:75.0%(入学者96名/ストレート卒業者72名)
  • 平成30年度入学者:75.0%(入学者96名/ストレート卒業者72名)

最新のデータにおいても、ストレート卒業率は75.0%と極めて高い水準で安定しています。これは、入学した10人のうち、7人以上が最短の6年で卒業までたどり着いていることを意味します。多くの大学が年度によって数字を乱高下させる中、2年連続で全く同率の75.0%を維持している点は、同校の進級管理が極めて計画的かつ厳格に運用されている証左と言えます。

2. ストレート国家試験合格率:私立15大学平均を大きく上回る実績

入学者が最短6年で国家試験を突破できる確率である「ストレート国家試験合格率」も、私立大学トップクラスの数字が出ています。

  • 令和元年度入学者(第118回):71.9%(合格者69名)
  • 平成30年度入学者(第117回):72.9%(合格者70名)

第118回歯科医師国家試験における昭和医科大学のストレート合格率は71.9%です。これを私立15大学平均(※上位2校を除く平均)の42.1%と比較すると、平均を約30ポイントも上回る結果となりました。

区分ストレート合格率(第118回)
私立15大学平均42.1%
昭和医科大学71.9%

3. 「生存者バイアス」の罠:新卒合格率97.7%の裏側

厚労省発表の昭和医科大学における第118回「新卒合格率」は97.7%(合格者85名/受験者87名)という、驚異的な数字です。しかし、入学者を分母とした「ストレート合格率」は71.9%に留まります。

この25.8ポイントもの乖離は、6年間の修学過程で留年・休学を余儀なくされた学生、あるいは卒業試験を突破できず国家試験の受験票を手にできなかった学生が、分母から「除外」されているために生じます。新卒合格率という指標だけでは、入学した学生の約3割がストレートで歯科医師になれていないという実態を捉えきることができません。

歯科医学教育における1年の停滞は、「学費500万円+生活費200万円+機会損失(初年度年収)800万円=計1,500万円」の損失に直結します。71.9%という合格率は私立大学の中では最高水準ですが、裏を返せば入学者の28.1%が、この莫大な代償を支払いながら苦闘している現実を物語っています。

高まる出口のハードル

最新のデータにおいて、昭和医科大学の「6年次卒業留年率」は10.3%(6年次在籍者97名/卒業者87名)となっています。これは、6年生まで到達した学生であっても、最後に10人に1人は卒業試験の壁に突き当たっていることを意味します。

さらに、令和元年度入学者のデータでは、ストレートで卒業した72名のうち、3名が国家試験で不合格となっています。最短期間で最終学年まで駆け抜けた優秀層であっても、国家試験という最後の関門を全員が突破できるわけではありません。

受験生および保護者の方は、この「生存率7割」という現実を直視しなければなりません。昭和医科大学というトップ校であっても、入学直後からの継続的な学習習慣を維持できなければ、容易に「3割の脱落者」の側へ回るリスクがあることを覚悟すべきです。

全国29歯学部のストレート合格率の過去3カ年平均

文部科学省 標準修業年限内での歯科医師国家試験合格率(直近3か年平均)

この資料によると、国公立大学を含む全国平均のストレート合格率は53.6%であり、歯学部でストレート進級・合格を達成することが容易ではないことが分かります。一般に、国公立大学と比べて相対的に学力分布が低めの学生が入学する傾向のある私立大学の歯学部では、ストレート合格率が3カ年平均で50%を超えるのは4校にとどまります。ストレート合格率の数値を見る際には、こうした全国的な基準も念頭に置いておきましょう。

文部科学省も重要指標として公表を進めている「修業年限内の国家試験合格率」(いわゆるストレート合格率)は、入学後に留年せず修業年限内で進級した学生が、初回の国家試験に合格する割合を指します。したがって、ストレート合格率を高めるには、ストレート進級者の割合を高い水準で維持することが重要です。

昭和医科大学のストレート合格率の推移

昭和医科大学の過去9年間(第110回〜第118回)におけるストレート合格率、および私立15大学平均との比較推移は以下の通りです。

第110回〜第118回:ストレート合格率と私立15大学平均との比較

当サイトの分析では、比較対象として「私立15大学平均」を用いています。これは、私立の中で突出した合格率を誇る東京歯科大学と昭和医科大学(現・昭和大学)の2校を除いた平均値です。この2校は出口の成績が別格であり、平均に含めると他の大学の教育努力や実態が見えにくくなるため、あえて除外して分析を行っています。

昭和医科大学のストレート合格率は、常に私立15大学平均を大きく上回る水準で推移しています。特に直近5年間(第114回以降)は、平均を約30ポイントも突き放す異常な強さを見せています。

第111回に一時的な落ち込み(52.1%)を見せたものの、翌年には即座に67.3%まで回復。この「修正能力」の高さも、同校の教育体制が極めて堅牢であることを物語っています。

昭和医科大学 ストレート合格率:私立17大学内順位推移

全私立17大学の中での、昭和医科大学のストレート合格率の順位推移は以下の通りです。

この順位推移は、私立歯学部における「二強体制」を如実に表しています。

昭和医科大学は過去9年間、私立17大学中「1位」または「2位」以外の順位を一度も経験していません。 東京歯科大学と熾烈なトップ争いを繰り広げつつも、3位以下の他大学には一切の追随を許さない、圧倒的なポジションを堅持しています。1年の留年は学費・生活費・機会損失を合わせ1,500万円の損失に直結します。私立15大学平均が40%前後、つまり「入学者の6割が6年で歯科医師になれない」という状況下において、常にトップ2を維持し、7割以上の生存率を保証している昭和医科大学は、経済的リスクの観点からも極めて稀有な選択肢であると言えます。

昭和医科大学の6年次在籍者と卒業留年率

国家試験の前段階として立ちはだかる最大の壁が「卒業試験」です。
昭和医科大学の直近2年間の6年次在籍者数、および卒業に至らなかった学生の割合(卒業留年率)は以下の通りです。

項目令和5年度(第117回)令和6年度(第118回)
6年次在籍者数101名97名
卒業者数94名87名
卒業留年者数7名10名
卒業留年率6.9%10.3%
私立17大学平均 卒業留年率23.5%21.2%(※)

※データ出典:各大学公式サイト公表の「修学状況に関する情報」より独自算出。私立17大学平均は当サイトによる機関調査に基づく推計値。

1. 卒業試験のハードル:10人に1人が足踏み

最新の令和6年度データにおいて、卒業留年率は10.3%を記録しました。前年度の6.9%から3.4ポイント上昇しており、最終学年における進級判定が厳格化している様子が読み取れます。

これは、6年生まで到達した学生であっても、最後に10人に1人は卒業試験の壁を突破できず、国家試験の受験票を手にできていないことを意味します。私立大学の中には、この卒業留年率が20%〜30%に達する大学も珍しくありませんが、昭和医科大学においても決して「全員が卒業できる」わけではなく、最後まで厳しい選別が続いていることがわかります。

2. ストレート進級生と留年経験者の格差

この「10.3%」という数字は、留年を経験せずに上がってきた「ストレート生」と、すでに一度以上の留年を経験している「多浪生」を合算したものです。

前のセクションで確認した通り、令和元年度入学のストレート生に限れば、6年次まで到達した72名のうち卒業できなかったのは5名(約6.9%)に留まります。一方で、6年次在籍者の全体数が97名であることを考えると、差分の25名は過去に留年を経験している学生たちです。彼らの中から卒業を逃した学生が一定数出ていることは想像に難くなく、一度学習のサイクルから外れた学生にとって、最終学年の壁がいかに険しいものであるかを物語っています。

昭和医科大学の修学状況まとめ

昭和医科大学の修学状況および国家試験実績をデータで紐解くと、私立歯学部における「一握りの勝者」が歩む道筋が明確に浮かび上がります。

今回のデータ分析から導き出された核心的な事実は、以下の3点です。

  1. 圧倒的なストレート合格率(71.9%)
    私立15大学平均が42.13%という、入学者の約6割が脱落する過酷な現実の中で、昭和医科大学は7割を超える生存率を維持しています。第118回試験においても、私立17大学中で2位という不動のポジションを堅持しており、教育の質と出口管理の精度は極めて高い水準にあります。
  2. 「2年次の壁」という早期選別
    昭和医科大学の進級判定において、最大の山場は2年次に設定されています。学年別の留年者数を見ると、2年次から3年次へ上がるタイミングで8〜17%が足踏みを強いられる傾向があります。しかし、この難所を突破した学生は、その後の学年において極めて高い確率で最終合格まで到達しています。
  3. 出口における判定の精度
    最新のデータにおいて、昭和医科大学のストレート卒業率(75.0%)とストレート合格率(71.9%)の差はわずか3.1ポイントに留まっています。これは、大学が課す卒業試験の基準と、国家試験の合格水準が高度に合致していることを示しています。卒業を認められた学生のほとんどが、そのまま歯科医師免許を取得できているという事実は、大学側の進級判定が極めて適正であり、国家試験の難化傾向を正確に捉えた教育が行われている証左であると分析します。

本サイトでは、1年の留年は「学費・生活費・機会損失(初年度年収)を合わせた1,500万円の損失」であると定義しています。

昭和医科大学はこの莫大な損失を被るリスクが私立大学の中で最も低い部類に属しますが、それは決して「進級が容易」であることを意味しません。むしろ、低学年のうちから歯科医師としての適性を厳格に問われ、徹底的な自己研鑽を求められる環境が整っていることを示しています。

「新卒合格率」という生存者バイアスのかかった数字に惑わされてはいけません。

受験生および保護者の方は、入学直後の富士吉田キャンパスでの全寮制生活から始まる「学習習慣の確立」こそが、1,500万円の損失を回避し、最短で歯科医師免許を手にするための唯一の正攻法であることを、自覚しておきましょう。

スポンサーリンク
ABOUT ME
歯学部データ分析官
歯学部データ分析官
入試・教育データの分析を専門
歯科・医療系の教育分野に関わりながら、長年にわたって歯学部の入試・修学データを独自に収集・分析してきました。 このサイトを立ち上げたきっかけは、「受験生や保護者が本当に必要な情報が、どこにも整理されていない」という現実でした。大学のパンフレットに並ぶ「新卒合格率90%以上」という数字。しかしその裏に、入学者の半数近くが6年で卒業できていないという現実があります。 現実を知らないまま歯学部に入学し、留年・退学を繰り返す。夢だったはずの歯科医師への道が、気づいたときには遠のいている。取り戻せない時間だけが積み重なっていく——そういうケースを何度も見てきました。人生の大切な時期が思い描いたように進まなくなること、その重さを知っているからこそ、「入学前に正しい情報があれば」という思いと、「入学後も気を抜かずに学び続ける必要があることを知ってほしい」という願いでこのサイトを運営しています。 このサイトが大切にしていること 厚生労働省・文部科学省・各大学公式サイトの一次資料のみを使用 「ストレート合格率(修業年限内合格率)」を最重要指標として分析 数字の背景・注意点まで丁寧に解説 受験生だけでなく、お子さんの進路を一緒に考える保護者の方にも、後悔のない大学選びのお役に立てれば幸いです。
記事URLをコピーしました