私立大学の修学状況
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【2026年度版】日本大学歯学部の留年率・ストレート合格率を総点検

kameman
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日本大学歯学部(駿河台)に令和2年度に入学したのは128人。その6年後、歯科医師国家試験に合格して歯科医師になれたのは39人でした。入学者を分母にしたストレート合格率は30.5%です。

これは大学が公表した数字です。 文部科学省が発表している、他の大学と比較できる数字は、第116回から第118回の3年平均で44.3%(私立17大学中8位)です。この記事では、この2種類の数字をはっきり分けたうえで、留年率・退学率・卒業率・学費・偏差値まで、日本大学歯学部の6年間を通しで点検します。数字はすべて文部科学省・厚生労働省・大学公式サイトの公表値のみを使っています。

本記事の要点(30秒まとめ)

  • 令和2年度入学128人 → 6年で卒業62人(48.4%) → 国家試験合格39人(30.5%・大学が公表した数字)
  • 文部科学省の確定データで比較できるのは第116〜118回の3年平均44.3%=私立17大学中8位(7位の北海道医療大学とは0.01ポイント差)
  • 令和2年度入学コホートの最大の関門は3年次進級時(2年生のとき)。令和5年度入学コホートまで壁は緩んだが、令和6年度入学コホートで再び拡大
  • 卒業の壁:令和7年度は6年生123人のうち21人が卒業に届かず、6年次留年率は17.1%
  • 留年・休学率は令和5年度の35.6%をピークに2年連続で低下。退学率3.2%は私立17校の平均4.4%より低い
  • 学費6年総額3,160万円は、私立17大学中2位

私立歯学部の学費は6年間で2,000万円を超える大学が多く、日本大学歯学部は3,160万円です。学費を負担するご家庭にとっては、入学後の留年リスクを数字で把握しておくことが、そのまま経済的な意思決定になります。この記事は受験生・歯学部進学を検討中の高校生と浪人生に向けて書いていますが、保護者の方にも役立つよう、お金の話は第11章にまとめました。

この記事と同じ内容は、YouTube動画版でも解説しています(2026年9月22日18時公開)。動画はこちら → 【日本大学歯学部 2026年度】入学128人、6年後に歯科医師になれたのは39人(YouTube)


目次

  1. 結論:令和2年度入学の128人のうち、6年で歯科医師になれたのは39人
  2. この記事で使うデータと、対象の確認
  3. 日本大学歯学部の基本情報|立地・偏差値・学費
  4. ストレート合格率とは何か|新卒合格率との違い
  5. 令和2年度入学コホートの6年間|128人のゆくえ
  6. 直近5コホートで比較|3年次の壁は緩んだのか
  7. ストレート合格率の10年推移と私立17大学ランキング
  8. 卒業の壁|令和7年度は6年生の17.1%が卒業できなかった
  9. 第119回国家試験の本番で何が起きたか|新卒合格率57.8%の内訳
  10. 学年別の留年・休学率と退学率
  11. 学費3,160万円と、留年1年1,500万円という現実
  12. 偏差値×ストレート合格率|私立17大学での立ち位置
  13. まとめ|3つのポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. 出典・参考リンク一覧

1. 結論:令和2年度入学の128人のうち、6年で歯科医師になれたのは39人

結論から書きます。令和2年度に日本大学歯学部へ入学した128人のうち、6年間で卒業できたのは62人(48.4%)、そのまま第119回歯科医師国家試験に合格して歯科医師になれたのは39人(30.5%)でした。

入学した人の約半分が6年で卒業に届き、そのうちのさらに一部が国家試験を突破した、という形です。入学者を分母にすると、6年で歯科医師になれたのは10人に3人という計算になります。

ただし冒頭でも触れたとおり、この30.5%は大学が令和8年5月1日現在として公表した数字です。文部科学省が毎年まとめている確定集計は、本記事の公開時点でまだ公表されていません。他大学の同じ数字と並べて順位づけすることは、現時点ではできません。

そこで本記事では、比較の軸として文部科学省が確定させた第116回から第118回の3年平均44.3%を使います。この44.3%は私立17大学中8位です。すぐ上の7位・北海道医療大学(44.28%)とは0.01ポイントの差しかなく、実質的にはほぼ同率と考えてください。

なお、私立歯学部のストレート合格率は、上位2校(東京歯科大学・昭和医科大学歯学部)を除くと僅差で並ぶ団子状態のため、順位は目安として読んでください。


2. この記事で使うデータと、対象の確認

修学状況の数字に使うのは、文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」、厚生労働省の歯科医師国家試験結果、日本大学の公式サイト公表データの3つだけです。 入試難易度の偏差値だけは、河合塾とベネッセの公表値を、どちらの数字かを明記したうえで使います。SNS上の伝聞や出所のわからない推計値は使いません。

この記事の対象は「駿河台の歯学部」です

日本大学には歯学部が2つあります。東京都千代田区神田駿河台にある歯学部と、千葉県松戸市にある松戸歯学部です。この記事で扱うのは駿河台の歯学部のほうです。松戸歯学部は別学部で、数字もまったく別なので取り違えにご注意ください。松戸歯学部については、2026年9月29日公開の別記事・別動画で同じ形式にて解説します。

基準日は令和8年5月1日

大学が公表している修学状況のデータは、令和8年5月1日現在の数値です。したがって、この記事で「6年間を追いかける集団」は令和2年度に入学した人たちで、その卒業実績は令和7年度卒業、国家試験は第119回にあたります。

この記事は「年1回の決定版」です

本サイトでは、各大学の修学状況を年に1回、最新の公表値がそろったタイミングで全面的に更新しています。他大学もあわせて比較したい方は、全29歯学部の修学状況まとめをご覧ください。


3. 日本大学歯学部の基本情報|立地・偏差値・学費

日本大学歯学部は、JR御茶ノ水駅から徒歩2分という都心立地の歯学部です。

項目内容
所在地〒101-8310 東京都千代田区神田駿河台1-8-13
アクセスJR中央線・総武線 御茶ノ水駅 徒歩2分/東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 徒歩2分
令和8年度 入学者数127人
河合塾 学部学科偏差値2026年度 47.5 → 2027年度 50.0
ベネッセ 偏差値2026年度 55 → 2027年度 54
学費6年総額3,160万円(2027年度・詳細は第11章)

出典:日本大学歯学部 公式サイト/河合塾/ベネッセ

「令和8年度入学127人」と「令和2年度入学128人」を混同しない

上の表にある令和8年度の入学者127人は、いまの1年生の人数です。この記事でこれから6年間を追いかけるのは、令和2年度に入学した128人であり、まったく別の集団です。人数が1人違いで近いため、資料を読むときに取り違えが起きやすいポイントです。以降、本記事で「128人」と書いたときは、すべて令和2年度入学のコホート(同じ年に入学した集団)を指します。

偏差値は河合塾とベネッセで動きが逆

入試難易度については、河合塾の学部学科偏差値が2026年度47.5から2027年度50.0へ2.5ポイント上昇しています。一方で、ベネッセの偏差値は55から54へ1ポイント下がっています。上がっているのは河合塾の数字であり、ベネッセは逆方向に動いているという点は、第12章で詳しく扱います。予備校によって基準が違うため、偏差値を語るときは必ず出典をセットで確認してください(参考:偏差値の見方 河合塾×ベネッセ)。


4. ストレート合格率とは何か|新卒合格率との違い

大学の広報で見かける「国家試験合格率」の多くは新卒合格率であり、入学前の受験生が本当に知りたい確率とは別物です。 ここが本サイトの出発点なので、最初に定義を整理します。

指標分母分子何がわかるか
新卒合格率その年の新卒受験者数新卒の国家試験合格者数卒業試験・進級判定を通過した人の中での合格率
ストレート合格率(修業年限内合格率)入学者数6年(修業年限内)で国家試験に合格した人数入学した人が6年で歯科医師になれる割合

新卒合格率の分母は「新卒受験者数」です。つまり、6年間の進級判定と卒業試験をすべて通過した人だけが分母に残ります。留年した人も退学した人も、分母から静かに消えています。ですから新卒合格率がどれだけ高くても、そこに至るまでに何人がふるい落とされたのかは、この指標からは見えません。

これに対してストレート合格率(正式名称は修業年限内合格率)は、分母が入学者数です。留年も退学も、すべて分母に残ったまま計算されます。入学前の人が確認すべきなのは、こちらの数字です。

なお、本サイトでは「1からストレート合格率を引いた値=将来その人が既卒受験生になる確率」といった読み替えはしていません。留年・退学・進路変更など、分母から外れる理由は複数あるためです。


5. 令和2年度入学コホートの6年間|128人のゆくえ

令和2年度に入学した128人が、学年ごとにどう推移したのかを見ます。最大の関門は3年次進級時、つまり2年生のときでした。

令和2年度入学コホートの進級フロー
段階人数前段階からの増減入学者128人に対する割合
入学(令和2年度)128—100%
2年次進級112−1687.5%
3年次進級74−3857.8%
4年次進級72−256.3%
5年次進級63−949.2%
6年次進級63±049.2%
卒業62−148.4%
第119回国家試験合格39−2330.5%

出典:日本大学歯学部 公式サイト(令和8年5月1日現在)/文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」

表の読み方

ここでの人数は、入学した128人のうち、その学年までストレートで進級できた人の数です。人数が減っている分だけ、その学年で予定どおりには上の学年へ上がれなかった学生がいる、という意味になります。

3年次進級時(2年生のとき)に38人が離脱

最大の落差は2年次から3年次への進級です。112人が74人になっており、1年で38人、割合にして33.9%が予定どおりには3年生へ上がれませんでした。6年間で最も大きな減少です。

ここで表現に注意が必要です。「3年次の壁」と書くと3年生のときに苦しんだように読めますが、実際に留年判定を受けたのは2年生のときです。日本大学歯学部の令和2年度入学コホートにとって、最大の関門は2年生の学年末だった、ということになります。

3年次以降は減り方がゆるやかになる

3年次74人以降は、4年次72人、5年次63人、6年次63人と、減少幅がはっきり小さくなります。5年次から6年次にかけては増減ゼロです。

そして6年間で卒業できたのは62人。入学者128人に対して48.4%です。最後に第119回歯科医師国家試験で合格したのが39人で、入学者を分母にすると30.5%。これがストレート合格率です。

この30.5%は大学が公表した数字であり、文部科学省の確定集計はまだ出ていません。他大学との比較は現時点ではできない、という点をあらためて確認しておきます。なお、同じ令和2年度入学コホートのデータは【第119回】合格者379人減の分析でも扱っています。私立17校全体で、入学者が6年間でどう減っていくのかを比べたい方はコホート生存曲線で見る私立17校の6年間をご覧ください。

卒業した62人と、卒業できなかった人たちが国家試験本番でどうなったのかは、第9章で分解します。


6. 直近5コホートで比較|3年次の壁は緩んだのか

令和2年度から令和6年度までの5つの入学コホートについて、2年次から3年次への減少を並べると、令和5年度入学コホートまでは壁が低くなり続け、令和6年度入学コホートで再び拡大しています。

3年次の壁 5コホート比較
入学年度2年次3年次減少人数減少率
令和2年度11274−38人33.9%
令和3年度10278−24人23.5%
令和4年度9783−14人14.4%
令和5年度10395−8人7.8%
令和6年度10888−20人18.5%

出典:日本大学歯学部 公式サイト(令和8年5月1日現在)/文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」

令和2年度入学コホートでは3人に1人が予定どおり3年生へ上がれなかったのに対し、令和5年度入学コホートでは13人に1人(7.8%)まで下がりました。

ところが令和6年度入学コホートでは、108人から88人へ20人減り、減少率18.5%まで戻っています。したがって、この大学について「3年次の壁は年々緩んでいる」という言い方はできません。 正確には「令和5年度入学コホートまでは緩和が続いたが、令和6年度入学コホートで再び拡大した」となります。

なお、令和7年度入学コホートと令和8年度入学コホートについては、まだ3年次のデータそのものが存在しません(データなし)。令和7年度入学者が3年次に到達するのは令和9年度です。他大学でも同じようにコホート単位で6年間を追いかけています(コホート生存曲線で見る私立17校の6年間)。


7. ストレート合格率の10年推移と私立17大学ランキング

ここからは、文部科学省が確定させた数字だけを使います。日本大学歯学部の第109回から第118回までのストレート合格率は、最高58.3%・最低32.8%の間で動いてきました。

ストレート合格率10年推移
受験回入学者数6年で合格した人数ストレート合格率私立15大学平均
第109回1286953.9%36.13%
第110回1286248.4%38.73%
第111回1527650.0%37.16%
第112回1195344.5%43.65%
第113回1277458.3%43.90%
第114回1284232.8%43.71%
第115回1306348.5%39.85%
第116回1285744.5%40.74%
第117回1285543.0%40.23%
第118回1285845.3%42.13%

出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」。私立15大学平均は東京歯科大学・昭和医科大学歯学部を除く15校について当サイトが独自に算出した平均値です。

※ 表の入学者数は回によって119人から152人まで幅があります。文部科学省の集計様式にもとづく公表値を、そのまま用いています。

比較基準に「私立15大学平均」を使う理由

本サイトでは、ストレート合格率の平均を語るとき、東京歯科大学と昭和医科大学歯学部を除いた私立15大学の平均を主軸にしています。この2校は3位以下と20ポイント近く離れた水準にあり、含めて平均すると数字が引き上げられ、残り15校の中での違いが見えにくくなるためです。一方で、順位は2校を含む私立17大学中で表記します。

「10年連続で平均超え」とは言えない

日本大学歯学部は、上の10回のうち9回で私立15大学平均を上回っています。ただし10回連続ではありません。第114回だけは32.8%で、その年の15大学平均43.7%を大きく下回り、私立17大学中15位まで落ちています。

単年のストレート合格率は年ごとの振れ幅が大きいため、本サイトでは単年ではなく直近3年の平均で評価します。

私立17大学ストレート合格率ランキング(第116〜118回の3年平均)

順位大学3年平均
1東京歯科大学71.88%
2昭和医科大学歯学部70.60%
3愛知学院大学歯学部52.07%
4日本歯科大学生命歯学部51.42%
5奥羽大学歯学部48.47%
6大阪歯科大学47.14%
7北海道医療大学歯学部44.28%
8日本大学歯学部44.27%
9日本大学松戸歯学部42.29%
10福岡歯科大学42.26%
11朝日大学歯学部42.07%
12明海大学歯学部38.33%
13神奈川歯科大学36.17%
14岩手医科大学歯学部34.10%
15日本歯科大学新潟生命歯学部32.90%
16松本歯科大学30.10%
17鶴見大学歯学部29.52%

出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」より当サイトが算出

日本大学歯学部は44.27%で8位です。7位の北海道医療大学歯学部は44.28%で、その差は0.01ポイント。ほぼ同率と考えるのが妥当です。さらに9位から11位も僅差で並んでおり、この帯は年によって順位が容易に入れ替わります。

私立17校の長期推移をまとめて見たい方は、私立17校 ストレート合格率10年推移の詳細、第118回単年の大学別データは第118回国試 大学別合格率の詳細分析をご覧ください。

第119回相当(30.5%)を、この系列に並べてはいけない理由

冒頭の30.5%は、上の10回の確定系列とは切り離して見てください。理由は2つあります。

  1. ストレート合格率の公表元は文部科学省の修学状況調査であり、最新版は例年12月ごろに公表されます。令和8年度版(第119回相当)は本記事の公開時点では未公表です。
  2. 私立17校の公開タイミングは、大学ごとに違います。各校が自校サイトで先行公開する時期はそろっていません。

したがって、第119回相当の私立15大学平均は算出できません(データなし)。 先行公開している一部の大学の数値を平均しても、15校分がそろっていない以上、平均としては使えません。本記事では、そうした一部だけの平均を比較の基準にすることはしません。


8. 卒業の壁|令和7年度は6年生の17.1%が卒業できなかった

ここから、集計の見方が変わります。 第5章・第6章までの128人や63人は、令和2年度に入学した1つの集団(コホート)を6年間追いかけた数字でした。この章から見る123人は、令和7年度に6年生だった学生全員の人数です。過去に留年した、別の入学年度の学生も含まれます。同じ「6年生」という言葉でも、数えている集団が違う点にご注意ください。

その令和7年度、日本大学歯学部の6年生は123人いました。このうち卒業できたのは102人。残る21人が、その年度の卒業に届きませんでした。割合にすると17.1%です。

歯学部には、進級の関門とは別に「卒業の壁」があります。6年生まで到達しても、その年度に卒業できるとは限りません。この壁の高さを表すのが6年次留年率という指標です。定義はシンプルで、その年に6年生だった学生のうち、何パーセントがその年度に卒業できなかったかを示します。

令和7年度の内訳

項目人数・割合
令和7年度 6年次在籍者123人
うち、その年度に卒業した人102人
うち、卒業に届かなかった人21人
6年次留年率(21÷123)17.1%

出典:日本大学歯学部 公式サイト「修学状況に関する情報」(令和8年5月1日現在)

6年生のおよそ6人に1人が、その年度の卒業に届かなかった計算になります。

※ 大学公式サイトの表記は整数の17%です。本サイトでは他校の6年次留年率をすべて小数点第1位まで表示しているため、端数処理をそろえる目的で17.1%を主表記としています。もとの数字は同じものです。

6年次留年率の推移(確認できるのは3年分)

6年次留年率の3年推移
年度6年次在籍者卒業者6年次留年率
令和5年度103人96人6.8%
令和6年度122人105人13.9%
令和7年度123人102人17.1%

出典:日本大学歯学部 公式サイト「修学状況に関する情報」(令和5年度・令和6年度は大学公表値、令和7年度は公表値からの算出)

6.8%、13.9%、17.1%と、3年連続で上がっています。

ただし、この表の読み方には2つ注意点があります。

1つ目は、確認できるのがこの3年分だけだという点です。令和4年度以前の6年次留年率は公表データが手に入りません(データなし)。本記事では、手に入らない年度を推計で埋めることはしません。

2つ目は、3つの点だけでは傾向線を引けないという点です。3年連続で上がっているのは事実ですが、これが今後も続く流れなのか、一時的な上下動の一部なのかは、3点からは判断できません。本記事では「3年連続で上がっている」という事実の提示にとどめます。

この17.1%と、このあと出てくる48.0%は別の指標です

第10章で、令和7年度の6年次の留年・休学率として48.0%という数字が出てきます。同じ令和7年度の同じ6年生123人が分母ですが、17.1%とはまったく別の指標です。混同しやすいので、ここで先に整理しておきます。

6年次留年率 17.1%留年・休学率 48.0%
出典日本大学歯学部 公式サイト文部科学省
分母令和7年度の6年次在籍者 123人令和7年度の6年次在籍者 123人(同じ)
分子その1年で卒業に届かなかった21人在学中に一度でも留年または休学を経験した学生
数えているものその1年の結果(卒業できたかどうか)入学から現在までの累積(一度でも経験があるか)

48.0%は、文部科学省の公表資料に「在学中に一度でも留年・休学を経験した学生の割合」と注記されている数字です。1年生のときに留年して、その後は順調に進級した学生も数に入ります。入学から積み上がっていくため、学年が上がるほど大きく出ます。一方17.1%は、その1年のあいだに卒業判定を通過できたかどうかだけを見た数字です。同じ6年生を見ていても、数えているものが違うということです。

なお、この2つの公表値からは、どの学生が両方に該当するのかまでは分かりません。 個人単位のクロス集計は公表されていないため、本記事では2つの数字を重ね合わせた読み方はしません。それぞれ別の集計として読んでください。

この6年次留年率は、私立17校を横並びに比較し、新卒合格率との組み合わせで4つのタイプに分類した記事でも使っている指標です。日本大学歯学部が全体のどのあたりに位置するかを確認したい方は、私立17校「卒業の壁」徹底比較をあわせてご覧ください。

※ 集計期間が違う点にご注意ください。 リンク先の記事は、17校を同じ条件で並べるために令和5年度と令和6年度の2年平均を使っており、日本大学歯学部の6年次留年率は10.4%と表示されます。本記事の17.1%は令和7年度の単年値です。集計している年度が違うだけで、どちらも同じ計算式による正しい数字です。


9. 第119回国家試験の本番で何が起きたか|新卒合格率57.8%の内訳

第119回歯科医師国家試験で、日本大学歯学部の新卒合格率は57.8%でした。全国の新卒合格率80.15%より約22.3ポイント低い水準です。

新卒合格率の3本比較
指標値
全国 新卒合格率(第119回)80.15%
日本大学歯学部 新卒合格率(第119回)57.8%
全国 総数合格率(第119回)61.93%

出典:厚生労働省「第119回歯科医師国家試験の学校別合格者状況」「第119回歯科医師国家試験の結果」

第119回は全国的にも合格者が大きく減った回でしたが、その中でも差は小さくありません。

卒業した102人の内訳を分解する

前章で見た卒業者102人と、厚生労働省のデータを合わせると、国家試験の結果は次のとおりになります。

区分人数合格者数合格率
6年間ストレートで卒業した人62人39人62.9%
留年などを経て卒業した人40人20人50.0%
卒業者 合計102人59人57.8%

6年で卒業までたどり着けたかどうかが、国家試験本番の結果にも差として表れている形です。62.9%と50.0%で、12.9ポイントの開きがあります。

ただし、この表の「40人」「20人」という2つの数字は、大学も厚生労働省も直接は公表していません。本サイトが差し引きで求めた推定値です。その算出方法を、次に詳しく説明します。

【算出方法の詳細】40人・20人はどうやって求めた数字か

この2つの数字は、以下の手順で求めています。読者が同じ計算を再現できるよう、前提を明記します。

手順1:公表されている数字を並べる

数字値公表元
卒業者の総数102人日本大学歯学部(令和8年5月1日現在)
うち、6年間(標準修業年限内)で卒業した人62人日本大学歯学部(同上)
第119回の新卒受験者数102人厚生労働省 学校別合格者状況
第119回の新卒合格者数59人厚生労働省 学校別合格者状況
うち、6年間で国家試験に合格した人39人日本大学歯学部(同上)

手順2:102人と102人の一致に着目する

大学が公表した卒業者の総数102人と、厚生労働省が公表した新卒受験者数102人が完全に一致しています。ここから、「その年に卒業した102人は全員が新卒として第119回を受験した」とみなせます。卒業しても受験しなかった人がいれば、新卒受験者数は102人より少なくなるはずだからです。

そして、この一致は今年だけのものではありません。 日本大学歯学部では、直近3回とも卒業者の総数と新卒受験者数が一致しています。

受験回卒業年度卒業者の総数新卒受験者数差
第117回令和5年度96人96人0
第118回令和6年度105人105人0
第119回令和7年度102人102人0

出典:日本大学歯学部 公式サイト(卒業者の総数)/厚生労働省 学校別合格者状況(新卒受験者数)

単年の偶然の一致ではなく、確認できる範囲では3年続いている構造です。これが、次の差し引き算出を成り立たせる根拠になります。

手順3:差し引きで内訳を求める

この前提を置くと、次の2つの引き算が成立します。

  • 留年などを経て卒業した人:102人 − 62人 = 40人
  • 留年などを経て卒業した人のうち合格者:59人 − 39人 = 20人

したがって、6年で卒業した62人の合格率は 39 ÷ 62 = 62.9%、留年などを経て卒業した40人の合格率は 20 ÷ 40 = 50.0% となります。

この算出の限界

この推定が成り立つのは、「卒業者全員が受験した」という前提が正しい場合に限られます。仮に卒業者のうち数人が受験を見送っていた場合、新卒受験者102人の中には別の内訳が入り込むことになり、40人・20人という数字はずれます。3年連続で一致していることは、その可能性が低いことを示す強い材料ではありますが、大学・厚生労働省のいずれも内訳そのものを公表していない以上、40人・20人は公表値ではなく推定値です。本記事では、この2つの数字を公表値と同格には扱いません。

なお、同じ第119回について複数校を横断して分析した記事は【第119回】合格者379人減の分析にまとめています。


10. 学年別の留年・休学率と退学率

令和7年度の留年・休学率は、1年次9.2%から6年次48.0%まで、学年が上がるほど高くなります。ただし大学全体で見ると、令和5年度の35.6%をピークに2年連続で低下しています。

この章で扱う留年・休学率は、在学中に一度でも留年または休学を経験した学生が、在籍者の何パーセントかを示す数字です。文部科学省の公表資料に、そのように注記されています。いま留年している学生の割合ではなく、これまでに経験がある学生の割合である点に注意してください。第8章の6年次留年率(17.1%)とは別の指標です。出典も異なり、こちらは文部科学省の集計です。両者の違いは第8章の末尾にまとめています。

令和7年度 学年別の留年・休学率

学年別 留年・休学率
学年1年次2年次3年次4年次5年次6年次
留年・休学率9.2%22.1%31.9%35.0%42.3%48.0%

出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」(令和7年度)

6年次では48.0%と、半数近くに達します。

この数字の読み方に注意

この48.0%は在学中に一度でも留年または休学を経験した学生の割合であり、「6年生の半数が毎年留年する」という意味ではありません(詳しくはFAQ Q5で解説しています)。1年生や2年生のときに一度つまずいた学生も、その後どれだけ順調に進んでいても数に入ります。経験が入学から積み上がっていくため、高学年ほど数字が大きく出る性質があります。

どの学年でつまずきやすいのかを知りたいときは、第5章・第6章で見た入学コホートごとの追跡のほうが正確です。指標ごとに測っているものが違う、と理解してください。他校との比較は留年率ランキング詳細版をご覧ください。

全体の留年・休学率は2年連続で低下

全体 留年・休学率の12年推移
年度平成26平成27平成28平成29平成30令和元
留年・休学率12.9%16.4%19.1%24.5%24.8%26.4%
年度令和2令和3令和4令和5令和6令和7
留年・休学率30.2%27.3%32.6%35.6%34.6%30.8%

出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」

長い目で見れば、平成26年度の12.9%から令和5年度の35.6%まで上昇してきたのは事実です。しかし、悪化し続けているわけではありません。 令和2年度の30.2%から令和3年度27.3%へいったん下がっており、令和5年度の35.6%をピークにしたあとは、令和6年度34.6%、令和7年度30.8%と直近2年連続で低下しています。令和7年度の30.8%は、令和2年度(30.2%)とほぼ同じ水準まで戻った形です。

退学率は私立17校の中では低い

指標値
日本大学歯学部の退学等の割合(令和4〜6年度の3か年平均)3.2%
私立17校の単純平均4.4%
私立17校中の位置低いほうから7番目

出典:文部科学省「歯学部の修学状況等の調査」より当サイトが算出

退学率は3.2%で、私立17校の単純平均4.4%より明確に低い水準です。留年する学生は少なくない一方、退学まで至る学生は私立の中では少ない。日本大学歯学部の修学状況は、そういう形をしています。


11. 学費3,160万円と、留年1年1,500万円という現実

日本大学歯学部の6年間の学費総額は、2027年度の公表額で3,160万円です。私立17大学の中で2番目に高い金額です。

学費の内訳(2027年度)

区分金額
入学金60万円
1年次630万円
2年次530万円
3年次530万円
4年次470万円
5年次470万円
6年次470万円
6年間合計3,160万円

出典:日本大学歯学部 公式サイト(2027年度)。2027年度は2026年度と同額で据え置きです。

私立17大学 学費6年総額ランキング(2027年度)

私立17大学の学費ランキング
順位大学6年総額
1東京歯科大学3,190万円
2日本大学歯学部3,160万円
3大阪歯科大学3,150万円
4日本歯科大学生命歯学部3,138万円
5愛知学院大学歯学部3,060万円
6日本大学松戸歯学部2,940万円
7岩手医科大学歯学部2,760万円
8神奈川歯科大学2,700万円
8昭和医科大学歯学部2,700万円
8北海道医療大学歯学部2,700万円
11福岡歯科大学2,630万円
12鶴見大学歯学部2,625万円
13奥羽大学歯学部2,550万円
14日本歯科大学新潟生命歯学部2,100万円
15松本歯科大学1,800万円
16明海大学歯学部1,793万円
16朝日大学歯学部1,793万円

出典:各大学公式サイト(2027年度)。同額の大学は同順位としています(8位が3校のため次は11位、16位が2校)。

学費の額と出口の実績の関係については、歯学部の学費は高いほうが得なのかで検証しています。

特待生制度

日本大学歯学部には、成績優秀者を対象に教育充実料280万円を減免する制度があります。対象になった場合、6年総額は2,880万円になります。適用条件・人数枠は年度によって変わる可能性があるため、最新の情報は必ず大学公式サイトでご確認ください。 私立17校の特待生制度を横断で比較したい方は私立歯学部17校 特待生制度を大学別に完全解説をご覧ください。

留年1年は1,500万円の損失(当サイトの独自試算)

本サイトでは、留年1年の経済的損失を1,500万円として計算しています。

項目金額内容
学費500万円全大学共通の固定値。実際の各大学の年額とは別です
生活費200万円留年により追加で1年分必要になる生活費
機会損失800万円キャリア終盤の年収1年分。歯科医師になる時期が1年遅れることで、最後の1年が失われるという考え方
合計1,500万円

この1,500万円は当サイトの独自試算です。公的機関が公表している数字ではありません。また学費の500万円は、大学ごとのばらつきを排して論点をシンプルにするために全大学共通で置いている固定値であり、日本大学歯学部の実際の年額(470万〜630万円)とは別のものです。

保護者の方へ|3,160万円は「ストレートで卒業できた場合」の金額です

学費表に書かれている3,160万円は、6年間を予定どおり進級して卒業した場合の総額です。ここまで見てきたとおり、令和2年度入学コホートでは入学128人のうち6年で卒業できたのは62人(48.4%)でした。そして令和7年度は、6年生の48.0%が、在学中に一度でも留年または休学を経験していました。

もし1年留年すれば、当サイトの独自試算で1,500万円が上乗せされる計算になります。仮に2年留年すれば3,000万円です。ご家庭の資金計画を立てるときは、学費表の総額に加えて、この追加コストが発生しうる前提で考えておくと安全です。

なお、学費と留年リスクを合算した「実質コスト」という考え方は実質コストランキングで整理しています。入学時点の学費が安い大学でも、留年率が高ければ実質コストは逆転しうる、というのがこの指標の見方です。


12. 偏差値×ストレート合格率|私立17大学での立ち位置

河合塾の学部学科偏差値は2026年度47.5から2027年度50.0へ2.5ポイント上昇しました。ただし、同じ大学でもベネッセの偏差値は55から54へ1ポイント下がっています。

指標2026年度2027年度変化
河合塾 学部学科偏差値47.550.0+2.5ポイント
ベネッセ 偏差値5554−1ポイント
指標河合塾ベネッセ
共通テスト得点率(2027年度)76%79%

出典:河合塾/ベネッセ(いずれも2027年度入試向けの公表値)

偏差値の上昇を語るとき、それがどの予備校の数字なのかを確認しないと、方向を取り違えます。日本大学歯学部の場合、上がっているのは河合塾の数字であり、ベネッセは逆にわずかに下がっています。 予備校ごとに母集団と算出基準が異なるため、比較するときは必ず同じ予備校の数字どうしで比べてください(詳しくは偏差値の見方 河合塾×ベネッセ)。

私立17大学の「入口×出口」一覧

偏差値×ストレート合格率 散布図

横軸に河合塾の2027年度方式別のボーダー偏差値(入口の難易度)、縦軸に第116〜118回のストレート合格率3年平均(出口の実績)を置いた場合の、17校のデータは次のとおりです。偏差値は、各大学の一般選抜の中心となる方式の値です。

大学河合塾 方式別のボーダー偏差値(2027年度)ストレート合格率 3年平均
東京歯科大学55.071.88%
昭和医科大学歯学部55.070.60%
大阪歯科大学50.047.14%
日本大学歯学部50.044.27%
日本歯科大学生命歯学部47.551.42%
朝日大学歯学部45.042.07%
明海大学歯学部45.038.33%
日本歯科大学新潟生命歯学部45.032.90%
愛知学院大学歯学部40.052.07%
北海道医療大学歯学部40.044.28%
岩手医科大学歯学部40.034.10%
鶴見大学歯学部37.529.52%
松本歯科大学37.530.10%
奥羽大学歯学部35.048.47%
日本大学松戸歯学部35.042.29%
福岡歯科大学35.042.26%
神奈川歯科大学35.036.17%

出典:河合塾(方式別のボーダー偏差値・2027年度)/文部科学省(ストレート合格率)。17校の相関係数は r = 0.665 です。

日本大学歯学部は、偏差値50.0・ストレート合格率3年平均44.27%の位置にあります。私立17校のなかで偏差値は大阪歯科大学と並んで3番目に高い水準にある一方、ストレート合格率3年平均は8位です。

全体としては、偏差値が高い大学ほどストレート合格率も高いという、ゆるやかな右肩上がりの傾向が見られます。ただし同じ偏差値帯でも出口の実績には開きがあり、偏差値だけで出口の実績が決まるわけではありません。

偏差値は入口の難易度、ストレート合格率は出口の実績です。大学選びでは、必ずこの両方を確認してください。


13. まとめ|3つのポイント

日本大学歯学部の修学状況を、3つのポイントに整理します。

1つ目|出口の実績は私立17大学中8位

文部科学省の確定データで見ると、第116回から第118回のストレート合格率3年平均は44.27%で、私立17大学中8位です。7位の北海道医療大学歯学部(44.28%)とは0.01ポイント差で、実質的にはほぼ同率。9位以下も僅差で並んでおり、この帯の順位は年によって容易に入れ替わります。

2つ目|3年次進級時の壁は、単調に改善しているわけではない

2年生から3年生への進級で大きく人数が減るのがこの大学の特徴です。令和2年度入学コホートの−38人から、令和5年度入学コホートでは−8人まで壁が低くなりましたが、令和6年度入学コホートでは−20人へ再び拡大しました。「年々緩んでいる」とは言えません。

3つ目|学費3,160万円は、ストレートで卒業できた場合の金額

6年総額3,160万円は、私立17大学中2位です。そして令和7年度は、6年生の48.0%が、在学中に一度でも留年または休学を経験していました。もし留年すれば、当サイトの独自試算で1年あたり1,500万円が加わります。

そして最後にもう一度確認です。本記事で扱った30.5%というストレート合格率は、大学が公表した数字です。文部科学省の確定集計はまだ公表されておらず、他大学と並べた比較は現時点ではできません。

この記事を読んだ受験生・保護者の方へ

ここまで、決して楽観的ではない数字を並べてきました。最後に大切なことをお伝えします。

今日の数字は、あくまで統計的な評価です。 大学全体の傾向を示すものであって、個人の結果を予言するものではありません。合格や進級を最終的に決めるのは、一人ひとりの学習習慣です。同じ大学の同じ学年でも、ストレートで進級して国家試験に合格する学生は毎年確実に存在します。

また、本記事は在学生や志願者の方々を貶める意図で書いたものではありません。公表されているデータを整理して、入学前に知っておいたほうがよい情報を届けることが目的です。

低学年のうちから学習習慣を固め、着実に進級していけば、ストレート合格は十分に手が届きます。データは、そのための準備をどこに向けるかを教えてくれる材料です。特にこの大学については、入学から3年次進級までの2年間に人数の減少が集中しています。令和2年度入学コホートでは、入学128人が3年次では74人になりました。入学後の最初の2年をどう過ごすか。そこに照準を合わせておくことが、この記事から持ち帰ってほしい一番の結論です。

他大学と横並びで比較したい方は、全29歯学部の修学状況まとめからご覧ください。


14. よくある質問(FAQ)

Q1. 日本大学歯学部は、いまも名門と言えるのでしょうか

A. 「名門かどうか」は評価の基準によって変わるため、本記事では数字で整理します。

入口の難易度(河合塾の2027年度学部学科偏差値50.0・私立17校中3番目)と退学率(3.2%・私立17校の平均4.4%より低い)は上位ですが、出口のストレート合格率3年平均は44.27%で私立17大学中8位と中位です。単年の振れ幅が大きい大学のため、単年の数字ではなく、3年平均などの複数年で見ることをおすすめします。

Q2. 3年次の壁とは、具体的にどのくらい厳しいのですか

A. 令和2年度入学コホートでは、2年次の112人が3年次では74人になりました。減少は38人、率にして33.9%です。3人に1人が予定どおりには3年生へ上がれなかった計算になります。

ただし、この厳しさは年によって変わります(詳しい経年推移は第6章をご覧ください)。令和5年度入学コホートまでは壁が低くなり続けましたが、令和6年度入学コホートで再び拡大しています。

表現として注意していただきたいのは、「3年次の壁」といっても、留年判定を受けているのは2年生のときだという点です。この壁でつまずいているのは3年生ではなく2年生です。入学後の対策を考えるときは、ここを間違えないでください。

Q3. 新卒合格率とストレート合格率は、どちらを見るべきですか

A. これから入学する立場なら、ストレート合格率です。

新卒合格率は、その年に卒業できた人だけを分母にした数字です。進級判定と卒業試験を通過した人だけが分母に残るため、そこに至るまでに何人が留年・退学したのかは見えません。日本大学歯学部の第119回でいえば、新卒合格率は57.8%ですが、入学者128人を分母にしたストレート合格率は30.5%です。同じ年の同じ大学の話でも、指標が違えば27.4ポイントの差が出ます。

新卒合格率は「卒業生の質保証」を示す指標としては意味があります。ただし、入学前の受験生が知りたいのは「入学してから歯科医師になれる確率」であり、それを表しているのはストレート合格率のほうです。

Q4. 記事にある「30.5%」を、他の大学の数字と比べてもよいですか

A. 現時点では比べないでください。

30.5%は、日本大学歯学部が令和8年5月1日現在として自校サイトで先行公開した数字です。ストレート合格率の公式集計は文部科学省が例年12月ごろに公表するもので、第119回相当にあたる令和8年度版はまだ出ていません。そして私立17校の公開タイミングは大学ごとに違うため、17校分がそろっていません。

そのため、第119回相当については私立15大学平均も算出できません(データなし)。他大学と比べたい場合は、17校すべての確定値がそろっている第116回から第118回の3年平均44.27%(私立17大学中8位)を使ってください。

Q5. 6年次の留年・休学率48.0%は、「6年生の半分が留年する」という意味ですか

A. 違います。この48.0%は、令和7年度に6年生として在籍していた人を分母にした割合です。

文部科学省の公表資料には、この指標について「在学中に一度でも留年・休学を経験した学生の割合」と注記されています。つまり、1年生のときに一度留年して、その後は順調に進級した学生も、6年生になった時点でこの48.0%に数えられます。経験が入学から積み上がっていくため、高学年の数字は構造的に大きく出ます。毎年6年生の半分が新たに留年するという意味ではありません。

どの学年でつまずきやすいのかを知りたい場合は、同じ集団を6年間追いかけるコホート分析(本記事の第5章・第6章)のほうが正確です。

なお、第8章に出てくる6年次留年率17.1%は、この48.0%とは別の指標です。分母は同じ令和7年度の6年生123人ですが、17.1%は「その1年で卒業に届かなかった21人の割合」、48.0%は「在学中に一度でも留年・休学を経験した学生の割合」です。前者はその年1年の結果、後者は入学からの累積を数えています。48.0%を6年次留年率と呼ぶことはできません。

Q6. 松戸歯学部のデータと混ざっていませんか

A. 混ざっていません。本記事の数字はすべて駿河台の日本大学歯学部のものです。

日本大学には歯学部(駿河台)と松戸歯学部の2つがあり、文部科学省・厚生労働省の資料でも別の学校として集計されています。参考までに、松戸歯学部は第116〜118回のストレート合格率3年平均が42.29%(私立17大学中9位)、2027年度の学費6年総額は2,940万円です。松戸歯学部については、2026年9月29日公開予定の別記事・別動画で扱います。


15. 出典・参考リンク一覧

本記事で使用したデータの公表元は以下のとおりです。

大学公式

公的機関

  • 文部科学省「医学・歯学教育」:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1324090.htm 「各大学の歯学部歯学科の入学状況及び国家試験結果等」「歯学部歯学科の学科別の修学状況等」が掲載されているページです。ストレート合格率(修業年限内合格率)・学年別留年率・退学率・修業年限内卒業率の一次出典で、例年12月ごろに最新年度版が公表されます。
  • 厚生労働省「歯科医師国家試験」:https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shikaishi/(第119回の全国合格率・学校別合格者状況)

予備校

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※ 学費・特待生制度は2027年度入試時点の公表情報にもとづいています。制度は年度によって変更されることがあるため、最新情報は必ず大学公式サイトでご確認ください。



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公式データで歯学部を分析
歯学部受験情報館を運営しているシカラボです。 教育機関で10年以上、歯学部に関するデータを扱ってきました。 入学者ベースのストレート合格率・留年率・退学率など、見落とされやすい指標を、 厚生労働省・文部科学省・各大学公式サイトの一次資料から継続的に分析しています。
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