2024

愛知学院大学の現実|6年で卒業できる学生の割合と留年事情【2026年3月更新】

kameman

歯科大学選びにおいて、多くの保護者や受験生が「新卒合格率」という数字に惑わされています。

しかし、その数字は留年者や卒業保留者を排除した、いわば「生存者」だけの記録に過ぎません。

多額の学費を負担する保護者が真に見るべき唯一の指標は、入学者を分母とした「修業年限内(6年)合格率」、すなわち「ストレート合格率」です。

当サイトでは、文部科学省および厚生労働省の一次資料及び各大学公式サイトに掲載されている情報に基づき、愛知学院大学歯学部の修学状況を徹底的に可視化しました。「修学状況に関する情報」の概要については、「偏差値だけじゃわからない歯学部選び|教育の質をデータで比較!大学の「中身」徹底解説」という記事で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方は、そちらを先にご確認ください。

愛知学院大学の進級者数からみえる留年率

愛知学院大学の各年度における入学者数と進級者数

愛知学院大学の修学状況を、文部科学省の機関調査データから可視化しました。私立平均を上回る実績を維持している一方で、学年ごとに発生している「選別の実態」を冷静に分析する必要があります。以下の表は、各年度の新入生が留年や休学をせず、ストレートで各学年へ進級した人数を示したものです。

愛知学院大学の各年度における留年率

次に、学年ごとの留年率を分析し、どの年次に「進級の壁」が存在するのかを明らかにします。以下の表は、学年進行に伴いどの程度の割合で留年が発生したかをまとめたものです。最下段には、令和7年5月時点での「ストレート進級者」の割合を示しています。

1. 平成30年度〜令和2年度入学者:卒業・国試までの道のり

この期間の入学者は、すでに卒業した、あるいは高学年に達しており、愛知学院大学の「選別のサイクル」が最も顕著に表れています。

平成30年度入学者(第117回国試)

ストレート合格率は47.9%。文部科学省が公表した同年度の私立大学平均(45.2%)を上回る実績を残しました。入学者の半数弱が最短で歯科医師になっており、私立大の中では安定した出口を確保しています。

令和元年度入学者(第118回国試)

ストレート合格率は63.9%。過去10年のデータの中でも突出した数値を記録しました。特筆すべきは、6年次から卒業までの脱落がほぼゼロである点です。しかし、この「異次元の好結果」を恒常的なものと捉えるのは早計です。

令和2年度入学者

この代から選別の様相が一変します。2年次から3年次の進級タイミングで、111名から79名へと激減(留年率26%)。私立平均(12%)の2倍以上の学生が、低学年のうちにストレート進級の列から外されました。令和元年度の好成績の裏で、早期の選別が厳格化された事実が見て取れます。

2. 令和3年度〜令和4年度入学者:中間年次の進級状況

現在、在学中である中間年次のデータからは、特定の学年に用意された「見えない壁」が浮き彫りになっています。

令和3年度入学者

4年次から5年次への進級時に、86名から68名へと減少(留年率17%)。私立平均(8%)を大きく上回るこの数字は、共用試験(CBT)が、大きなハードルであった可能性があります。

令和4年度入学者

3年次から4年次にかけて10名が脱落。極端な絞り込みではないものの、各学年で着実に数名〜十数名の留年者が出る「小出しの選別」が続いています。

3. 令和5年度〜令和7年度入学者:最新の動向

直近の入学者データからは、大学側が進級基準や学生の質をどのようにコントロールしようとしているかの過渡期が見て取れます。

  • 令和5年度入学者:2年次進級時に10%が留年。
  • 令和6年度入学者:2年次進級時に約10%が留年。

最新の2年分を見る限り、かつてのR2年度のような「26%の大量留年」は影を潜め、10%前後の「私立平均並みの推移」に戻りつつあります。

調査データが示す「伝統校の罠」

愛知学院大学は、私立平均(45.2%)を超えるストレート合格率を維持する優良校であることは間違いありません。しかし、それは「誰でも通れる道」ではなく、2年次や4年次といった特定のタイミングで、4人に1人、あるいは6人に1人が「1,500万円の損失」を確定させてきた結果です。

保護者の皆様には、単年(R1年度)の63.9%という高い数字に目を奪われるのではなく、ご自身のお子様が「どの年度の、どの学年の罠」に嵌まるリスクがあるのかを、この推移表から参考にしてください。

結局のところ、高い生存率の波に乗るための唯一の防衛策は、大学側の選別基準が変動する前に、低学年からの学習習慣を確立し、常に上位層に身を置くことになってきます。

愛知学院大学のストレート卒業率およびストレート国家試験合格率

愛知学院大学の直近2年間の卒業・合格実績は以下の通りです。

項目平成30年度入学者(第117回)令和元年度入学者(第118回)
入学者数121名133名
6年での卒業者数71名92名
ストレート卒業率58.7%69.2%
ストレート合格者数58名85名
ストレート合格率47.9%63.9%

私立大学平均(45.2%)を上回る安定した実績

平成30年度入学者(第117回歯科医師国家試験)において、愛知学院大学のストレート合格率は47.9%でした。文部科学省が公表した同年度の私立大学平均ストレート合格率 45.2%を上回っており、私立歯科大学の中でも平均以上の水準を維持しています。
続く令和元年度(H31年度)入学者では、ストレート合格率が63.9%と、過去数年でも突出した数値を記録しました。これは私立歯科大学全体の中でもトップクラスの数字です。

数値の変動と今後の展望

令和元年度の「63.9%」という数字は非常に優秀ですが、これを同校の永続的な基準と考えるのは慎重であるべきです。
前述の「進級者数からみえる留年率」のセクションで示した通り、後続の世代(R2年度、R3年度入学者)では、2年次や4年次といった早い段階で私立平均を大きく上回る留年(26%や17%)が事実として発生しています。この「早い段階での選別」が、将来のストレート合格率にどのように影響するか、注視していく必要があります。

全国29歯学部のストレート合格率の過去3カ年平均

文部科学省 標準修業年限内での歯科医師国家試験合格率(直近3か年平均)

この資料によると、国公立大学を含む全国平均のストレート合格率は53.6%であり、歯学部でストレート進級・合格を達成することが容易ではないことが分かります。一般に、国公立大学と比べて相対的に学力分布が低めの学生が入学する傾向のある私立大学の歯学部では、ストレート合格率が3カ年平均で50%を超えるのは4校にとどまります。ストレート合格率の数値を見る際には、こうした全国的な基準も念頭に置いておきましょう。

文部科学省も重要指標として公表を進めている「修業年限内の国家試験合格率」(いわゆるストレート合格率)は、入学後に留年せず修業年限内で進級した学生が、初回の国家試験に合格する割合を指します。したがって、ストレート合格率を高めるには、ストレート進級者の割合を高い水準で維持することが重要です。

愛知学院大学のストレート合格率の推移

多くの歯科大学が公表する「新卒合格率」は、留年者や卒業保留者を排除した、いわば「生存者」だけの記録に過ぎません。多額の学費を負担する保護者が真に見るべき唯一の指標は、入学者を分母とした「ストレート合格率」です。

愛知学院大学の過去9年間(第110回〜第118回)のストレート合格率の推移と、私立大学内での順位を可視化しました。

第110回〜第118回:ストレート合格率と私立15大学平均との比較

当サイトの分析では、比較対象として「私立15大学平均」を用いています。これは、私立の中で突出した合格率を誇る東京歯科大学と昭和医科大学(現・昭和大学)の2校を除いた平均値です。この2校は出口の成績が別格であり、平均に含めると他の大学の教育努力や実態が見えにくくなるため、あえて除外して分析を行っています。

グラフを見ると、愛知学院大学は第116回までは私立15大学平均と拮抗する「中位層」に位置していましたが、第117回から平均を引き離し、最新の第118回では63.9%という、平均を20ポイント以上も上回る実績を叩き出しています。

私立17大学におけるストレート合格率の順位推移

順位推移を見ると、愛知学院大学の激変がより鮮明になります。第114回(令和元年度卒業相当)には私立17大学中15位まで低迷し、一時は下位層に沈んでいました。

しかし、そこからV字回復を見せ、直近の第118回では私立17大学中3位にまで急浮上しています。これは東京歯科、昭和大学に次ぐポジションであり、伝統校としての意地を見せた形です。

愛知学院大学の6年次在籍者と卒業留年率

歯科大学の修学実態を把握する際、「6年生まで進級した学生のうち、何人が卒業できたか」という卒業留年率は、出口の難易度を示す重要な指標です。

愛知学院大学の直近2年間のデータは以下の通りです。

6年次在籍者数と卒業留年率の推移

項目令和5年度(H30入学者中心)令和6(H31入学者中心)
6年次在籍者数102名131名
卒業者数102名123名
愛知学院大学 卒業留年率0.0%6.1%
私立17大学平均 卒業留年率23.5%21.2%(※)

※令和5年度平均は全17大学のデータを基に算出。
※令和6年度平均は、現時点で大学公式サイトより数値を把握できている大学のみを対象に暫定的に算出しています(未公表の大学があるため、確定値ではありません)。

令和5年度:私立17大学平均 23.5%に対し、全員が卒業

令和5年度のデータでは、愛知学院大学は卒業留年率0.0%を記録しました。私立17大学の平均では、6年生の4人に1人近く(23.5%)が卒業を留められ、国家試験の受験を見送らざるを得ない厳しい現状があります。その中で、6年次に在籍していた102名全員が卒業し、国家試験へと臨んだ事実は、同校の出口の「広さ」を物語っています。

令和6年度:平均を大きく下回る 6.1%

続く令和6年度においても、愛知学院大学の卒業留年率は6.1%(8名)に留まっています。一部未公表の大学を除いた暫定平均が21.2%であることを踏まえると、他大学と比較して「6年生になれば卒業を勝ち取りやすい」傾向にあることは間違いありません。

愛知学院大学の「進級と卒業」に関する総評

これらのデータを俯瞰すると、愛知学院大学は6年次における卒業のハードルは決して高くなく、最終学年まで到達した学生を大切にする土壌があることが分かります。

しかし、その一方で保護者の皆様に留意していただきたいのは、「6年生に上がるまでの道程」です。

前述の学年別分析で触れた通り、愛知学院大学では2年次で26%(R2年度入学者)、4年次で17%(R3年度入学者)といった、一定規模の留年が発生しています。これは大学が意図的に排除しているというよりも、「低学年次の基礎固めや、CBT試験前の学年進行において、想定以上に苦戦する学生が多い」という実態を反映しています。

卒業留年率の低さは、そこまで勝ち残った学生にとっては大きな恩恵です。しかし、そこに至る前の2年次や4年次という節目で「油断」してしまい、ストレート進級の列から外れてしまうケースは決して珍しくありません。

「1年の留年は1,500万円の損失」という現実に変わりはありません。
愛知学院大学が高いストレート合格率を維持しているのは、出口が広いからこそ、それ以前の学年で「立ち止まる」ことなく進んでくることが求められているからです。

最終学年で足止めを食らうリスクが低い大学だからこそ、低学年からの確実な学習習慣を身につけ、自力で進級を勝ち取る意識が道を拓く鍵となります。

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歯学部データ分析官
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現役の私立大学勤務。入試・教育データの分析を専門
現役の私立大学勤務。入試・教育データの分析を専門とし、10年以上にわたる継続的な調査研究を行っています。 歯学部受験において、受験生が本当に知るべき「数字の真実」を中立に伝えるためのメディアです。国、自治体、各大学が公表する一次資料を徹底的に精査し、新卒合格率だけでは見えないストレート合格率や留年リスクを可視化。16年分の蓄積データに基づき、後悔しないための大学選びをサポートします。数字の背景や注意点まで含めて詳説し、偏差値に偏らない客観的で実用的な指標を提供することが使命です。
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