2026

歯科医師国家試験 浪人の合格率は2回目42%・3回目31%:119回不合格からの逆転戦略

kameman

この記事で分かること

  • 第119回歯科医師国家試験で既卒合格率が27.8%に急落した背景と構造的な理由
  • 受験回数が増えるほど合格率がどう変化するか(2回目42.8%→5回目19.6%)
  • 1年の浪人が実質1,300万円の問題である理由
  • 予備校の選び方と費用の実態(DES・麻布・CES比較)
  • 4月から翌年1月までの逆算スケジュール設計

2026年3月16日、第119回歯科医師国家試験の合格発表が行われました。全体合格率61.9%、新卒80.2%。しかし、最も衝撃的だったのは既卒合格率27.8%という数字です。前年の第118回が44.9%でしたから、わずか1年で17.1ポイントもの急落です。この記事では、第119回で不合格だった方が「次の1年をどう設計すべきか」を、データに基づいて徹底的に解説します。

なお、国試浪人のリスクと実際のコストは、これから歯学部への進学を検討している高校生・保護者の方にとっても、大学選びの判断材料になります。「どの大学に進むか」が国試合格の確率に直結することを示すデータとして、ぜひ参考にしてください。大学選びの視点については私立歯学部のストレート合格率16年間の推移私立歯学部の学費比較ランキングもあわせてご覧ください。


第119回の特殊性を理解する

全体合格率61.9%・既卒27.8%の意味

第119回歯科医師国家試験の結果を整理します。

受験区分受験者数合格者数合格率
全体2,837人1,757人61.9%
新卒1,849人1,482人80.2%
既卒988人275人27.8%

(出典:厚生労働省「第119回歯科医師国家試験の合格発表について」2026年3月16日)

全体合格率61.9%は近年でも低い水準ですが、注目すべきは新卒と既卒の差です。新卒80.2%に対して既卒27.8%。その差は52.4ポイントにもなります。

特に既卒合格率27.8%は、第97回歯科医師国家試験(2004年)以来、22年ぶりの30%割れという歴史的な低水準でした(出典:厚生労働省公表データ)。既卒受験者にとって、第119回は近年類を見ないほど厳しい試験だったと言わざるを得ません。

削除問題22問(直近10回で最多)が与えた影響

第119回では採点除外・不適切問題が22問ありました。これは直近10回の中で最多です。特に必修問題での削除が多く、合格基準の分母が「80点満点」から「77点満点」に変動しました。

合格基準は以下の通りです。

基準合格ライン満点
必修問題62点以上77点(得点率80%以上)
領域A(総論)67点以上99点
領域B(各論)235点以上352点

必修問題の削除が多いと、1問あたりの配点比率が上がります。つまり、1問のミスが合否に直結しやすくなるのです。当落線上にいた受験生にとっては、削除問題の内容によって明暗が分かれた可能性があります。

「難化した年の翌年」は有利になるか?

「今回が難しかったから、次回は易しくなるのでは」と期待する気持ちは理解できます。しかし、過去のデータを見ると、難化の翌年に必ず易化するとは限りません。出題傾向は年々変化しており、「前年の反動」を期待して対策を甘くすることは危険です。

むしろ重要なのは、第119回の出題傾向を正確に分析し、自分がどの領域で点を落としたかを把握することです。


受験回数が増えるほど合格率はどう変わるか

回数別合格率:2回目42.8% → 3回目31.3% → 4回目26.1%

既卒受験者の合格率を受験回数別に見ると、回数が増えるほど明確に低下していきます。

受験回数合格率
2回目42.8%
3回目31.3%
4回目26.1%
5回目19.6%

2回目でも合格率は42.8%であり、半数以上が不合格です。3回目になると31.3%、4回目で26.1%、5回目では19.6%まで下がります。受験回数を重ねるごとに合格は難しくなるという事実は、データが明確に示しています。受験回数別の詳細データは第119回歯科医師国家試験の統計分析でも確認できます。

なぜ回数が増えると合格率が下がるのか

回数が増えるほど合格率が下がる理由は、単純な「学力不足」だけではありません。既卒受験生には構造的な不利が存在します。

1. 情報の遮断
大学に在籍していれば、最新の出題傾向や予想問題、教授からのヒントなど「情報戦」で有利です。既卒生はこの情報ネットワークから切り離されます。

2. 精神的プレッシャー
孤独な環境での長期間の学習は、精神的な負担が非常に大きいです。モチベーション維持が年々難しくなり、うつ状態に陥るリスクも指摘されています。

3. 時間の使い方の歪み
浪人が長期化すると、難問や重箱の隅をつつく知識に時間を費やしがちです。基礎の反復よりも「まだ知らないこと」を求め、学習効率が下がるパターンが見られます。

2回目・3回目で逆転した人は何が違ったか

合格率が低下する中でも合格を勝ち取る受験生がいます。共通するのは以下の4点です。

  • 弱点と正面から向き合った:苦手分野を避けず、基礎から徹底的にやり直した
  • アウトプット中心の学習に切り替えた:ノートまとめに満足せず、問題演習を学習の中心に据えた
  • 模試を「練習試合」として活用した:DES全国統一模試や麻布全国公開模試で本番の感覚を定期的に確認した
  • 画像問題・長文問題の読解訓練をした:画像診断の言語化、長文から本質を読み取る訓練を繰り返した

1年の浪人にかかるコストを正確に把握する

予備校費用の実態(DES・麻布・CES比較)

国家試験対策予備校の費用は決して安くありません。主要3校の概要を整理します。

予備校名コース費用(税込・目安)
DES歯学教育スクール通学・WEB併用コース220万〜242万円
DES歯学教育スクールWebコース148.5万円
麻布デンタルアカデミー通学コース231万円 ※2026年度は全コース申込終了
麻布デンタルアカデミー配信コース198万円 ※2026年度は全コース申込終了
CES歯科医師国試予備校通年コース(入学金)+受講料入学金11万円+3.3万円/90分

※費用・コース内容は変更される場合があります。必ず各予備校の公式サイトで最新情報をご確認ください。麻布デンタルアカデミーは2026年度申込を終了していますが、次年度以降の募集状況は公式サイトで確認してください。

CESのような個別指導型は、総受講回数によって総額が大きく変わります。週2〜3回受講した場合、通学型と同等以上になることもあります。

見えにくいコスト:生活費・機会損失

予備校費用だけでなく、見えにくいコストも無視できません。

  • 生活費:家賃・食費・交通費など年間約200万円
  • 機会損失:もし合格していれば得られたはずの収入

機会損失については、単純に「初年度年収」で考えるのは正確ではありません。留年や浪人によって社会に出るのが1年遅れると、キャリアの最終年に得られるはずだった高年収の1年分が消えるのです。歯科医師のキャリア終盤の年収を考えれば、この損失は約800万円に上ります。

「1年の浪人は実質1,300万円の問題」という視点

これらを合算すると、1年の浪人コストは以下のようになります。

項目金額
予備校費用約300万円
生活費約200万円
機会損失(キャリア終盤の1年分年収)約800万円
合計約1,300万円

※ 予備校費用は主要校の相場(220〜242万円前後)をもとにした目安です。

1年の浪人は、実質的に1,300万円の問題です。この金額を意識することで、「なんとなくもう1年」ではなく、「この1年で絶対に決める」という覚悟が生まれます。2年、3年と浪人が長期化すれば、この損失は2,600万円、3,900万円と膨れ上がります。


今から何をすべきか:リカバリー戦略の設計

まず自分の「どこで落ちたか」を分析する

リカバリーの第一歩は、不合格の原因を正確に特定することです。

不合格を繰り返す方に共通する傾向として、国試指導の現場から以下の4点がよく指摘されています(公式統計ではなく、経験談に基づく傾向です)。

  1. 弱点との向き合い不足:苦手分野を見て見ぬふりし、得意分野ばかり勉強する
  2. 模試と本番の乖離:基礎知識の抜け落ちや必修基準割れ
  3. 読解力の欠如:画像問題・長文問題で本質を読み取れない
  4. 問題演習の軽視:ノートまとめに時間を費やし、アウトプットが不足

まずは第119回の自己採点結果を科目別・領域別に洗い出し、「どこで何点落としたか」を数値で把握してください。感覚ではなく、データで自分の弱点を特定することが出発点です。

自己採点サービスのデータを徹底活用する

DESや麻布などの予備校が提供している自己採点サービスを利用した方は、結果データを分析に活用してください。特に注目すべきは、全国の受験生が高い正答率を出した問題で自分が間違えたものです。

全国正答率80%以上の問題を落としているということは、多くの受験生が取れている「基本問題」を落としたということです。難問への対策より先に、こうした問題の周辺知識を復習することが合格への近道です。

国試の自己採点サービスだけでなく、在学中に受験した予備校模試の結果が手元にある方は、そちらも同様に活用してください。模試で全国正答率が高かったにもかかわらず自分が落としていた問題は、国試本番でも繰り返し落とす可能性が高い弱点です。模試の見直しを丁寧に行うことが、効率よく弱点を潰す手がかりになります。

予備校の解説動画をチェックする

各予備校が第119回の試験分析や次回試験に向けた情報を動画で発信しています。「合否が分かれた問題の解説」「出題傾向の変化」「第120回への対策方針」など、気になるテーマがあれば積極的に参照しましょう。無料で公開されているものも多く、自分の受験結果と照らし合わせながら見ると弱点の発見にもつながります。

第120回の出題基準変更を把握する

第120回から「令和9年版 歯科医師国家試験出題基準」が適用されます(第120回〜第122回の3回分)。今回の改定は最小限にとどまっており、大幅な構造変更はありませんが、以下の2点が新たに強化・明記されました。

① 情報倫理・データ保護に関する原則

必修の「診療録・診療情報の記録と管理」の小項目に「情報倫理およびデータ保護に関する原則」が明記されました。電子カルテの普及やマイナ保険証の導入など、医療情報の電子化が進む現場を反映した改定です。以下の内容が問われる可能性があります。

  • 個人情報保護法の基本概念
  • 電子カルテ・診療録の管理ルール
  • マイナ保険証・オンライン資格確認に関連した情報セキュリティ

② 病院歯科等の役割・病診連携

各論の「在宅・病院・施設における歯科診療」の備考欄に「病院歯科等の役割、病診連携」が明記されました。病院歯科(大学病院・総合病院口腔外科)の機能や、歯科診療所との連携(病診連携)についての理解が問われやすくなります。

なお厚生労働省は「改定当初は受験者の混乱がないよう、現在の歯学部における授業内容を考慮して出題する」としており、急激な難化は想定されていません。ただし改定資料は早めに確認しておきましょう。

予備校の選び方(通学・通信・個別指導の違い)

予備校選びは、自分の学習スタイルと弱点に合わせて判断しましょう。

タイプ向いている人注意点
通学型自分一人では学習ペースを維持できない人費用が高い。通学時間も考慮が必要
通信・配信型地方在住・仕事をしながら受験する人自己管理能力が問われる
個別指導型特定の弱点を集中的に克服したい人受講頻度次第で費用が膨らむ

「どの予備校が一番いいか」という質問に対する答えは、自分の弱点と生活環境によるとしか言えません。上記の特徴などを参考にしながら、自分に合うかどうかを確認することをおすすめします。

スケジュール:4月〜翌1月の逆算設計

学習の軸は過去問演習です。4月から試験直前まで、一貫して過去問に取り組み続けることが基本です。模試を節目として活用しながら、弱点を随時補強していきましょう。

時期学習内容
4月〜6月弱点分析・過去問演習スタート。自己採点結果や模試データをもとに弱点領域を優先的に取り組む
7月〜9月過去問演習を継続。苦手領域に時間を集中配分。模試(DES全国統一模試・麻布全国公開模試等)で現在地を確認し、弱点を再整理する
10月〜12月過去問の総仕上げ。全国正答率の高い問題を繰り返し、確実に取れる問題を増やす。必修は特に重点的に反復する
1月最終確認・体調管理。本番の時間感覚を意識した演習

過去問の取り組み方:3つの原則

過去問は数千問に及ぶため、全問を均等にこなすことより優先順位をつけることが重要です。

  1. 全国正答率の高い問題を優先する:多くの受験生が取れている問題を確実に正解できるようにすることが合格への近道
  2. 必修問題を厚く演習する:必修は独立した合格基準があるため、繰り返し取り組んで確実に正答できる状態にする
  3. 苦手領域に学習時間を集中させる:得意科目を繰り返すより、苦手の底上げのほうが合格に直結する

よくある質問

3回目以降でも受かった人はいるか?

います。3回目の合格率は31.3%、4回目でも26.1%ですから、合格者はゼロではありません。ただし、回数が増えるほど合格率が下がるのは事実です。予備校関係者からは「それまでの学習方法を見直したことが転機になった」という声が多く聞かれますが、これは体験談レベルの傾向であり、公式に裏付けられたデータではありません。ただ、「同じやり方をもう1年」では結果が変わらないというのは、論理的にも自然な結論です。

予備校に行かず独学は現実的か?

近年の国家試験は出題傾向の変化が速く、独学では最新情報のキャッチアップが難しくなっています。特に既卒生は情報の遮断が大きなハンデになるため、何らかの形で予備校の情報やカリキュラムに触れることを強く推奨します。

もう一つ、独学の落とし穴として見落とされやすいのが学習習慣の維持です。予備校のスケジュールに乗ることで、自然とリズムができます。一人で勉強していると、調子が出ない日に学習を先送りしやすく、長期戦になるほどその影響が積み重なります。情報の面だけでなく、ペースを崩さないための環境としても、予備校の仕組みを使う価値があります。

全科目を予備校で受講する必要はなくても、模試の受験や苦手科目だけの個別指導など、部分的な活用は検討すべきです。


まとめ:データが示す「早く合格することの価値」

第119回歯科医師国家試験は、既卒合格率27.8%という厳しい結果となりました。受験回数が増えるほど合格率は低下し、1年の浪人には実質1,300万円のコストがかかります。

だからこそ、「次の1年で決める」という覚悟が何よりも重要です。

今日からできることは明確です。

  1. 第119回の自己採点を科目別に分析し、弱点を数値で把握する
  2. 自分に合った予備校・学習環境を選ぶ
  3. 4月から逆算したスケジュールを組み、効率化を意識して実行する

データは残酷ですが、同時に希望も示しています。2回目受験の合格率は42.8%。正しい戦略と徹底した実行力があれば、十分に逆転は可能です。なお、これから歯学部進学を考えている方は、第118回ストレート合格率ランキング(私立)も参考にしてください。国試合格率は大学選びの段階から差がついています。

最後に、戦略と同じくらい重要なことをお伝えします。学習を続けるための仕組みをつくることです。毎日の学習時間を固定する、予備校のスケジュールに乗る、勉強仲間をつくる——方法は何でも構いません。習慣として動き続ける仕組みを整えることが、長い受験期間を乗り切るうえで最も重要です。

合格までの道のりは長く、ゴールが遠く感じる日もあるでしょう。しかし、コツコツと積み上げていくこと以外に、ゴールへたどり着く方法はありません。

1年でも早く合格することが、経済的にも、キャリア的にも、精神的にも最善の選択です。 この1年を、人生を変える1年にしてください。

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入試・教育データの分析を専門
入試・教育データの分析を専門とし、10年以上にわたる継続的な調査研究を行っています。 歯学部受験において、受験生が本当に知るべき「数字の真実」を中立に伝えるためのメディアです。国、自治体、各大学が公表する一次資料を徹底的に精査し、新卒合格率だけでは見えないストレート合格率や留年リスクを可視化。16年分の蓄積データに基づき、後悔しないための大学選びをサポートします。数字の背景や注意点まで含めて詳説し、偏差値に偏らない客観的で実用的な指標を提供することが使命です。
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