奥羽大学歯学部のストレート合格率と「進級の壁」を徹底分析【2026年3月更新】
歯科医師国家試験の合格発表。各大学が公表する「新卒合格率」には、受験生や保護者が直視すべき残酷な罠が隠されています。
卒業試験を突破し、国家試験を受験できた「生存者」のみを集計した数字は、入学した学生の何割が、実際にストレートで歯科医師になれたのかという真実を語りません。
私は、入学者を分母とした「最低修業年限(6年)内での合格率」=ストレート合格率こそが、教育機関の質と誠実さを測る真実の指標であると考えています。
奥羽大学歯学部は、かつて私立歯学部の中で最下位クラスのストレート合格率に沈んでいました。しかし、第113回(59.1%)を境に劇的な回復を見せ、近年は私立大学の中位〜上位へと浮上しています。この「V字回復」の裏側には何があるのか。そして、その改善は本物なのか。
1年の留年は、単なる時間の浪費ではありません。「学費・生活費、そして歯科医師として得られたはずの1年間の逸失利益」を合算すれば、その損失額は1,500万円に達します。
当サイトでは、文部科学省および厚生労働省の一次資料及び各大学公式サイトに掲載されている情報に基づき、修学状況を徹底的に可視化しました。「修学状況に関する情報」の概要については、「偏差値だけじゃわからない歯学部選び|教育の質をデータで比較!大学の「中身」徹底解説」という記事で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方は、そちらを先にご確認ください。
奥羽大学の進級者数からみえる留年率
奥羽大学の各年度における入学者数と進級者数
まず、入学した学生たちが歯科医師国家試験の合格まで、どのように推移しているのか。その「進級の階段」を可視化しました。学年進行の際に留年や休学が発生すると数が減少する仕組みです。この表において、最も注目すべきは「数字が減少するタイミング」です。
奥羽大学では、特定の学年に留年が集中するのではなく、1年次から4年次にかけて「じわじわと」学生が脱落していく傾向が見て取れます。

※大学公式サイト公表の「修学状況に関する情報」より作成。
奥羽大学の各年度における留年率:全学年に広がる「進級の壁」
次に、学年別の留年率を可視化します。留年率は、進級時に減少した学生数を入学時の人数で割った値です。右側に私立17大学の平均値を併記しました。

※留年率=(前学年人数−次学年進級者数)÷入学時の人数(小数点以下四捨五入)。私立平均値は各学年ごとにデータが存在する全コホート(1年次:H30〜R6、2年次:H30〜R5、…)の私立大学平均を同一の方法で算出。松本歯科大学は進級者数に編入学者が含まれているとみられるため平均の算出から除外。北海道医療大学・日本歯科大学・大阪歯科大学の一部欠損データも分母から除外。すべて各大学公式サイト公表の「修学状況に関する情報」のストレート進級データに基づく。
1. 平成30年度入学者:比較的穏やかな進級構造
すでに国家試験の結果まで出揃っている平成30年度入学者(51名)の場合、1年次の留年が16%(8名脱落)と最も高く、それ以降は比較的落ち着いた推移を見せています。最終的に33名が6年次まで到達し、31名がストレート卒業、22名が国家試験に合格しました。
ストレート合格率は43%。入学者の半数以上が6年で歯科医師になれなかったことになりますが、この世代は奥羽大学にとっては「良い方」の数字です。
2. 令和元年度〜令和2年度入学者:中学年での大量脱落
問題の深刻さが際立つのは、令和元年度入学者(44名)のデータです。
1年次の留年はわずか1名(2%)と非常に少なかったにもかかわらず、2年次で7名(16%)、3年次で8名(18%)、4年次でさらに8名(18%)と、入学者の約2割ずつが毎年脱落し続け、最終的に6年次まで到達できたのは入学者44名中わずか20名(45%)に過ぎませんでした。2年次〜4年次の留年率はいずれも私立平均(12%、7%、8%)を大幅に上回っています。
令和2年度入学者(45名)も同様のパターンを示しています。1年次で5名(11%)が脱落した後、2年次で8名(18%)、3年次で7名(16%)、4年次で5名(11%)と中学年を中心に継続的な選別が行われ、6年次到達者は20名(44%)にとどまっています。
この「中学年での連続的な脱落」は、奥羽大学における進級構造の特徴を端的に表しています。特定の学年に明確な「壁」があるのではなく、2年次から4年次にかけて毎年入学者の1〜2割が留年を余儀なくされるという構造です。
3. 令和3年度入学者:3年次の壁が顕在化
令和3年度入学者(42名)のデータでは、特に3年次から4年次にかけての留年率が24%(入学者42名に対し10名脱落)と極めて高くなっています。この学年では、入学者42名のうち5年次にストレートで到達できたのは17名(40%)。入学者の6割近くが、5年次までの段階ですでに脱落していることになります。
奥羽大学の基礎専門科目は解剖学、組織学、生理学などが2年次から始まるカリキュラムとなっており、この基礎科目の本格化と連動する形で、2年次以降に留年率が跳ね上がる構造が見て取れます。
4. 令和4年度〜令和7年度入学者:定員割れと最新動向
近年の入学者数に注目すると、奥羽大学は入学定員(令和5年度より80名に変更)に対して大幅な定員割れが続いています。令和4年度は34名(定員96名に対し充足率35.4%)、令和5年度・6年度はともに26名(充足率32.5%)、令和7年度は33名(充足率41.3%)と、定員の3〜4割程度の入学者数にとどまっています。
1年次の留年率を見ると、令和4年度以降は15%前後で推移しており、少人数の入学者からもなお一定数の脱落が発生しています。
総括
奥羽大学の進級構造を総括すると、「特定学年での一括選別」ではなく、「全学年にわたる継続的なふるい落とし」が最大の特徴です。
私立平均と比較すると、1年次の留年率こそほぼ同水準(奥羽12〜16% vs 私立平均14%)ですが、2年次以降、特に令和元年度・令和2年度入学者では2〜4年次の各学年で私立平均を大きく上回る脱落率を記録しています。
なお、本記事における「私立平均」の算出にあたっては、松本歯科大学のデータを除外しています。同大学の公表データは進級者数に編入学者が含まれているとみられ、学年進行に伴い在籍者数が入学者数を上回るケースが散見されるため、他大学と同一基準での比較が困難であると判断しました。
1年の留年は1,500万円の損失を意味しますが、奥羽大学のデータが示すのは、どの学年にいても留年のリスクが常に存在するという現実です。入学から6年次到達までのストレート進級率が40〜61%という数字は、入学した学生の半数前後が、この損失を被る可能性があることを意味しています。
「どの学年で最も危険なのか?」という問いに対し、奥羽大学の答えは「すべての学年で油断はできない」です。
奥羽大学のストレート卒業率およびストレート国家試験合格率
奥羽大学の直近2年間の卒業・合格実績は以下の通りです。
| 項目 | 平成30年度入学者(第117回) | 令和元年度入学者(第118回) |
|---|---|---|
| 入学者数 | 51名 | 44名 |
| 6年での卒業者数 | 31名 | 20名 |
| ストレート卒業率 | 60.8% | 45.5% |
| ストレート合格者数 | 22名 | 20名 |
| ストレート合格率 | 43.1% | 45.5% |
【一次資料間のデータ不一致について】
平成30年度入学者(第117回)のストレート合格者数について、奥羽大学が自校ウェブサイトに公表した「修学状況に関する情報」では22名(43.1%)と記載されていますが、文部科学省が公表しているデータでは26名(51.0%)となっており、4名の差異が存在します。本記事では、上記の表では大学公表データ(22名/43.1%)を、後述のストレート合格率推移の表では文部科学省公表データ(26名/51.0%)を、それぞれの一次資料に忠実に記載しています。この不一致の要因は現時点では不明ですが、編入学者の取扱いや集計基準の差異などが考えられます。読者の方はこの点にご留意ください。
1. ストレート卒業率:年度による大きなブレ
ストレート卒業率とは、入学した学生が一度も留年・休学することなく、最短修業年限(6年)で卒業に至った割合です。
- 平成30年度入学者:60.8%(入学者51名/ストレート卒業者31名)
- 令和元年度入学者:45.5%(入学者44名/ストレート卒業者20名)
注目すべきは、この2年間で15.3ポイントもの差が生じている点です。平成30年度入学者は比較的穏やかな進級推移で約6割がストレート卒業を達成しましたが、令和元年度入学者は中学年での大量脱落により半数以下にとどまりました。年度によって進級の厳しさが大きく変動するという不安定さは、受験生にとって予測困難なリスク要因となります。
2. ストレート国家試験合格率:私立大学平均と比較して
入学者が最短6年で国家試験を突破できる確率である「ストレート国家試験合格率」を見ます。
- 平成30年度入学者(第117回):43.1%(合格者22名)
- 令和元年度入学者(第118回):45.5%(合格者20名)
第118回歯科医師国家試験における奥羽大学のストレート合格率は45.5%です。私立15大学平均(東京歯科大学・昭和医科大学を除く)は43.5%であり、平均をわずかに上回る水準に位置しています。
| 区分 | ストレート合格率(第118回) |
|---|---|
| 私立15大学平均 | 43.5% |
| 奥羽大学 | 45.5% |
かつて私立最下位クラス(第112回:24.0%)だったことを考えれば、現在の水準は大幅な改善と言えます。ただし、「入学者の半数以上がストレートで歯科医師になれていない」という事実に変わりはありません。
3. 「生存者バイアス」の罠:新卒合格率69.6%の裏側
厚労省発表の奥羽大学における第118回「新卒合格率」は69.6%(合格者32名/受験者46名)です。しかし、入学者を分母とした「ストレート合格率」は45.5%に留まります。
この24.1ポイントもの乖離は、6年間の修学過程で留年・休学を余儀なくされた学生、あるいは卒業試験を突破できず国家試験の受験票を手にできなかった学生が、分母から「除外」されているために生じます。
さらに深刻なのは、第118回における6年次在籍者67名のうち、卒業できたのは46名で、21名(31.3%)が6年次で卒業試験を突破できなかったという事実です。新卒合格率の分母は、この厳しい卒業試験を生き延びた「精鋭」だけで構成されています。
歯科医学教育における1年の停滞は、「学費500万円+生活費200万円+機会損失(初年度年収)800万円=計1,500万円」の損失に直結します。入学者の54.5%が、この莫大な代償を支払いながら苦闘している現実を直視する必要があります。
4. 令和元年度入学者の特異性:卒業した20名が全員合格
一方で、令和元年度入学者のデータには興味深い特徴があります。ストレート卒業率とストレート合格率がともに45.5%、つまりストレートで卒業できた20名全員が国家試験に合格しているのです。
このことは、6年間を留年なく乗り越えた学生は、国家試験に合格できる実力を備えていることを示唆しています。大学の卒業判定基準が国家試験の合格水準と適切に連動していると解釈できる反面、その代償として入学者の半数以上が6年次に到達できないという過酷な選別が行われていることの裏返しでもあります。
全国29歯学部のストレート合格率の過去3カ年平均

この資料によると、国公立大学を含む全国平均のストレート合格率は53.6%であり、歯学部でストレート進級・合格を達成することが容易ではないことが分かります。一般に、国公立大学と比べて相対的に学力分布が低めの学生が入学する傾向のある私立大学の歯学部では、ストレート合格率が3カ年平均で50%を超えるのは4校にとどまります。ストレート合格率の数値を見る際には、こうした全国的な基準も念頭に置いておきましょう。
文部科学省も重要指標として公表を進めている「修業年限内の国家試験合格率」(いわゆるストレート合格率)は、入学後に留年せず修業年限内で進級した学生が、初回の国家試験に合格する割合を指します。したがって、ストレート合格率を高めるには、ストレート進級者の割合を高い水準で維持することが重要です。
奥羽大学のストレート合格率の推移
奥羽大学の過去10年間(第109回〜第118回)におけるストレート合格率の推移は以下の通りです。 当サイトの分析では、比較対象として「私立15大学平均」を用いています。これは、私立の中で突出した合格率を誇る東京歯科大学と昭和医科大学の2校を除いた平均値です。この2校は出口の成績が別格であり、平均に含めると他の大学の教育努力や実態が見えにくくなるため、あえて除外して分析を行っています。
第109回〜第118回:ストレート合格率と私立大学全体平均との比較

※本表のデータは文部科学省公表の一次資料に基づく。第117回のストレート合格者数(26名/51.0%)は、前掲の大学公表データ(22名/43.1%)と差異があります。詳細は上記の注記をご参照ください。
奥羽大学のストレート合格率は、第109回〜第112回の「暗黒期」と、第113回以降の「回復期」という、極めて明確な二つのフェーズに分かれます。
第112回に24.0%という私立最下位の合格率を記録した翌年、第113回で59.1%と一気に私立2位まで躍り出るという、前例のないV字回復を遂げました。ただし、この第113回は入学者がわずか22名と極端に少なく、母数の小ささが数値を押し上げた側面も否定できません。
第114回以降は入学者数が増加する中でも40〜51%の水準を維持しており、回復は一時的なものではなく構造的な改善であったと評価できます。第113回以降は一貫して私立15大学平均を上回り、かつての最下位校が平均超えを達成しています。
ただし、第118回では45.5%と私立15大学平均(43.5%)をわずかに上回ったものの、安定的に50%超を維持するには至っていないのが現状です。
奥羽大学 ストレート合格率:私立大学内順位推移
全私立大学の中での、奥羽大学のストレート合格率の順位推移は以下の通りです。

この順位推移は、奥羽大学の「再生」を如実に物語っています。
第112回で最下位(17大学中17位)に沈んだ翌年、第113回で3位への大躍進。その後も上位半分に定着しつつある推移です。
特に注目すべきは、第117回の私立17大学中4位(51.0%)という成績です。かつて最下位だった大学が上位4校に入るというのは、私立歯学部の勢力図が固定的なものではなく、大学の活動次第で大きく変動し得ることを証明しています。
ただし、第118回では8位に後退しており、安定した上位定着にはまだ課題が残ります。
奥羽大学の6年次在籍者と卒業留年率
国家試験の前段階として立ちはだかる最大の壁が「卒業試験」です。奥羽大学の直近2年間の6年次在籍者数、および卒業に至らなかった学生の割合(卒業留年率)は以下の通りです。
| 項目 | 令和5年度(第117回) | 令和6年度(第118回) |
|---|---|---|
| 6年次在籍者数 | 94名 | 67名 |
| 卒業者数 | 63名 | 46名 |
| 卒業留年者数 | 31名 | 21名 |
| 卒業留年率 | 33.0% | 31.3% |
| 私立17大学平均 卒業留年率 | 23.5% | 21.2%(※) |
※データ出典:各大学公式サイト公表の「修学状況に関する情報」より算出。私立17大学平均は当サイトによる機関調査に基づく推計値。
※令和6年度平均は、現時点で数値を把握できている大学のみを対象とした暫定値
1. 卒業試験のハードル:3人に1人が足踏み
奥羽大学における卒業留年率は、令和5年度が33.0%、令和6年度が31.3%と、2年連続で30%を超えています。これは、6年生まで到達した学生であっても、3人に1人は卒業試験の壁を突破できず、国家試験の受験票を手にできていないことを意味します。
2. 6年次在籍者の内訳に潜む問題
特に注視すべきは、6年次在籍者数と入学者数の関係です。
令和5年度の6年次在籍者は94名でしたが、そのうちストレートで6年次に到達したのは33名です。つまり、6年次在籍者のうち61名は過去に留年を経験した「持ち上がり」の学生ということになります。ストレート生33名に対し留年経験者が61名と、実に6年次在籍者の約65%を留年経験者が占めているのです。
この構造は、奥羽大学の卒業試験が「ストレート生」と「留年経験者」の混在する集団を対象としていることを示しています。一度学習のサイクルから外れた学生が再び軌道に乗ることの難しさが、30%超の卒業留年率として表れています。
3. 第119回国家試験における衝撃的なデータ
最新の第119回歯科医師国家試験のデータは、奥羽大学の課題をさらに浮き彫りにしています。
| 項目 | 第119回 |
|---|---|
| 新卒出願者 | 71名 |
| 新卒受験者 | 47名 |
| 新卒合格者 | 27名 |
| 新卒合格率 | 57.4% |
| 既卒受験者 | 65名 |
| 既卒合格者 | 14名 |
| 既卒合格率 | 21.5% |
新卒出願者71名に対し、実際に受験できたのは47名。24名(33.8%)が出願したにもかかわらず受験に至っていません。これは、卒業試験で不合格となった学生を含む数字であり、出口の選別が依然として厳格であることを示しています。
さらに深刻なのは、既卒合格率21.5%(65名中14名)という数字です。奥羽大学では多くの留年経験者が6年次に滞留している構造があるため、既卒として再受験する学生の数も多いのですが、その合格率は極めて低い水準にとどまっています。
奥羽大学の学費と特待生制度
教育内容と並んで重要な判断材料が、学費です。奥羽大学歯学部の2026年度学費は以下の通りです。
通常学費
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 500,000円 |
| 1年次〜6年次(各年) | 3,500,000円 |
| 6年間合計 | 21,500,000円 |
6年間の通常学費は2,150万円。私立歯学部の中では中程度の水準に位置しています。
特待生制度:最大で学費全額免除
奥羽大学の特待生制度は、私立歯学部の中でも極めて手厚い点が特徴です。
| 制度 | 6年間合計 | 概要 |
|---|---|---|
| 特待生(全額免除) | 500,000円 | 入学金のみ。授業料6年間全額免除 |
| 特待生(半額免除) | 11,000,000円 | 入学金+授業料半額(年175万円×6年) |
全額免除の特待生に採用されれば、6年間の総費用がわずか50万円。国立大学の6年間学費(約350万円)をも大幅に下回る、破格の条件です。半額免除でも6年間1,100万円と、通常学費の約半額で歯科医師を目指すことが可能です。
ただし、特待生として入学しても留年すれば特待の条件が変更される可能性がある点には注意が必要です。また、前述のストレート合格率のデータが示す通り、入学後の進級には高いハードルが存在します。
奥羽大学の入試状況
入試状況の推移
| 年度 | 定員 | 志願者 | 入学者 | 充足率 |
|---|---|---|---|---|
| 平成30年度 | 96 | 226 | 51 | 53.1% |
| 令和元年度 | 96 | 192 | 44 | 45.8% |
| 令和2年度 | 96 | 218 | 45 | 46.9% |
| 令和3年度 | 96 | 212 | 42 | 43.8% |
| 令和4年度 | 96 | 163 | 34 | 35.4% |
| 令和5年度 | 80 | 167 | 26 | 32.5% |
| 令和6年度 | 80 | 163 | 26 | 32.5% |
| 令和7年度 | 80 | 133 | 33 | 41.3% |
慢性的な定員割れが続いている現状が明確です。令和5年度には入学定員が96名から80名に削減されましたが、それでも充足率は30〜40%台にとどまっています。
奥羽大学の修学状況まとめ
奥羽大学の修学状況および国家試験実績をデータで紐解くと、「かつての最下位校が見せた再生」と「依然として残る課題」の両面が浮かび上がります。
今回のデータ分析から導き出された核心的な事実は、以下の3点です。
1. 最下位からの「V字回復」は本物だが、安定性に課題
奥羽大学のストレート合格率は、第110回〜第112回の3年連続最下位(24〜33%)から、第113回以降は40〜51%の水準まで回復しました。第117回では51.0%を記録し、私立17大学中4位にまで浮上しています。しかし、直近の第118回では45.5%と8位に後退しており、上位定着には至っていません。「回復途上」の段階と評価するのが適切です。
2. 「全学年にわたる留年リスク」という構造的課題
奥羽大学の最大の特徴は、特定の学年に留年が集中するのではなく、1年次から4年次にかけて継続的に学生が脱落していく構造です。令和元年度入学者の場合、入学者44名のうち6年次にストレートで到達できたのはわずか20名(45%)。特に2〜4年次の留年率は入学者に対してそれぞれ16%、18%、18%と、私立平均(12%、7%、8%)を大幅に上回っており、どの学年でも油断できないという現実は、入学後6年間にわたって常に留年の緊張感の中で学び続ける覚悟が求められることを意味します。
3. 出口の厳しさ:卒業留年率30%超
6年次に到達しても、卒業試験のハードルは高く、3人に1人が卒業を逃しています。さらに、6年次在籍者の過半数が留年経験者で構成されている実態があり、一度留年すると復帰が困難な構造が見て取れます。一方で、ストレートで卒業できた学生の国家試験合格率は非常に高く(令和元年度入学者は100%)、卒業判定と国家試験の基準が連動していることが窺えます。
特待生制度の魅力とリスクの天秤
全額免除であれば6年間50万円、半額免除でも1,100万円と、特待生制度は極めて魅力的です。しかし、ストレート合格率が40〜50%台という現実を踏まえると、留年した場合の追加学費と機会損失を含めたトータルコストを冷静に計算する必要があります。
本サイトでは、1年の留年は「学費・生活費・機会損失を合わせた1,500万円の損失」であると定義しています。
奥羽大学は、かつての最下位から確かな改善を見せている点で評価に値しますが、入学者の半数以上が6年で歯科医師になれていないという現実は依然として存在します。特待生制度の経済的メリットに惹かれる受験生も多いでしょうが、その制度の恩恵を最大限に受けるためにも、入学直後から全学年での継続的な学習習慣の確立が不可欠です。
「新卒合格率」という生存者バイアスのかかった数字に惑わされてはいけません。
受験生および保護者の方は、入学から卒業までの6年間、毎年の進級を勝ち取り続けるという長期戦の覚悟を持っておく必要があります。

