国家試験合格率

第118回歯科医師国家試験の合格率|大学別ランキングとストレート合格率の重要性

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第118回歯科医師国家試験の大学別合格率をランキング形式で紹介します。新卒合格率と修業年限内(ストレート)合格率の違いも解説し、志望校選びに役立つ視点を提供します。

本記事は「第118回歯科医師国家試験の合格発表について」(厚生労働省)および「歯学部歯学科の学科別の修学状況等(2024年度)」(文部科学省)の情報を活用しています。

第118回歯科医師国家試験 新卒合格率ランキング

カメ人間
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第118回歯科医師国家試験は、2025年2月1日~2日に実施され、同年3月14日に合格発表が行われました。
合格発表当日には、厚生労働省の公式サイトで大学別の合格率が公開されています。

大学の広告等でよく利用されている、新卒合格率を基準に並べると、結果は次のとおりです。

第118回歯科医師国家試験 新卒合格率ランキング(国公立)

#学校名出願
者数
受験
者数
合格
者数
合格
1北海道大学歯学部50494795.9
2岡山大学歯学部47474595.7
3東京科学大学歯学部49494693.9
4長崎大学歯学部49474493.6
5鹿児島大学歯学部43433990.7
6大阪大学歯学部51514690.2
7九州大学歯学部52524688.5
8東北大学歯学部47474187.2
9新潟大学歯学部50504386.0
10九州歯科大学99998383.8
11広島大学歯学部48484083.3
12徳島大学歯学部40403280.0

国公立大学では、出願者数と受験者数が一致している大学が多く、合格率が80%を下回る大学はありません。いずれの大学も高い合格率を記録しています。

第118回歯科医師国家試験 新卒合格率ランキング(私立)

#学校名出願
者数
受験
者数
合格
者数
合格
1大阪歯科大学906060100.0
2昭和大学歯学部94878597.7
3東京歯科大学14913312997.0
4朝日大学歯学部130747195.9
5日本歯科大学生命歯学部1131059893.3
6北海道医療大学歯学部67484491.7
7松本歯科大学95544990.7
8日本歯科大学新潟生命歯学部55534788.7
9愛知学院大学歯学部12612310585.4
10明海大学歯学部97806783.8
11神奈川歯科大学141917279.1
12日本大学歯学部1221057571.4
13奥羽大学歯学部64463269.6
14鶴見大学歯学部84644468.8
15日本大学松戸歯学部101825061.0
16岩手医科大学歯学部46372054.1
17福岡歯科大学101995353.5

私立大学は国公立大学と異なり、出願者数と受験者数に差がある大学が多く見られます。新卒合格率は53.5%から100.0%までと、大学によって大きな幅があります。

歯学部では、多くの大学で卒業試験が実施されています。すべての大学に当てはまるわけではありませんが、出願していても国家試験を受験できなかった学生の多くは、この卒業試験に合格できず、国家試験の受験資格を得られなかったケースと考えられます。

第118回歯科医師国家試験 新卒出願合格率ランキング

カメ人間
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上記で紹介した新卒合格率とは、「その年に卒業見込みの学生が受験して合格した割合」のことです。

裏を返せば、卒業見込みの資格がない学生は国家試験を受験できません。

多くの大学では6年生に「卒業試験」を課しており、不合格になった学生は卒業資格を得られず、国家試験に出願していても実際には受験できない状況となります。

このような状況は、出願者数と受験者数の差を確認することで、ある程度把握することが可能です。

ただし、中には「6年生の人数に比べて出願者数が明らかに少ない」大学も一部存在するため、出願者数と受験者数の差だけですべてを判断できるわけではない点はご留意ください。

受験者数ではなく、出願者数を分母として計算した合格率を、当サイトでは、「新卒出願合格率」という名称で取り扱います。
※他サイトでは「真の合格率」や「本当の合格率」と表現されていたりします。

それでは、第118回国家試験における私立大学の「新卒出願合格率」のランキングを以下に示します。

第118回歯科医師国家試験 新卒出願合格率ランキング(私立)

※国公立大学は、出願者数と受験者数がほとんど変わらないため、私立大学のみを紹介します

#学校名出願
者数
受験
者数
合格
者数
合格
出願
合格
1昭和大学歯学部94878597.790.4-7
2日本歯科大学生命歯学部1131059893.386.7-7
3東京歯科大学14913312997.086.6-10
4日本歯科大学新潟生命歯学部55534788.785.5-3
5愛知学院大学歯学部12612310585.483.3-2
6明海大学歯学部97806783.869.1-15
7大阪歯科大学906060100.066.7-33
8北海道医療大学歯学部67484491.765.7-26
9日本大学歯学部1221057571.461.5-10
10朝日大学歯学部130747195.954.6-41
11福岡歯科大学101995353.552.5-1
12鶴見大学歯学部84644468.852.4-16
13松本歯科大学95544990.751.6-39
14神奈川歯科大学141917279.151.1-28
15奥羽大学歯学部64463269.650.0-20
16日本大学松戸歯学部101825061.049.5-11
17岩手医科大学歯学部46372054.143.5-11

青文字:新卒順より順位を上げた大学赤文字:新卒順より順位を下げた大学

上記の表では、新卒ランキングから順位を上げた大学を青、順位を下げた大学を赤で表示しています。出願者数と受験者数の差が小さい大学ほど、順位を上げる傾向が見られます。

新卒出願合格率で並べ替えてみると、やはり出願者数と受験者数の差が小さい大学が上位に入る傾向が確認できます。

一方で、順位を大きく下げた大学は「大阪歯科大学」「朝日大学歯学部」「松本歯科大学」の3校で、いずれも6ポイント順位を下げました。これらの大学では、出願者数と受験者数の差が30人以上にのぼっています。

卒業を認める基準は大学ごとに定められており、「差が大きい=悪い」とは一概には言えません。ただし、こうした状況があることを理解したうえで、さまざまな判断材料とするのがよいでしょう。

卒業試験を厳しくして、国家試験に合格する可能性が高い学生だけを受験させれば、見かけの新卒合格率は高くなります。
逆に言えば、出願者のほとんどが受験できている大学を除けば、国家試験の合格率が高い大学ほど、卒業試験が難しいとも考えられます。

新卒合格率ランキングと修業年限内(ストレート)合格率の比較

カメ人間
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ここまでは、例年3月中旬に発表される国家試験の大学別合格状況について解説しました。これらのデータは、それぞれの大学を卒業した学生の状況を知る上で参考になります。

しかし、新卒合格率が高いからといって、そのまま大学の教育の質が高いと判断するのは適切ではないと考えます。

なぜなら、すでに述べた通り、国家試験の新卒合格率は卒業試験の難易度によって調整可能な数字であり、また留年や退学となった学生が反映されていない数字だからです。

これから大学を受験する受験生は、当然ながら現在の歯学部6年生ではありません。そのため、「6年生が出願・受験して国家試験に合格した割合」を見ても、直接的な意味はあまりないのです。

験生が見るべき指標は、「入学してから6年後に国家試験に合格できるかどうか」を示す数字です。この指標こそが、文部科学省が公開している「修業年限内合格率」です。

この数字は、各所で「ストレート合格率」とも呼ばれています。ただし、公開時期が遅いため、得られる情報は少し古いものになります。今回は、第115~117回の国家試験における各大学の修業年限内合格率の平均値と、第118回の新卒合格率を並べて比較してみたいと思います。

修業年限内合格率を大学選びの基準としてお勧めする理由については、「歯学部偏差値ランキングと大学選びの落とし穴|注意すべきポイントを解説」にも記載しているので、是非チェックしてください。

第118回歯科医師国家試験 新卒合格率ランキングと修業年限(ストレート)合格率の比較(国公立)

#学校名新卒
合格
スト
合格
1岡山大学歯学部95.784.0-12
2鹿児島大学歯学部90.781.8-8.9
3北海道大学歯学部95.975.9-20
4九州歯科大学83.873.3-11
5長崎大学歯学部93.672.7-21
6新潟大学歯学部86.072.5-14
7広島大学歯学部83.369.2-14
8東京科学大学歯学部93.968.6-25
9東北大学歯学部87.268.1-19
10大阪大学歯学部90.265.4-25
11徳島大学歯学部80.060.8-19
12九州大学歯学部88.556.0-33

青文字:新卒順より順位を上げた大学赤文字:新卒順より順位を下げた大学
スト合格率:第115回~117回歯科医師国家試験の修業年限内合格率3か年の平均値

すべての国公立大学で、第118回歯科医師国家試験の新卒合格率は80%を超えていました。しかし、修業年限内(ストレート)合格率の3か年平均を見ると56%~84%の範囲となり、幅が広がります。

ストレート合格率が低い傾向にある大学では、学年進行の途中で留年する学生が相対的に多いと推察されます。これから紹介する私立大学と比べると依然として高い合格率ではありますが、国公立大学においてもストレートで合格させることは容易ではない状況がうかがえます。

第118回歯科医師国家試験 新卒合格率ランキングと修業年限(ストレート)合格率の比較(私立)

#学校名新卒
合格
スト
合格
1東京歯科大学97.070.6-26
2昭和大学歯学部97.770.1-28
3日本歯科大学生命歯学部93.349.7-44
4奥羽大学歯学部69.647.0-23
5日本大学歯学部71.445.3-26
6愛知学院大学歯学部85.444.8-41
6大阪歯科大学100.044.8-55
8朝日大学歯学部95.944.4-52
9北海道医療大学歯学部91.744.3-47
10明海大学歯学部83.841.7-42
11福岡歯科大学53.539.9-14
12日本大学松戸歯学部61.039.3-22
13神奈川歯科大学79.136.9-42
14松本歯科大学90.735.6-55
15岩手医科大学歯学部54.131.9-22
16日本歯科大学新潟生命歯学部88.729.5-59
17鶴見大学歯学部68.828.5-40

青文字:新卒順より順位を上げた大学赤文字:新卒順より順位を下げた大学
スト合格率:第115回~117回歯科医師国家試験の修業年限内合格率3か年の平均値

私立大学の修業年限内(ストレート)合格率の低さに、驚いた方もいるのではないでしょうか。28.5%~70.6%の範囲にとどまり、東京歯科大学と昭和大学以外の15校は50%を下回っています。国公立大学と比べると、私立大学の歯学部は入学のハードルこそ低めですが、入学後に順調に進級し、ストレートで歯科医師国家試験に合格できる学生は半数にも満たない状況です。

特に「大阪歯科大学」「朝日大学」「松本歯科大学」「日本歯科大学新潟生命歯学部」では、新卒合格率とストレート合格率の差が50%以上開いています。新卒合格率が90%を超える大学に入学できたとしても、「90%の確率で6年後に国家試験に合格できる」と誤解しないよう注意が必要です。

まとめ

今回は、厚生労働省が3月中旬に公表した第118回歯科医師国家試験の大学別合格状況について解説しました。特に「新卒合格率と新卒出願合格率の違い」や「新卒合格率と修業年限内(ストレート)合格率のギャップ」についても取り上げました。

大学が広告などでよく用いる新卒合格率は、卒業試験の難易度によって調整され得る数字であり、大学の教育力を正しく示す指標としては不十分だと考えています。

これから志望校を選ぶ受験生の方には、入学から6年後に国家試験に合格できるかどうかを示す「修業年限内(ストレート)合格率」を参考にすることをおすすめします。

また、どの大学に進学しても、歯学部では「学び続ける姿勢」が欠かせません。入学時点で高い学力があっても、6年間の学習習慣を身につけず勉強を怠れば、ストレートで国家試験に合格するのは難しいでしょう。逆に、日々の学習習慣を確立し、6年間コツコツと努力を積み重ねることができれば、どの大学に入学してもストレート合格は十分に可能です。

学び続けること自体は大変ですが、歯科医師という夢に向かって努力を続けてほしいと思います。

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歯学部の入試動向や歯科医師国家試験合格率、在学生データなどを10年以上にわたり継続的に収集・分析しています。大学・省庁・予備校等の一次資料を横断的に検証し、数字の背景や注意点まで含めて解説。偏差値に偏らない、客観的で実用的な大学選びの指標を提供します。
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