2025

【保存版】国公立12大学「ストレート合格率」全推移を完全分析。〜偏差値では分からない「大学の興亡」がここにある〜

kameman

「以前の記事で、大学選びの真の基準は『ストレート合格率』だとお話ししました。
『でも、それは私立の話でしょ? 国公立は関係ないよね』 そう思っているあなた。

大間違いです。

国公立大学でさえ、この『ストレート合格率』で見ると、激しい浮き沈みが見えてくるのです。今回はその証拠をお見せします。」

はじめに

「国公立大学なら、どこに入っても安心だろう」 そう思っていませんか?

確かに、私立大学に比べれば学費も安く、優秀な学生が集まる国公立大学は、国家試験合格率も高水準です。 しかし、過去16年間のデータを紐解くと、決して「全大学が盤石ではない」という事実が見えてきます。

今回は、第103回(2010年)から第118回(2025年)までの膨大なデータを基に、国公立12大学(国立11+公立1)の「ストレート合格率」推移を徹底分析します。 各大学のグラフも作成しましたので、ぜひ「波」の形にも注目してください。

すべての始まりは「第107回ショック」から

まず、各大学のデータを見ていただく前に、一つだけ知っておいてほしい歴史があります。 それが2014年(第107回)の「合格者削減ショック」です。

厚生労働省が「歯科医師過剰問題」に対応するため、この年、合格者を約350人も減らしました。 これまで合格率70〜80%が当たり前だった時代が終わり、国公立大学であっても安泰ではない「冬の時代」が始まったのです。

この「ショック」以降、各大学がどう動いたか(耐え抜いたのか、低迷したのか)に注目して、各大学の分析をご覧ください。

【北海道・東北エリア】北の明暗

北海道大学

〜今が「全盛期」。北の帝王が完全覚醒〜

【推移】 83.3%(103回)➡ 66.0%(111回)➡ 90.4%(118回)
【最高】 90.4%(118回)
【最低】 64.2%(110回)

【北海道大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。第107回ショック後の右肩上がりの回復傾向を示すグラフ

【分析コメント】 グラフを見てください。直近の上がり方が異常です。 かつては60%台に落ち込む時期もありましたが、そこから見事なV字回復を遂げ、なんと直近の第118回で「過去最高値(90.4%)」を叩き出しています。 多くの大学が「昔は良かった」となる中で、今まさに教育力がピークに達している、最も脂の乗った国立大学です。入学するなら今がベストタイミングと言えるでしょう。

東北大学

〜安定感はあるが、かつての爆発力は影を潜める〜

【推移】 80.0%(103回)➡ 71.7%(111回)➡ 67.9%(118回)
【最高】 85.5%(106回)
【最低】 60.3%(108回)

【東北大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。107回ショックによる変動と近年の合格率推移を可視化

【分析コメント】 初期は80%台をキープしていましたが、グラフの右側(近年)は少し下がり気味です。 最低でも60%は切らない底堅さはさすが旧帝大ですが、直近10年で一度も80%を超えていない点は気になります。 研究機関としての色が濃く、国試特化のスパルタ教育とは距離を置いている可能性があります。学生の自主性に任せる校風が、数字に表れているのかもしれません。

【関東・甲信越エリア】王者の風格

東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)

〜悪夢の50%台から生還した「絶対王者」〜

【推移】 73.7%(103回)➡ 72.7%(111回)➡ 80.4%(118回)
【最高】 87.3%(106回)
【最低】 56.6%(115回)

【東京科学大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。旧東京医科歯科大学時代からの安定した合格実績と推移データ

【分析コメント】 日本の最難関ですが、グラフに「深い谷」があります。実は第115回に「最低値56.6%」という衝撃的な急落を経験しています。 「優秀な学生だから放っておいても受かる」という神話が崩れた瞬間でしたが、そこからわずか3年で80%台(118回)まで戻したのは流石の一言。 修正能力の高さは証明されましたが、「油断すると危ない」という教訓も残しました。

新潟大学

〜国公立屈指の高水準。だが近年、わずかな「揺らぎ」も?〜

【推移】 90.0%(103回)➡ 75.0%(111回)➡ 87.5%(118回)
【最高】 90.0%(103回)
【最低】 65.0%(115・117回)

【新潟大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。国公立トップクラスの合格水準と高い修正能力を示すグラフ

【分析コメント】 16年間の平均で見れば、間違いなく国公立のトップ集団を走る「優等生」です。第103回から118回まで、90%近い数字を何度も叩き出している点は流石の一言です。

ただし、グラフをよく見ると、第115回と117回で65.0%という、この大学としては異例の低い数字を記録しています。これは、かつての「どこを切っても金太郎飴のような安定感」に、近年の国試難化による「学年ごとのバラつき」が生じ始めているサインかもしれません。

とはいえ、特筆すべきはその「修正能力」です。大きく落とした翌年には必ず80%台後半まで戻しており、教育体制そのものが崩れているわけではありません。 「基本的には非常に手厚いが、数年に一度、試練の年が混じる」——そんなリアルな姿が見えてきます。依然として「入ってから後悔しない国立大学」の筆頭であることに変わりはありません。

【関西・中国・四国エリア】西の激戦区

大阪大学

〜低迷期を脱し、復調傾向にある名門〜

【推移】 78.7%(103回)➡ 62.3%(111回)➡ 73.6%(118回)
【最高】 78.7%(103回)
【最低】 52.5%(108回)

【大阪大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。第107回ショック以降の合格率の揺らぎと現状を記録したデータ

【分析コメント】 偏差値の高さに対し、グラフはかなり波打っています。特に第108回前後は50%台(2人に1人がストレート合格できない)という、阪大とは思えない時期もありました。 しかし、111回以降は徐々に数字を戻し、現在は70%台で安定。完全復活まであと一歩というところです。偏差値だけで安心せず、しっかり勉強する必要がある環境と言えます。

岡山大学

〜西の横綱。直近の成績は東の新潟に匹敵〜

【推移】 82.5%(103回)➡ 81.3%(111回)➡ 81.3%(118回)
【最高】 91.7%(117回)
【最低】 67.3%(108回)

【岡山大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。長年高い水準を維持し続ける鉄壁の安定感を示すグラフ

【分析コメント】 推移を見てください。103回、111回、118回と、常に80%オーバーを維持しています。これは12大学の中でも稀有な存在です。 特に直近の第117回では91.7%(過去最高)を記録。波の激しい国公立大学の中で、最も計算できる安定株と言えます。西日本で迷ったら岡山、と言えるほど信頼できるデータです。

広島大学

〜良くも悪くも「標準的」。大きな波乱なし〜

【推移】 70.9%(103回)➡ 66.0%(111回)➡ 69.8%(118回)
【最高】 83.6%(104回)
【最低】 60.4%(115回)

【広島大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。過去16年間のデータに基づいた最新の合格率上昇トレンド

【分析コメント】 60%台後半〜70%前後を常にキープしており、最低値も60%を割ることはありませんでした(ギリ60.4%)。 グラフに派手な山や谷がなく、大崩れもしない。「堅実」という言葉が最も似合う推移です。確実に平均点以上を取ってくる、優等生のような大学です。

徳島大学

〜「合格者半減」の悪夢を乗り越えて〜

【推移】 76.0%(103回)➡ 77.5%(111回)➡ 67.5%(118回)
【最高】 92.5%(106回)
【最低】 45.0%(107回)

【徳島大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。第107回ショックでの急落から見事なV字回復を遂げた軌跡

【分析コメント】 グラフ中央の「大暴落」に注目してください。第107回の「45.0%(最低値)」です。前年まで90%超えだったのが、翌年に半分になるという地獄を見ました。 しかし、111回には77.5%まで回復させ、意地を見せました。現在は少し落ち着いていますが、あの危機を乗り越えた経験値は強みです。

【九州エリア】激動の南国

九州大学

〜近年、最大の「スランプ」に突入か〜

【推移】 71.4%(103回)➡ 71.7%(111回)➡ 59.6%(118回)
【最高】 80.7%(105回)
【最低】 54.7%(117回)

【九州大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。伝統校が直面する近年の厳しい国試環境と合格率の推移

【分析コメント】 非常に心配なデータです。中間点の111回までは70%台を維持していましたが、グラフの右側(近年)で急激に数字を落としています。 第117回には過去最低の54.7%を記録し、118回も50%台から抜け出せていません。名門・九大に何が起きているのか。受験生は「ブランド」だけでなく、この直近の苦戦状況を知っておくべきです。

長崎大学

〜低迷期を脱出。九州エリアの新たな希望〜

【推移】 82.0%(103回)➡ 72.0%(111回)➡ 78.0%(118回)
【最高】 82.0%(103回)
【最低】 52.0%(109回)

【長崎大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。第107回ショックを乗り越え、近年高い水準まで回復した教育実績

【分析コメント】 九大とは対照的なグラフを描いています。第109回に52.0%(最低値)まで落ち込みましたが、そこからの回復が見事です。 111回で70%台に戻し、直近118回では78.0%と、全盛期(103回)に迫る数字を出しています。今は完全に上昇気流に乗っている大学です。

鹿児島大学

〜「振れ幅」は日本一。ハマれば最強の爆発力〜

【推移】 81.8%(103回)➡ 73.1%(111回)➡ 71.7%(118回)
【最高】 96.2%(117回)
【最低】 55.4%(109回)

【鹿児島大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。過去最高の合格率を記録した回を含む、爆発力のある推移データ

【分析コメント】 グラフの乱高下が激しいのが特徴です。最高値96.2%(ほぼ全員合格)と、最低値55.4%(半分落ちる)の両方を持っています。この40ポイント以上の振れ幅は、他大学には見られません。 「当たり年」に入学できれば最強ですが、「波」があることは覚悟が必要です。ただ、直近の平均値は高く、ポテンシャルは間違いなく高いです。

九州歯科大学(公立)

〜国立顔負けの安定感。九州の隠れ優良株〜

【推移】 82.1%(103回)➡ 75.8%(111回)➡ 78.9%(118回)
【最高】 86.3%(113回)
【最低】 66.3%(117回)

【九州歯科大学】歯科医師国家試験ストレート合格率の推移(103回〜118回)。公立大学として常に安定した高い合格水準を維持する実績グラフ

【分析コメント】 常に高いレベルで安定しています。グラフがほとんど下がっていません。 最低値でも66.3%と大きく崩れることがなく、安心して6年間を預けられる大学です。「公立」という独自の立ち位置ですが、実力はトップ国立校と遜色ありません。

まとめ:107回ショックを耐え抜いた「国公立の底力」

今回の分析を通して、第103回から第118回までの長い推移を見てきました。冒頭でお話しした「第107回ショック(合格者削減)」の影響を振り返ると、国公立大学全体としては、この巨大な荒波を「致命傷を負うことなく耐え抜いた」と評価できます。

もちろん、一時的に大きく数字を落とした大学もありますが、多くの大学が数年以内に元の水準まで立て直しています。これこそが、私立大学とは決定的に異なる「国公立の底力」です。

では、この16年間のデータを集約し、各大学の「平均的な実力」と「年ごとの安定性」を可視化した「箱ひげ図」を見てみましょう。

国公立歯科大学12校のストレート合格率比較(第103回〜118回)の箱ひげ図。各大学の合格率の水準と年ごとのバラつきを可視化。
国公立12大学ストレート合格率 安定性比較(103回~118回)

このグラフの「箱の位置」が高いほど全体的な合格率が高く、「箱の長さ」が短いほど、いつ受験しても安定して合格できる(=ハズレ年がない)ことを意味します。この客観的な統計データを踏まえ、12大学の「最新の立ち位置」を分類します。

1. 【高水準・リカバリー型】信頼性は依然としてトップクラス

  • 該当校:新潟大学、岡山大学、九州歯科大学
  • 分析:箱ひげ図において、箱の位置が非常に高く、かつ箱自体が短くまとまっています。これは107回ショックのような外部環境の変化に動じず、常に高い水準で合格者を出し続ける「完成された教育システム」を持っている証拠です。新潟大のように一時的な揺らぎがあっても、即座に修正して箱の上端に回帰する能力は流石の一言です。

2. 【上昇・回復型】今、最も勢いがあり信頼できる大学

  • 該当校:北海道大学、長崎大学、広島大学
  • 分析: 16年前の低迷期を脱し、直近数年の高い数字が平均(箱の位置)を大きく押し上げています。特に北海道大学の近年の伸びは目覚ましく、現在のカリキュラムが国試の難化傾向に完璧に適合していることがグラフからも読み取れます。

3. 【ポテンシャル型】実力は超一流だが、年次の振れ幅が大きい大学

  • 該当校:東京科学大学、大阪大学、東北大学、鹿児島大学、徳島大学
  • 分析: 箱の位置は高いものの、上下の「ヒゲ」が長く伸びているのが特徴です。日本トップクラスの学力層を抱えながらも、学年ごとのカラーや出題傾向の急変によって、合格率が乱高下しやすい傾向があります。地頭の良さに頼るだけでなく、いかに「ハズレ年」を作らないかが今後の鍵となります。

4. 【正念場型】伝統の立て直しが期待される大学

  • 該当校:九州大学
  • 分析: かつての高い安定感から一転、直近数年の数字が箱の下側に停滞しています。伝統校ゆえの教育カリキュラムと近年の国試トレンドの解離が懸念されますが、国公立である以上、ここからの巻き返しが強く期待されるポジションです。

最後に

今回の分析で分かったのは、「国公立大学は、外部環境が変化しても大きくは揺るがない安定資産である」ということです。

しかし、私立大学に目を向けると、状況は一変します。

同じ第107回ショックを受けながら、ある大学はV字回復を遂げ、ある大学は現在進行形で「出口の見えないトンネル」を彷徨っています。国公立では考えられないような、合格率が数分の一にまで崩壊した大学も存在するのです。

次回、【私立大学編】では、その残酷なまでの格差と、データの裏側に隠された「生存戦略」を暴いていきます。


(※注釈) 本記事のデータは、厚生労働省発表の歯科医師国家試験結果および文部科学省の学校基本調査等を基に、独自に算出したものです。「ストレート合格率」は、最短修業年限(6年)での国家試験合格率を指します。

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現役の私立大学勤務の職員が、受験生のために中立的な視点で発信するブログです。歯学部の入試動向や歯科医師国家試験合格率、在学生データなどを10年以上にわたり継続的に収集・分析しています。大学・省庁・予備校等の一次資料を横断的に検証し、数字の背景や注意点まで含めて解説。偏差値に偏らない、客観的で実用的な大学選びの指標を提供します。
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