【2025年度最新】臨床実習後の臨床能力試験とは?|評価項目・実施体制など徹底解説
歯学系の臨床実習後に行われる能力試験は、正式には診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験 (Post-Clinical Clerkship Performance Examination)と呼ばれ、略称はPost-CC PX(または臨床実習後 PX)です。臨床実地試験(CPX)と一斉技能試験(CSX)の2つの要素によって構成されているのが特徴です。
本記事では、このPost-CC PXの概要、目的、構成要素(CPXとCSXの詳細)、および評価基準について、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
本記事は、CATOの『共用試験ガイドブック』第23版の内容に基づいて作成しています。
歯学部共用試験の概要

歯学部の学生は、自大学が実施する進級試験や卒業試験とは別に、医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)が実施する全国統一試験にも合格しなければなりません。
全国統一試験には、「①臨床実習前の全国統一試験」と「②臨床実習後の全国統一試験」があります。
②の試験は卒業前の臨床実習の後半ごろに実施されており、歯学生が臨床実習を通じて身につけた臨床能力を測り、歯科医師に求められる基本的な要件を備えているかどうかを確認されます。
①は令和6年度から公的化されていますが、②は公的化されていません。今後公的化される見通しのようです。
歯学部のカリキュラムにおける共用試験の実施時期

Post-CC PX
Post-CC PXの概要
Post-CC PXは、「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)」において、「G 臨床実習」の別表「臨床実習の内容と分類」に提示された「3. 基本的臨床技能」のうち「Ⅰ.指導者のもと実践する」「Ⅱ.指導者のもとでの実践が望まれる」に含まれるものを中心に課題として出題されます。
Post-CC PXは、臨床実地試験(CPX : Clinical Practice Examination)と一斉技能試験(CSX :Clinical Skill Examination)によって構成されています。
Post-CC PXの目的
この試験の目的は以下の通りです。
- 学生自身が卒業レベルの臨床能力を修得しているかを知ること。
- 大学が、歯科医師育成機関としての責任を果たすべく、自大学の学生に歯学部・歯科大学の卒業を許容できるレベルの臨床能力を修得させることができたかを評価すること。
- 国民・社会に対して、安全・安心な医療を提供できる歯科医師となっているか、その質を保証すること。
学生に求められる到達度
学生に求められる到達度は、Millerの臨床能力評価ピラミッドに基づき設定されており、臨床実習修了時(Post-CC)の目標として、多くの学修項目で「臨床経験があり、臨床で実施できるが、監視や補助を要する」レベルが求められています。
Millerの臨床能力評価ピラミッドを参考に、学習項目の到達度を5段階のレベルに分類して整理されています。
- レベル1:Knows(項目名などを知っている)
- レベル2:Knows how(実施経験はないが、知識を応用して解決する手順を理解している。)
- レベル3:Shows how(シミュレーター又はロールプレイで実施経験があり、模倣として実施できる。)
- レベル4:Does(臨床経験があり、臨床で実施できるが、監視や補助を要する。)
- レベル5:Does(臨床経験があり、臨床で単独実施を任せられる。)
臨床実地試験(CPX)
臨床実地試験(CPX)の概要
臨床実習の現場において、担当医の一人として診療に参加する学生のパフォーマンスを現場で評価することで、診療参加型臨床実習を通じて歯科医師に求められる基本的な資質を備えていることを確認します。主に態度を中心に臨床能力を評価します。
臨床実地試験(CPX)の合格基準
実際の患者に対する一連の歯科治療を対象に、下記の6項目について全国共通のチェックリストおよび評価基準を用い、「十分」「許容範囲」「不十分」の三段階で評価します。臨床実習期間内に「不十分」の評価を一つも残さないことを合格条件とします。臨床実地試験は形成的評価を目的とするため、受験回数の制限は設けません。学生の自己申告に基づき、個別に試験を実施します。
CPXの評価項目
- 治療に際して患者に配慮する
- 当日の治療に必要な器材を確実に準備する
- 必要時に指導教員に報告する
- 処置中に器材を正しく取り扱う
- 当該疾患に対して必要な処置およびその内容を説明し、自らが行った治療について正しく自己評価する
- 処置中、後片付け時に医療安全・感染対策に配慮する
臨床実地試験(CPX)の合格率
2023年度の臨床実地試験は29大学で実施され、受験者数は2,295人でした。臨床実地試験は合格するまで複数受験が可能です。そんな中、1回目の受験で合格したのが2,144名で合格率は97.2%でした。1回目で不合格になった学生も、2回目では全員が合格できている状況です。
一斉技能試験(CSX)
一斉技能試験(CSX)の概要
複数の疾患を再現した統合型共通模型(マネキン)に対して行った4課題の結果を評価します。
CSXの4課題
- 手用スケーラーを用いた歯石除去
- レジン充填を想定したう蝕除去
- 抜髄後の根管形成
- 全部金属冠を想定した支台歯形成
一斉技能試験(CSX)の合格基準
学生は、定められた試験時間内に、模型を装着したマネキンを仮想患者として、上記の課題に取り組みます。上記4課題それぞれに設定された3〜5の評価項目(合計15項目)について、統一評価基準に基づき、技能レベルを「2=十分」「1=許容される」「0=不十分」の三段階で評価します。
CSXの4課題には、それぞれ1つの重要評価項目が設定されており、これらを含む全評価項目における「0=不十分」と判定された割合を勘案して合否を決定します。
CSXはCPXとは異なり、原則として大学が定めた試験日に実習室等で、受験対象学生全員が一斉に実施します。
一斉技能試験(CSX)の合格率
2023年度の一斉技能試験は29大学で実施され、受験者数は2,246人でした。一方、合格者の割合(合格率)については、共用試験ガイドブックに記載がありませんでした。合格基準の記載もやや曖昧であることから、評価基準の統一に向けた精査が進められている段階と考えられます。なお、4課題の重要評価項目については、「0=不十分」と判定された数ごとの学生数が記載されていましたので、参考として下記に付記します。これによれば、学生の90%以上が、当該重要評価項目における「0=不十分」の数が0または1であったようです。
2023年度CSX 4課題の重要評価項目の評価の状況
- 全て合格(十分 or 許容範囲):1,250人
- 「0=不十分」が1つ:758人
- 「0=不十分」が2つ:161人
- 「0=不十分」が3つ:6人
まとめ
記載のとおり、歯学系の臨床実習後の臨床能力試験(Post-CC PX)は、臨床実地試験(CPX)と一斉技能試験(CSX)の2つで構成されています。
CPXは、実際の臨床実習の場で歯学生を評価できる、理想的な臨床能力評価法といえます。一方で、評価者が実施大学の教員であることから、評価の客観性や評価基準の明確性に対する懸念があります。他大学教員のみで評価を行う方法は教員負担が過大となるため、現実的な運用方法の模索が続いています。
一方、CSXは、一定程度標準化された評価基準のもとで実施されていますが、こちらも評価者が自大学教員に偏りがちである点が懸念されています。CPX同様、実現可能性と客観性の両立に向けた方策が検討されています。
共用試験実施評価機構では、臨床実習後の臨床能力試験の全国標準化を目指して作業が進められており、今後も公的化に向けた段階的な改善が予定されています。
現在歯学部を目指す受験生である場合は、これらの試験を受験するのは、おおむね5年後の予定であり、それまでに制度や運用が大きく変更される可能性があります。変更点は随時本サイトでお知らせしますので、引き続きご確認ください。

