【2025年度版】歯学部OSCEとは？臨床実習前の実技試験｜評価項目・実施体制・不正対策まで徹底解説

歯学部の学生は、自大学が実施する進級試験や卒業試験とは別に、医療系大学間共用試験実施評価機構（CATO）が実施する全国統一試験にも合格しなければなりません。

全国統一試験には、「①臨床実習前の全国統一試験」と「②臨床実習後の全国統一試験」があります。

①は臨床実習が始まる前、私立大学では4年生の終盤、国立大学では5年生の前半に受験します。なお、この共用試験は令和6年度実施分から公的化されました。

公的化以前は、各大学が独自に合格基準を設定していましたが、公的化以降は全国統一の合格基準が設けられるようになりました。

OSCEは、歯学生が臨床実習に進む前に、基本的な臨床技能と態度を評価するために実施されます。これにより、学生が実習に参加するための最低限の臨床能力を有しているかどうかを確認します。同時期に実施されるCBTでは知識を確認し、OSCEでは技能と態度を確認する構成になっています。

OSCEは、歯学教育のモデル・コア・カリキュラムに基づいた「学修・評価項目」に準拠して行われます。試験形式は以下の通りです。

• 試験室：複数の部屋に模擬患者や機器を配置
• 試験方法：６課題が出題されるので、学生は６つの試験室に順番に入室し、課題に取り組みます。
• 評価方法：全国統一の基準に基づいて、技能と態度の両面を評価されます。評価は自大学の教員（内部評価者）と他大学から派遣された教員（外部評価者）が行います。

OSCEでは、以下の4つの能力について到達度が評価されます。

1. コミュニケーション能力
2. 医療安全
3. 感染対策
4. 基本的診察・検査・臨床技能

これらは、臨床現場で安全かつ効果的に診療を行うために不可欠な能力です。

2024年度のOSCEでは、不合格者は2,311人中19人（0.82%）でした。合格率は99%を超える水準です。

同時期に実施されたCBTの不合格率24.7%と比べると、OSCEでは合格率が高いものの、基準に達しなければ臨床実習に進めないため、事前準備が非常に重要です。

OSCEでは、出題課題が事前に秘匿されており、情報漏洩は重大な不正行為とみなされます。過去には、課題が受験生に漏れた事案が発生し、関係者が懲戒処分を受けるなど厳しい対応が取られました。

このような背景もあり、実施大学では試験運営に非常に慎重な姿勢が求められています。

受験者においても、不正な情報取得を試みる行為は重い処分の対象となり得るため、厳に慎むべきです。

歯学生OSCEでは、全10課題のうち、以下の6つの課題領域から合計6課題が必須で出題されます。どの課題が出題されるかは、試験当日まで明らかにされません。

全10課題の内訳は次の通りです。

上記の表の6つの課題領域から、それぞれ1課題が出題されます。このうち、各領域内に単独課題しかない「1. 初診患者の医療面接」「2. 口腔内状態の記録」「10. 単純抜歯（滅菌手袋の装着と廃棄を含む）」は必ず出題されます。

共通事項では、「3. 手指消毒（衛生的手洗い・擦式消毒）と手袋の装着」「4. ラバーダム防湿」「5. 概形印象採得」の3つから1つが出題されます。

歯と歯周組織の疾患の治療では、「6. 齲蝕罹患歯質の除去」「7. コンポジットレジン修復（単純窩洞）」の2つから1つが出題されます。

歯質と歯の欠損の治療では、「8. 支台歯形成」「9. 補綴前処置（レストシートの形成）」の2つから1つが出題されます。

現在の高い合格率は、課題がある程度絞られていることも一因と考えられます。とはいえ、各課題の要件は細かく、当日は緊張などで手順を失念するおそれもあります。

各課題の内容を確実に理解したうえで、十分な反復練習を重ねて臨むのが良いと思います。

下記に2025年度のOSCE学習受験ガイドと、OSCEの評価項目が分かる資料のリンクを掲載しているので、参考にしてください。